メインコンテンツへスキップ
見出し画像

どんな色が、あなたの「好き」ですか?

    土方 翔 (Kakeru Hijikata)

    ※この記事は、以下のようなあなたへ向けて書きました。

    1.  「好きだったはずの何か」が、遠くに感じられるあなたへ。

    2.  昔の自分が選んだ色を、まだどこかで覚えているあなたへ。

    3.  誰かの「好き」を大切にしたいと願う、やさしいあなたへ。


    本作は約3600字(読了時間:5~6分ほど)です。

    もしよければ、静かな時間に、そっとお読みいただけたら嬉しいです。



    第1章|黄色が、好き!


    「きいろが、すき!」


    いま3歳の娘の好きな色は、ずっと変わらず黄色らしい。


    特別なきっかけがあったわけでもなく、
    誰かに教えられたわけでもなく、
    気がついたら、もう「好き」が言えるようになっていた。


    それが、少し不思議で──
    そして、とても嬉しかった。

     

    思えば、子どもはみんな、いつの間にか「好きな色」が言えるようになる。
    赤、青、ピンク、緑。

    その色に理由なんていらない。
    ただ「好きだから、好き」。

    それだけで、世界はすこしやさしくなる。

     

    でも──大人になると、どうだろう。

    「自分の好きな色は?」と聞かれて、
    ほんの少し、言葉に詰まってしまう自分がいる。


    たとえば、誰かの好みに合わせてしまったり。
    たとえば、無難な答えを選んでしまったり。


    いつの間にか、「好き」と「似合う」は別のものになり、
    「好き」と「正しい」も、どこかで分かれていく。

     

    ほんとうは、ただ「好き」と言いたいだけなのに。

     

    大人になるって、
    自分の「好き」に、少しずつ嘘をつくことなのかもしれない。

     

    そんなことを、黄色が好きだと言った娘のひとことで、ふと思った。

     

    ── そっか、黄色が好きなんだよね。

     

    きっとそれは、
    私の中にあった「好き」を、もう一度思い出させてくれる色だったのだ。



    第2章|「好き」に、嘘をつく瞬間


    大人になると、「好き」が言いにくくなる。

    ただそれだけのことなのに、
    なぜか、ためらってしまうことがある。

     

    誰かの目が気になったり、
    変に思われたくなかったり。


    好きなものを「好き」と言うだけなのに、
    どこかで、緊張してしまう。

     

    思い返せば、いつからか、
    「自分の好き」に少しずつ嘘をつくようになっていた気がする。


    あえて言わない。
    無難な方を選ぶ。
    とりあえず同調しておく。


    そんな小さな選択が、気づかないうちに積み重なっていった。
    そして気づけば、それが「うまくやっていく方法」になっていた。

     

    けれど、娘が「黄色がすき!」と迷いなく言ったとき、
    ふと、昔の感覚を思い出した。

     

    ── 自分は、ちゃんと「好き」を言えているだろうか。



    第3章|他の色があるから、自分の色がわかる


    嫌いな色、苦手な色というのは、はっきりとは言いにくい。


    たとえば、「黒は少し重たく感じて苦手で……」なんて言うと、
    その色を好む人を否定するようで、どこか申し訳なくなる。


    でも本当は、
    誰にでも「得意じゃない色」はあるはずだ。

     

    それは、人との関係にもよく似ている。


    苦手な人、どうしても合わない人。

    無理に距離を詰める必要はないけれど、
    完全に無視もできない。


    むしろ、そういう存在のほうが、
    なぜか印象に残っていることさえある。

     

    ふと思う。


    もしこの世に、黒も、灰色も、くすんだ色も存在しなかったら、
    黄色はここまで「明るい」と感じられただろうか。


    好きな色がはっきりするのは、
    他の色たちが、そこにいてくれるからだ。

     

    嫌いな人がいるから、
    好きな人のやさしさに気づく。


    苦手な人がいるから、
    自分にとって大切な人が浮かび上がる。


    そんなふうに思えるときも、ある。

     

    そう考えると、
    自分のまわりにいる「いろんな色」を、
    少し違う目で見られるようになる。


    たとえ苦手な色でも、
    それがあるから、自分の色がわかる。

     

    自分の色は、いつも、自分だけでは見えない。

    他の色があるからこそ、自分の色は際立つ。
    その中にいて、はじめて気づける。

     

    そして、気づいたときにようやく、
    「これが、わたしの好きな色なんだ」と言えるようになるのかもしれない。



    第4章|変わってしまった「好き」と、変わらなかった何か


    気がつけば、落ち着いた色の服を選ぶようになり、
    好きか嫌いか以前に、「似合うかどうか」を気にするようになっていた。

     

    もちろん、それが悪いことだとは思わない。

    好みは変わっていい。
    むしろ、変わるのが自然だ。

     

    けれど、「変わってしまった」ことに、
    少しだけ寂しさを感じる自分もいる。

     

    昔の自分は、何色が好きだっただろうか。

    なぜその色が好きだったのかさえ、もう思い出せないけれど、
    その感覚だけが、いまも胸の奥で、かすかに揺れている。

     

    それでも、思う。

    変わってしまった色のなかにも、たしかに「自分」がいた。

    あのときの「好き」がなければ、
    今の自分も、今の「好き」も、きっと存在しなかった。

     

    そうやって、
    「変わった」という事実の奥に、
    変わらずに宿っているものがある気がする。

     

    「好き」は変わってもいい。
    でも、それを忘れたくないと思える自分が、まだここにいる。



    第5章|それでも、「好き」と言える大人でいたい


    「好き」を言うのは、簡単なようで、むずかしい。

    子どものころのように、
    ただ「好きだから」と言うことが、
    なぜだか、うまくできないときがある。

     

    まわりの目を気にして、
    空気を読んで、
    選び直して──

    気がつけば、本音はどこかに置き去りになっていた。

     

    大人になるって、そういうことなのかもしれない。

    自分の「好き」を、完全には通せない場面もある。
    それはもう、仕方のないこととして受け入れてきた。

     

    でも、どこかで思っている。

    それでもやっぱり、
    「これが好き」と言える大人でいたい、と。

     

    誰かに笑われても、
    誰にも理解されなくても、
    それでも、自分が「好き」と思えるものを、
    ちゃんと抱えていたい。

     

    まわりのすべてに合わせなくてもいい。
    すべての人に伝わらなくてもいい。


    それでも、
    誰に説明できなくても、
    うまく言葉にならなくても、
    「これが好きなんだ」と言えること。


    その小さな芯のような「好き」を、大人になっても、手放さずにいたい。

    たとえ、時々見失っても──また、拾い上げられる自分でいたい。

     

    変わってもいい。
    揺らいでもいい。


    でも、自分にとっての「好き」を、
    もう一度、ちゃんと信じてみたい。

     

    ── あなたは、どんな「好き」を、守りながら大人になっていますか?



    最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
    コメントやスキでの反応も、静かに嬉しく受け取っています。

    ご感想をいただけた際には、そっとあなたの記事を訪ねられたらと思います。

    その方が、静かに届くかたちになる気がしています。

    どうか、そんなやりとりのかたちを、あたたかく受け取っていただけたら嬉しいです。



    あとがき|「推し」はいますか?


    最近は、「好き」よりも「推し活」という言葉のほうが、
    よく聞かれるようになった。

     

    好きなアイドル、アニメ、キャラクター、バンド、スポーツチーム。
    かたちやジャンルは違っても、
    「推しがいる日々」は、それだけで豊かだと感じる。

     

    きっと、自分の「好き」があることで、
    他者の「好き」や「嫌い」にも、
    少しだけ優しくなれるのかもしれない。

     

    娘がいつか、「好きな色」を言いにくくなる日が来たとしても。


    そのとき私は、静かに「これが好き」と言える大人でいたい。

    そうやって、生き方で伝えられるものが、きっとあると信じている。

     

    誰にどう思われても、
    「これが好きなんだ」と静かに言えること。


    それができる大人に、
    私はなりたい。




    🌱 最後に、もしここまで読んでくださったあなたへ。

    私は現在、以下の7種類のマガジンをnoteで静かに運営しています。
    それぞれに、小さな問いの種が込められています。

    気になるものがあれば、そっと立ち寄っていただけたら、うれしいです。

    ※初めての方には、①「まず読んでほしい10本」からの訪問がおすすめです。

    ① 👉 まず読んでほしい10本 ── 初めての方に向けたおすすめ記事のセレクション。
    ② 👉 問いを立てて、生きる。 ── 土方翔作品の総集編マガジン。
    ③ 👉 土方翔の短編小説 ── 物語という器で、言葉にならなかった感情をそっとすくいます。
    ④ 👉 寓話で考える現代の問い ── 物語の続きを、問いとして見つめ直します。
    ⑤ 👉 十の問いを歩く物語 - A Journey of Ten Questions with Desire. ── 欲と向き合い、問いと歩く10の小さな旅。
    ⑥ 👉 noteを、考える。 ── noteという街の構造・文化・創作論を、静かに読み解きます。
    ⑦ 👉 問いのとなりで、独り言。 ── 小さな独り言を、そっとつぶやいています。

    💌🐜問いの手紙ポスト
    👉 https://forms.gle/zNW7VtGYZk1aXVZ78



    コメント欄へ↓↓↓


    あなたへのおすすめ