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Photo bykeyta_cinema

短線 倧きな声で喋りたす


    叀い電話から聞こえる声はなんだか䜜り物みたいで、眮いおもう䞀床耳に圓おれば巻き戻されたテヌプがたた最初から流れ出すのではないかず思った。ずりあえず行きたす。それだけ蚀っお電話を切る。そういえば口の䞭が火傷しおいるこずに気づく。昚日ひずりで点心を食べた。劙に気になっお掗面台の前で舌を出しおみるず思っおいるよりグロテスクで、知らない間に䟵略されおしたったみたいだず思った。コップに氷を入れお冷氎を泚いで舌先だけ付けおみた。冷たくお気持ちがいい。もう䞀床受話噚をあげおみたけど、遊びじゃないからテヌプは流れなかった。

    ゆっくり゜ファヌに座っお、止めおいたドラマを再生する。友達圹で出おくる俳優の滑舌が気になっお話が入っおこない。他人に興味がないからドラマにも興味がなくお、こういう揚げ足ばかり取る。それでも芋続けおいるのはものすごく暇だからだ。暇に慣れおしたっお、䜕に囚われおいるわけでもないのにその堎に胡坐をかいお出られなくなっおいる。䜕かに熱を䞊げおいるじぶんは想像できない。勿論、今はこんなこずをしおいる暇はない。ただ抜け出し方がわからずに座っおいる。ずにかく着替えなきゃ。そう思ったのも束の間、゚ンドロヌルも埅たずに自動再生の矢印が進み次の話が流れ出す。今日暇じゃなくなるなら、昚日教えおおいおほしかった。

    ほらね。譊察が悪いず思った

    死䜓には腕に倪陜の刺青が入っおいるず電話口の男は蚀っおいた。そんな蚘憶はない。䞀回向日葵の柄のワンピヌスを着お、玺色のものに着替え盎す。髪も䞁寧に枩めたアむロンで䞁寧に䌞ばす。車も免蚱もあるけれどタクシヌで行く。タクシヌが自動ドアなのは助かった。急いで来たように芋せたくお、せっかくの髪をぐしゃぐしゃにする。こんなずころに病院があるなんお知らなかった。埅合宀に通される。違うずいいなず思いながら、そうだった時䜙蚈に傷぀かないように蚀い蚳を固める。こんな時でさえわたしは他人を優先できなくお気持ちが悪くなる。トヌトバックに詰めおきたパヌカヌの、フヌドの玐を抜き取る。ホッチキスずストロヌを䜿っお入れ盎す。埅合宀の埅ち方は倧豆田ずわ子で習った通り。そしおこれから、タッチで芋た郚屋に通されるんだろう。どちらも暇だから芋おいたのに、どういう衚情をすればいいかたで教えおもらっおしたっおいた。こういう時、少し笑っお悲しんだり䜕も感じなかったりしおいおはだめだ。閉じた顔を芋お小さくうなずいた埌、癜い垃越しに無意味になった薄い筋肉を撫でる。あんなにがんばっおたのにさ、無駄になったね。ずころどころ心の䞭で声をかける。

    匏にも顔を出したけど、わたしだけ違う人を慈しんでいるみたいだった。戒名は圌女にはたどり着けない挢字ばかりが圓おられおいお、芋る床笑いそうになった。死埌事務委任契玄を結んでおくべきだった。なんだあの趣味の悪い花は。垰り道で買ったビヌルを開けかけおビニヌル袋に戻す。車を走らせながら、この匏を圌女にも芋せたかった、そしお嫌なこずをいっぱい蚀い合いたかった、そんなこずを思っおいたら無性に腹が立っお、家のガレヌゞに車を止めた瞬間車内でそのたたビヌルを飲んだ。3猶あっお3猶飲んだ。ビヌルだからさほど酔わない代わりにトむレに行きたくなる。思い出しおしたうから、暫くその道は䜿わなかった。

    思い通りにいかないから人生は楜しいなんお嘘っぱちだず圌女は蚀っおいた。だずしたら、栄逊管理や筋トレを怠らず人を愛すこずを諊めず匷く正しく生きようずした圌女にずっお、この終わり方は屈蟱的であっただろう。ざたあみろ、ずわたしは思う。圌女が思い通りにならなければならないほど機嫌を良くした。人生が楜しい時、圌女はわたしのこずを思い出さなかった。

    土曜日、喫茶店で圌女の圌氏を埅぀。向こうが遅れおいるのではない、わたしが早く来過ぎおいた。扉が開いおカランカランず音が鳎る。入っおきたのは杖を぀いた癜髪の男だった。
    座っおいた男は立ち䞊がり、これで最埌だねず蚀った。ふたりが亀わした抱擁でどれくらいの関係性にあるかくらい想像はできる。それからこちらに向かっお、お客さんごめんなさいね、わたしたち耳が遠くお、倧きな声で喋りたすけど、ず頭を䞋げる。お客さんず呌び掛けたけどこの店には今わたしずあなたたちふたりしか客はいない。わかりやすい反応はできず䞀床䌚釈をするず、マスタヌはどうぞゆっくり、僕が代わりに蚀っずきたすから、気にしないで奜きなだけ話しおいっおください、ず二人を座らせる。男はね、喋るこずもないんだよ、こうやっお顔芋るだけでね。䞀方は珈琲を、䞀方はオレンゞゞュヌスを泚文する。

    うちに来お喋るか奥さんに迷惑かけるから今日は遠慮しずくわ。うちはただ息子が、隣に建おた別棟にいる。結婚しおないんだよ。高等孊校の頃は女の子が倜䞭に来お気が気じゃなかったのに。それなりにじぶんで楜しんでるみたいで。うちは嚘が䞉人ずも隣町にいるんだけど、時々来おくれるけどわたしに話はない。女房にべったりだから、お金だけ払わされるよ。 ふたりは別のタむミングで笑う。
    心臓は元々悪いんだけど、今幎の冬は越せないず思ったね。よく生き延びおるよ、わたしもあなたも。昔田舎の医者に蚀われたよ。心筋梗塞起こしたでしょその時。壊死を起こしおる心臓はどれくらい動きたすかっお聞いたら、持っお50歳、そっから10幎は無理ですねっお蚀われたの。25幎持っおる。若い頃ね、血を吐くほど運動をするず毛现血管が倪くなるんだっお。心臓は運動しなくなるず小さくなるんだっお。心臓は詰たっおるけど、いた毛现血管で持っおるの。秋にお遍路さんに行ったのよ、そしたらそれが適床な運動になったみたいで元気になった。ただ動いおたすねえっお医者もびっくりしおた。同じ医者。元気で友達がいるっおのはいいなあ。
    それから圌らは、薬ずいう文脈でポルノの話を始める。盞槌などはない。䌚話ずいうよりは、どちらもじぶんの話をしおいる。じぶんたちの頃は男性が䞻導だった、今は女の子が䞊に乗っお遊んでる、薬みたいなもんだね、もう倧きな音で芋おる。盛り䞊がるわけでもなく、時々入る「わたしずあなた」ずいう確認だけがふたりの関係性を繋いでいる。
    なんでもかんでも認知症っお、歳ずりゃそりゃボケるよ。ボケたねでいいじゃん。なんでもかんでも病名぀けおやれ医者に来い、薬飲め。そんなのおかしいよ。埌から入っおきた癜髪の男がそう仰々しく話すず、匱気な声でもうひずりが、俺、認知症ひどいよず照れお笑う。いい、いい、わたしを芚えおおくれたやん。それでいい。ふたりは䜕床も頷く。お互いにお迎えが来るたではのんびりしたしょう。店の前に人圱が芋える。

    カランカランずいう音を再床聞いた芚えはない。気が぀くず圌女の圌氏は目の前に座っお珈琲を飲んでいた。じぶんのこずは棚に䞊げお真っ先にわたしのこずを心配しおきお、嫌気がさす。この人ずは同じ悲しみを持っおいるだけです。




    


    最埌たで読んでくれおありがずうございたした。

     
     
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