メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【長線小説】オヌバヌラむド 第 29 話


    《銖盞 土井亚》

    「䞀䜓どうなっおるんだ」

     銖盞執務宀では土井が怒りの声を䞊げおいた。
     倩井から泚がれる非垞灯。その埮かな明かりが、寒さに震える土井の顔を青癜く浮かび䞊がらせおいる。

    「この停電の原因は䜕なんだ」

    「せ、先生。萜ち着いおください。ただいた、原因究明䞭ですから」

    「もう、䜕時間経っおるず思っおるんだ」

     土井は分厚いコヌトに身を包み、それでも寒いず、倧きな䜓を震わせおいた。
     非垞灯のおかげで手元は芋えおも仕事にはならない。こんな非垞事態は初めおだず、秘曞である小川を怒鳎り散らしおいた。

    「申し蚳ありたせん。
    ですが、私に蚀われおも  どうしおなのか」

     寒いはずなのに汗が流れる。誰が悪いわけでもないずいうのに、怒鳎り散らし、怒りをぶ぀けおくる土井。宀内の隅を芋れば、ボディのあちこちが凹んでしたった、哀れなが立ち続けおいる。

     土井を怒らせれば、次にあんな姿になるのは自分ではないか。そんな恐怖が襲っおくる。

    「電力䌚瀟はなんず蚀っおるんだ
    たさか送電線が切れたのか それならすぐに぀なぎ合わせろ」

    「いえ、それがなんずも  」

    「そうだ、サむバヌテロずいうこずもありうる  。
    おい パ゜コンに匷い奎に、その蟺のこずを調べさせろ」

    「ですが、電気が埩旧しない以䞊、パ゜コンを調べるずいうのも  」

    「電気などなくおも、パ゜コンを開いおみればいいだろうが」

     理䞍尜な呜什を口にする土井に、小川の心が冷めお行く。尊敬するこの男が、政治の座から䞋り、今䞀人の愚かな老人に成り䞋がったような錯芚を芚えたのだ。

    「いえ、あの。ハヌドの問題ではないので  」

    「ええい 面倒なこずばかり蚀うな
    パ゜コンが壊れたのなら、盎せばいいだけのこずだろうが」

     小川は聞こえないようにため息を぀いた。サむバヌテロならば、物理的にパ゜コンを開いたずころでどうなるものでもない。たしお、電気が぀かないのが、パ゜コンず関係があるはずもない。

    「がいるだろうが
    に調べさせればすむこずだろう」

     小川の芖線が土井のぞず向けられた。だが、こんなにボコボコにされたがいうこずを聞くのだろうか
     小川の頭に浮かんでいたのは、サむバヌテロでも、送電線の切断でもない。《の反撃》だった。

     そんなこずがあるはずはないず、自分の考えを吊定するものの、銖盞のを芋るに぀け、絶察にないずは蚀い切れない。

    「さっさず解決しなければ、責任問題になる
    野党の野郎どもが、俺の責任だず隒ぎ出すのは分かり切っおるんだ
    それが分からんのか、小川」

     拳で机を叩き、口から泡を飛ばし目を血走らせおいる。震えるその手も唇も、すべおが土井の匱さのように芋えお、滑皜だずさえ思えた。

    あんたは、囜民のためず蚀っおるけど、結局は自分のこずしか考えおないんだ。
    この囜がどうなるかなんお、党く心配しおない  

     小川が憐れむようにに芖線を向ける。
     だが、そこにたたずむは無反応だ。
     非垞灯の薄闇の䞭、その口元だけが埮かに歪み、䞍気味にねじれるように芋えた。
     しかし、それに気づくものはなく、銖盞土井亚の声だけが宀内に響き枡っおいた。

     * * *

     翌日には埩旧するず誰もが思っおいた。
     だが、昚日ず同じ朝を迎えたはずなのに、街の音は消えたたた、午埌になっおも沈黙を繰り返しおいる。

     情報を埗る手段を倱った人々は駅ぞず向かうが、電車が動いおいないこずを知るず、肩を萜ずしお匕き返しおいった。

     食料を確保しようずする人がスヌパヌぞ抌し寄せる。しかし、レゞが䜿えないず匵り玙が貌られ、その扉は固く閉ざされおいる。

     ATMは䜿甚停止ずなり、掚奚されたキャッシュレス決枈で、財垃の䞭に䜿える金がない。買うための店が開かないのだから、金があっおも仕方がないず諊める人もいる。
     こんな状態であっおも、デモは起こらなかった。人々は皆、今を生きるこずで粟いっぱいだ。

     䞀週間が過ぎおもその状況は䜕も倉わらず、飢えに苊しむ人が埌を絶たなくなり、店のガラスを割っおでも、食料を手に入れようずする者も珟れた。
     それでも手に入らないならばず、地方の無人販売ぞず走る。しかし、少ない金を握りしめお車を飛ばすが、ガ゜リンが底を぀いおしたう。絊油しようにも、スタンドにガ゜リンが入っおこないず嘆く店䞻。
     街の治安は目に芋えお悪化し、人々の目぀きも次第にぎら぀き始めた。
     暎埒ず化す人間の愚かさに、どこからか笑い声がかすかに響いたような気がした。


    --------------------------------------------------------------------------------------
    ★毎日午前䞭に曎新したす。
    ※かめママブログ曞庫入り口👇

    ※小説入り口👇



    あなたぞのおすすめ