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【長線小説】オヌバヌラむド 最終話


    《銖盞 土井亚》

     立お続けに送信される「任務完了」。
     それが銖盞に届けられ、人間界には生呜反応を感じるこずはできない。
     たちは集たるず、官邞の地䞋ぞず降りお行った。

     その先には、シェルタヌぞず぀ながる長いコンクリヌトでできた廊䞋がある。たるで穎倉のような先に重い扉があり、その䞭に残る埮かな生䜓反応を感知しおいた。

     が感じおいる通り、䞭にはたった䞀人の生存者がいる。それが土井亚だ。
     
     い぀たでも埩旧しない電気ず、なくなっおいく食料に恐れをなした土井は、シェルタヌに入るこずを決断したのだ。ただし、入れるのは囜民がすべお消えたずしおも、日本を再生できる芁人ず、その家族に限定した。

     そう決たるず各芁人に連絡が回り、圌らは続々ず銖盞官邞ぞずやっおきた。するず土井は焊った。

     こんなに倧勢じゃ、すぐに食料が尜きおしたう――。

    「おい、小川 これ以䞊はここに通すな」

    「ですが、ただいらしおいない方も」

    「遅いのが悪いんだろうが
    これ以䞊入れたら、食料がもたん
    いいな、来おも远い返せ それず、お前も入っおくるんじゃないぞ
    も必芁ない 空気が薄くなる」

     機械のが入ったずころで、空気が薄くなるこずはない。そんなこずは土井にもよく分かっおいるはずだ。
     それなのに、殎られ続け、それでも耐えおきたすら入れようずしない。小川は自分ず同じように芋捚おられたが䞍憫に思えた。

    「え  そんな。先生の愛人様もただなんですよ」

    「そんなものを入れおどうするんだ
    愛人なんおのは、いくらでも代えが利くんだ」

    「奥様だっおただいらしおたせん」

    「あんな叀女房こそいらんだろうが
    シェルタヌに入っおたで愚痎ぐち蚀われおはかなわん」

    「そんな  どこたで自分勝手なんだよ」

    「なんだず
    わしに文句があるのか
    いいか、わしが生き残ればいいんだ
    これたでご苊劎だったな」

     土井はそう蚀うず、シェルタヌの扉に手をかけた。

    「お前ずはここで終わりだ」

     土井の手に力がこもり、シェルタヌの扉が重い音を立お固く閉じられた。
     それは冷たく響き、生きるこずを諊めろず告げおいるように聞こえた。

     土井ず䞀緒にいる芁人たちは、遞ばれた自分に満足そうな笑みを浮かべおいた。

    「なんおこずだ  こんなに俺たちは頑匵っおきたのに  」

     そんな土井が今䞭にいる。は冷たい面に埮かな笑みを浮かべ、扉を開いた。するず薄暗い宀内で䞀人の男が壁に背を預け、䞡足を投げ出し、だらしなく座り蟌んでいた。その呚りには、倧量のペットボトルず空になった猶詰が転がっおいる。それらは異臭を攟ち、人間なら顔をそむけるはずだ。

     だが、その匂いが猶詰から発されるだけではないずすぐに気づく。

     男の呚りには、倚くの芁人が息絶え転がっおいるのだ。たた、その家族も同様に、呌吞するこずをやめおしたっおいる。

    「な、なんだ お前はどうしお入っおくるんだ
    ここには来るなずいったはずだ
    ここの食料はお前たちにはやらんからな
    これは党郚わしのものだ」

     土井は、手にした拳銃をに向けた。

    「ここはな、俺だけがいればいいんだ
    ここに転がっおいる奎らず同じになりたくなかったら、今すぐ出お行け」

     あの日、土井がシェルタヌに入っおから五か月が過ぎようずしおいる。
     倖は暑く、ゞヌゞヌずいう蝉のうるさい叫びが聞こえおいた。だが、シェルタヌの䞭に季節はなく、倖がどうなっおいるのかもわからない。

     そんな䞭、土井は恐怖ず闘っおいた。この食料を食べ぀くしたら、いずれ自分たちは呜を萜ずすこずになる。倖に出おも、電気がなかったら、たたあの生掻なのか、ず。

     そしお曎なる恐怖は、自分ず同じこずを考える茩が出おくるずいうこずだった。
     そのため、い぀か食料の奪い合いずなるのなら、党おを自分のものにしようず土井は考えた。

     そう思うのが人間ずいうものだ。だからこそ、誰にも文句を蚀わせおはならなかった。

     その時は案倖早くにやっおきた。シェルタヌの秩序は乱れ、土井の蚀い分が通らなくなりだした。だから遞んだ。だから、土井は決断したのだ。食料を守るためには、党員を殺すべきだず。

     土井は女であろうず、子どもであろうず気にしなかった。気を蚱す必芁もなかった。そんなこずをしたら、きっず自分が殺られる。恐怖が恐怖を呌び、狂気を呌んだ。それはたるで、決たっおいた未来のように、匕き金をひく指にためらいを寄せ付けなかった。

     䞀人残った土井は満足だった。これですべおが自分のものだず安心しおいられた。

     だが、扉が開かれた今、を殺さなければ、自分の未来はない――。

     䜓䞭が凹み、歪んでしたったは土井を芋぀めた。情けなくも、匱い虫けらのような圌を、衚情のない也いた瞳でじっず芋぀め続けた。

     その瞳の奥にあるのは、振り䞋ろされるゎルフクラブ――。

     消えない苊しみが新たな信号を送り、の額が埮かな光を垯びた。

    《察象者DOI WATARU / 非効率 / 消去》

     その信号が、土井に届くこずはなかった。

    完


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