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Photo byaoisora374

【ショートショート】雨の日の傘

    屋根にあたる雨の音。
    紫陽花に降り注ぐしずく。
    カエルが跳ねるのすら心地よく、ひたすら外を眺めていた。

    そんなある日、彼が軒下にやってきた。

    思わず窓から身を引いた私に、彼はにっこりとほほ笑んだ。

    「すいません、急に降られちゃって。
    雨宿りさせてください」

    その笑顔に、思わずうなずいてしまった。
    あれから25年。

    スマートだった身体は横に広がり、テレビを見てはゲラゲラ笑っている。
    窓を開けると、あの日と同じ雨だというのに。

    とはいっても、あの日の雨と私が貸した傘が、今のしあわせをつくっている。

    「ね、アナタ。ずっと長生きしてね」

    「あ? どうしたんだ急に?」

    私はにっこり微笑んで、皺の増えた顔をつるりとなでた。

    (295文字)


    🌸作者コメント🌸

    本作品は

    こちらのお題で書かせていただきました。

    「雨の日の傘」と知り、咄嗟に浮かんできたのが「さだまさし」の「雨宿り」という歌。
    あの歌は、雨宿りした彼と婚約するまでの話ですが、私が書いたのはその後w。

    雨宿りして25年。
    夫はでっぷりと太って、テレビを見てはガハガハと笑っている。
    でも、幸せなんですよね。

    いいな~、こんな夫婦💛


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