小説を書いた。

2021年。
アニメにはまった。
少し遅めの『鬼滅の刃』。

そこから、アニメを見るのが趣味になった。

僕は一度集中すると、それだけになる。
毎日、毎日。
気づけば徹夜。

特に好きだったのが、『転スラ』の世界観だった。
こんな世界、面白いな。
そんなことを思いながら、いろんなアニメを見続けた。

2023年。
少しずつ、アニメを見なくなった。
飽きたわけじゃない。

というか――。

自分で好きなように、物語を作りたくなった。
最初に書いたのは、異世界転生ファンタジー。

小説の書き方なんて、何も知らない。
とにかく文字を並べた。
セリフばかり。
それでも、二週間くらい書き続けた。

読み返すと、漫画の切り抜きみたいだった。
そして、気づいた。

見たことのあるアニメの場面。
同じような設定。
同じような世界観。

自分で好きな物語を作りたかったはずなのに。

読めば読むほど恥ずかしくなった。
もう、これ以上書けない。

でも、消すのはやめた。
せっかく書いたんだ。
記念にとっておこう。
いつか役立つ、その日のために。

* * *

しばらく、小説を書くのをやめた。
仕事に励んだ。
休みの日はゴルフ。
いつもの日常に戻った。

2025年8月。

ある日の朝。
仕事に向かう途中、僕が通っていた小学校の前を通った。
楽しそうに笑いながら歩く子供たち。

ふと、昔を思い出した。
いじめられていた女の子。
いじめっ子。
喧嘩。

その日の夜。
気づけば、パソコンを開いていた。
小学生時代の記憶を、ひたすら書いた。

思い出したものを、とにかく並べていった。
結末は、最初から決まっていた。

物語に登場する、大翔と未来。
ふたりがどうやって生まれたのか。
正直、よく覚えていない。
気づけば、ふたりはそこにいた。

不思議なことに、書き始めた当初から、
ふたりの性格はほとんど変わっていない。

そこからは、とにかく書いた。
アイデアは尽きなかった。
自然と溢れてきた。

毎日、毎日。
書いて、書いて、書きまくった。

書き始めた物語は、とんでもない文量になっていた。
第一章だけで、八万字くらい。
それでも止まらなかった。

そして――。

2026年1月6日。
大元となる物語が、最後まで完成した。
やった。
ついに書けた。
最初から読み返してみた。
……。
文字だらけだった。
気分が悪くなった。

* * *

一話から直し始めた。
言葉にしなくても伝わることは、体の動きで表した。
どう動くのかわからなければ、自分で動いた。
立ってみる。
座ってみる。
手を動かしてみる。
登場人物がどう動くのか、自分の体で確かめた。

そして、説明を削った。
削った。
また削った。
文章は、どんどん短くなった。
読みやすくなっているはずだった。

なのに――。
大事なものまで削れていくような感覚がした。

読み返す。
なんか違う。
直す。
もう一度読む。
やっぱり、なんか違う。
ここからは地獄だった。

削っては戻して、
削っては新しく足した。
一話から先に進まない。

書き始めたときは、あんなに先へ先へと進めたのに。
完成させようとすると、進まない。
そこから、半年以上。
ようやく完成した。

第一章。
四十話。
八万字ほどあった第一章は、
四万九千字になっていた。

読者に伝わるのか。
伝わらないのか。
もう、わからない。
面白いのか。
つまらないのか。
それも、自分ではよくわからない。

けど――。
完成させられたことが、うれしかった。

2026年8月16日。
『僕の直列は君の並列』
カクヨムに投稿した。
誰かに読んでもらえるのかは、わからない。
それでも、僕の手から物語は離れた。

さあ――。
ここからが、はじまりだ。


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