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解き(土)の章∞第131話|聖寂の凪

    今宵の看護師さんたち。

    とても、
    やさしい。

    いいね。
    やさしいね。

    外は、
    冷たい
    冷たい
    雨模様。

    もうすぐ、
    雨から雪へと変わる。

    も、

    看護師さんたちの
    柔らかな波と凪なぎ。

    病室は、
    とても、
    とても、
    温かかった 彡

    病室へ来るたびに、

    「大丈夫ですか?」

    「仮眠を取られたら、いかがですか?」

    声を
    掛けてくれた。

    深夜一時半か、
    二時頃だっただろうか。

    五回目くらいの
    お声掛けの、そのとき。

    今晩の“死地”を乗り越えても
    明日、明後日…

    まだまだ、
    長丁場が待ち受ける。

    ここらで、
    看護師さんの温かい言葉に甘え、
    仮眠を取ることにした。

    仮眠用の折り畳み式ベッドで、
    波と凪に乗り、

    眠りに
    憑ついた。




    仮眠。

    意識

    が、

    ゆっくり
    ゆっくり

    娑婆から
    遠ざかってゆく。

    すると、
    間もなく。

    ふわっと――

    何ともいえない、
    清らかで、
    美しく、
    気品ある、

    凪なぎの海原。

    とても
    とても

    心地
    佳き
    佳き。

    もう
    この世ではなかった。

    静寂。

    いや、
    これは。

    ――

    “聖寂”

    ――

    空気が
    刻ときに
    包まれた。

    時間の前後が消えた。

    止まっても
    いるようで。

    戻っても
    いるようで。

    進んでも
    いるようで。

    何とも言えない。
    静けさ。

    止。

    空。

    黙。

    うまく、
    言葉にできない。

    眠っているのか、
    起きているのかも、
    よく分からない。

    ただ、
    静かな凪なる海に。

    身体ごと
    浮かんでいる
    感覚。

    天界なのか。

    宇宙の
    此処彼処なのか。

    放り出されたようでもあった。

    怖さは、ない。
    ただ、
    心地よい。

    その静けさの中。

    ふと。

    浮かんだ。




    ああ。

    あー。

    これが。

    彼。

    彼岸。

    なのか。




    そして、

    もう、

    妻は、
    里緒は、

    解きの旅路 を。

    逝き支度 を。

    還る里 を。

    整えていた。

    肉体から
    意識を
    離していた。

    何となく、

    そう感じた。




    いのちの詠うた

      が、

     凪に乗り

    降りてきた。


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    我が妻、口腔多発がん 4年8カ月闘病 2025年11月10日4:28 旅立つ 西洋医学を信じた妻(土) 自然療法寄りの僕(風) 価値観の違い越え 「解き」の先で 「結び」を魅る 亡き妻と紡ぐ供養物語 CC0 1.0 Universal 月まで👀 ぶっ飛び自由 🌕🌙

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