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【ショートショート】雨の日の傘/片想い

    私には好きな人がいる。
    それは、隣に住んでるお兄さん。
    10歳も年上だけど、大好きだ。

    始めて好きだと言ったのは、小学校の低学年だった。
    お兄さんは、私の頭に手を置きにっこりと笑ってくれた。
    それから何度も好きだと言ったけど、答えはいつも「僕も好きだよ」。

    小さなころならそれで満足できた。
    でも、今はそうはいかないほど、私は大きくなった。

    そしてまた、誕生日がやってきた。

    「はい、誕プレ。
    新しい傘が欲しいって言ってたでしょ」

    「わあ!」

    開いてみると大好きな紫陽花が咲き乱れた。
    ボタン一つで開き、ボタン一つで閉じる。
    楽しくて、嬉しくて何度も何度も開いたり閉じたりした。

    「お兄さん。
    次に雨が降ったら、この傘さしてお散歩しよう!」

    「ああ、いいよ」

    こんなに雨が降るのが待ち遠しいなんてーー。

    空梅雨だと言われた梅雨。
    忌まわしい今年の梅雨。
    空を仰いでいると、ぽつりと天からのプレゼントが落ちてきた。

    「雨だ!」

    傘を手にして玄関を飛び出す。
    隣の部屋のチャイムを鳴らす。
    なんども、なんども。

    でも、お兄さんは出てこない。

    「しょうがないな~。
    せっかく雨が降ったのに」

    私の足がエレベーターへと向かい、エントランスを通り過ぎた。
    自動ドアが開くと外へと走り出す。
    空に向けて傘を開く。
    途端に、紫陽花が花開いた。

    口元を緩めた私が視線を落とし前を見る。
    ピンクの傘が歩いてくる。
    相合傘だという事が分かり、バカにしたような言葉が飛び出す。

    「ダッサw」

    ピンクの傘が揺れた。
    次の瞬間、呼吸が止まった。

    (621文字)



    🌸作者コメント🌸

    本作品は

    こちらのお題で書かせていただきました。
    とても書きやすいお題なので、本作品で3作目w
    お邪魔になりそうで、躊躇いはしたものの、思いついたストーリーはとまりませんでした(*´꒳`*) 



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