
解き(土)の章∞第76話|十勝国――解結の坂

2025年7月29日
火曜日。
しかも
仏滅。
六曜でいえば、
もっとも縁起が悪い
と
される日。
私たちは六月から、
鬼滅の刃 × JR北海道
スタンプラリー
(6月18日〜10月13日)
に乗っかって、
「鬼滅巡礼の旅」
を始めていた。
正直、
日取りは微妙。
とはいえ、
双方の都合もある。
仕事がある。
仕方ない。
それでも――
今回の巡礼地のひとつ、
「帯広」には、
炎柱
煉獄杏寿郎
がいる。
帯広の煉獄さんに、
逢いに行こう、と。
がん
を
焼き消すための
禊(みそぎ)の旅。
仏滅ごと、
滅してもらおう。
そんな気持ちだった。
この日の行程は
かなり強硬だ。
帯広だけでなく
釧路も回る。
総延長、
およそ六百キロ。
とても
長く
遠いが、
むしろ、
巡礼と呼ぶには
これくらいが
ちょうどいい。
私たちにとっての
四国八十八ヶ所。
小さなお遍路みたいなもの。
日帰りゆえ、
夜明けとともに、発。
金よりも、時間。
(カネ¥は、いつも無いけど……笑)
だから
遠慮なく高速を使う。
ただ――
いま思えば、
全線高速ではなく、
あるいは
帯広手前の清水町あたりから
下道を使っても
よかったのかもしれない。
少しだけ、
そんな後悔が残っている。
実は、この巡礼の少し前。
夢とも、
現(うつつ)ともつかない場所で、
天界のシャーマン
∞ 雷恩 ∞
のもとへ、
僕は訪れていた。 🔗
そこで言われた。
「なぜ、
里緒さんと
正式に
籍を入れないのか」
「泉家の系譜には、
どこか深い
“業”の気配を
感じる」
「だからこそ、
籍を入れ、
波動を変えたほうがいい」
と。
妻・里緒。
そして
夫・風志。
けれど実際は、
住民票上だけの「夫婦」。
いわば――
暫定婚。
正式には
「夫(未届)」
と
「妻(世帯主)」。
苗字を変えると、
デジタル手続きや
無数のパスワード変更が面倒になる。
そんな現実的な理由で、
私たちは
“最後の一歩”を
踏み出していなかった。
そこで、
今回の十勝だ。

十勝地方。
日高山脈の東。
北海道最大の平野を抱く、
ひらけすぎるほどの大地。
空が、広い。
地平線が、遠い。
ただ、
それだけで
もう別の国に来た気がする。
かつて
日高越えは、
難所だった。
峠を越えるのは、
命がけ。
国をひとつ越えるのと同じ――
だから
「十勝国」
そう呼ばれていた。
入った瞬間、
空気が変わる。
「国(くに)」
いや、
もっと重たい字。
『國(くに)』
その文字のほうが、
しっくり来る。
波動と
空氣が
変わる。
芽室川
と
国道38号
が
交差する
あの橋
の
あたり。
広大な
十勝平野を、
一本の道が、
まっすぐ貫く。
帯広側から見ても、
清水側から見ても、
ゆるやかな坂。
底。
谷。
十勝が、始まり
十勝が、終わる場所。
波動が変わる。
空氣が変わる。
その
瞬間の
――場。
まさに――
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
解 ⇆ 結 の坂
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
別れも
出逢いも
たぶん、
ここから始まる。
だから――
想いを寄せる人に
告げる。
誓う。
そんな言葉を置くなら、
ここがいい。
ずっと、
そう思っていた。
密かに。
胸の奥で。
(つづく)

(関連サイト)
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