
【ショートショート】雨の日の傘
屋根にあたる雨の音。
紫陽花に降り注ぐしずく。
カエルが跳ねるのすら心地よく、ひたすら外を眺めていた。
そんなある日、彼が軒下にやってきた。
思わず窓から身を引いた私に、彼はにっこりとほほ笑んだ。
「すいません、急に降られちゃって。
雨宿りさせてください」
その笑顔に、思わずうなずいてしまった。
あれから25年。
スマートだった身体は横に広がり、テレビを見てはゲラゲラ笑っている。
窓を開けると、あの日と同じ雨だというのに。
とはいっても、あの日の雨と私が貸した傘が、今のしあわせをつくっている。
「ね、アナタ。ずっと長生きしてね」
「あ? どうしたんだ急に?」
私はにっこり微笑んで、皺の増えた顔をつるりとなでた。
(295文字)
🌸作者コメント🌸
本作品は
こちらのお題で書かせていただきました。
「雨の日の傘」と知り、咄嗟に浮かんできたのが「さだまさし」の「雨宿り」という歌。
あの歌は、雨宿りした彼と婚約するまでの話ですが、私が書いたのはその後w。
雨宿りして25年。
夫はでっぷりと太って、テレビを見てはガハガハと笑っている。
でも、幸せなんですよね。
いいな~、こんな夫婦💛
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