
#3 ジコだけじゃ足りない|ジコスイ404美術館
ジコスイちゃんのイメージが、
リスに決まった。
かわいかった。
しっくりきた。
これでいける。
そう思った。
でも、
すぐに違和感が生まれた。
ーー
リスの表情を考えた時だった。
元気な顔にすると、それっぽい。
好奇心旺盛で、活発で、
今にも走り出しそうな顔。
まさに私が思い描いていたリスだった。
でも、
なんだか違った。
というか、ふみちゃんが違うって顔してた。
かといって、
おとなしい顔にすると、
もっと違った。
リスは元気でいてほしい。
ワクワクする方へ飛び跳ねてほしい。
でも、
元気なだけでは
何かが足りなかった。
ーー
その頃の私は、
コミュニティの中でよく同じ言葉を伝えていた。
焦らなくていい。
ゆっくりでいい。
自分のペースでいい。
頑張りたい気持ちは素敵だと思う。
挑戦する姿も好き。
でも、
頑張りすぎて苦しくなる人もたくさん見てきた。
私自身もそうだった。
ーー
だから、
ジコスイが伝えたいことは
前へ進もう。
だけじゃなかった。
立ち止まってもいい。
悩んでもいい。
ゆっくりでもいい。
そんな想いも、
同じくらい大切だった。
ーー
そこで気付いた。
リスは私によく似ていた。
でも、
私たちではなかった。
ジコスイのキャラクターを作ろうとしていたのに、
出来上がりそうだったのは、
限りなく私に近いキャラクターだった。
ーー
だから、私たちは
ふみちゃんらしさを足そうとした。
優しさ。
寄り添う力。
マイペースさ。
でも、
それを全部リスに詰め込もうとすると、
なんだか変だった。
その時思った。
足りないのは性格じゃない。
もう一人なんじゃないか。
ジコスイちゃんではなく、
ジコちゃんと、
スイちゃん。
お互いの良いところを認め合って、
足りないところを補い合う。
そんな関係の方が、
私たちらしい気がした。
リスだけじゃ足りない。
必要だったのは、
相棒だった。
ーー
肝心なモチーフとなる動物は、
ふみちゃんが
「カメはどう?」
と提案してくれた。
正直、最初は少し意外だった。
カメ?
かわいくなる?
そんなことを思った気がする。
でも、
私なら出てこなかった発想だった。
ーー
今思えば、
あの一言が
ジコスイを大きく変えた。
この頃からかな。
ふみちゃんの発想力と、
私の形にする力があれば、
面白いものが作れる気がした。
ーー
そうして後に「スイ」と呼ばれるその子は、
この日、
ジコの相棒になった。

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