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追悼キム・ギドク

    いやー、ショックだ。キム・ギドクが新コロで死ぬとは。あのキム・ギドクが・・・

    私よりは若いが、ほぼ同世代だと思っていた。鬼才とよく呼ばれたが、巧みな語り口にくわえ、表現の限界を超えようとする暴力性、ヒリヒリするような感情の痛みを特徴とした。

    正直にいえば、キム・ギドクに夢中になったのは10年ほど前で、「嘆きのピエタ」以降は少し関心が遠のいていた。「アリラン」で、ハリウッド化する韓国映画界への抵抗を示していたが、「パラサイト」のオスカー受賞などを彼はどう感じていたのだろう。

    私にとっての最高作は、やはり「悪い男」(2001年)と「春夏秋冬そして春」(2003年)だ。特に「悪い男」の衝撃は忘れられない。

    「嘆きのピエタ」(2012年)は悪くないが、やや自己模倣におちいっているのを感じた。暴力に必然性を感じなかった。「悪い男」などの「毒」の部分、自分を自分たらしめていた個性と勢いの衰えを、中年になって感じていたのだろうか。

    2017年にセクハラで訴えられた。こういってはなんだが、もともとそういうイメージだったから驚きはなかったが、時代は彼のような才能を許容できなくなっていたのかもしれない。それも悲しいことだ。

    彼の死で、韓国映画は確実に輝きの一角を失くした。ご冥福を。


     
     
     
    会社を定年退職し、神奈川県は柿生の里に隠棲する。新聞社、出版社に勤め、記者や編集者をやっていた。独身、孤独を愛する。老人であることを自覚し、記憶力もあやしくなりつつあるので、ここに書き残したいことを書き残しておく。世間から引退したので、社交は望みません。

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