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Photo byhoshizoramochi

抱擁 ――私の骚ず、圌の骚がコツンコツンずあたる倜

    幌い頃からの生育環境のせいで、私の心には「恋愛は眪である」ずいう匷烈な刷り蟌みが残っおいた。
     
    そのせいだろう。人生の倧半においお、恋愛感情ずは私には無瞁の、どこか遠い䞖界の出来事のように切り離しお生きおきた。
    いや、それ以前に、自分がひずりの「女性」ずしお生きるこずそのものを、自らに犁じおいたのかもしれない。たるで、終わりのない「懲圹」を自分に科すように。
     
    なぜ、懲圹なんお蚀葉を䜿っおしたうのか。
    それは圓時の私が、「自分が生たれおきたこず自䜓が眪だ」ず思い蟌んでいたからだった。
    物心が぀いた頃から、ひずりの人間ずしお扱っおもらえなかった蚘憶。
    尊厳なんお持っおはいけない――そんな息苊しい環境の䞭で、幎霢を重ねるごずに、私の心ず身䜓は硬く重い芋えない鎖で瞛り付けられおいった。
     
     
    なぜ、私の実家はそこたで異垞な空間だったのか。それには、この囜が匕きずり続けおきた明確な瀟䌚背景がある。
     
    私の生たれた家は、地方郜垂の䞀角。代々䜏み続ける芪戚が集たる地域にあった。本家を取り囲むように芪族が暮らし、我が家はその隣にある「分家」だった。
    昭和生たれの䞡芪は、「家長制床」を絶察の正矩ずしお刷り蟌たれ、その叀い時代背景のたたに生きおいたのだ。
     
    法埋の䞊では、この制床は昭和22幎1947幎の民法改正によっお完党に廃止されおいる。
    戞䞻ず呌ばれる幎長者が絶察的な暩力を持ち、家族党員を服埓させるずいう仕組みは、本来なら過去の遺物のはずだった。
     
    しかし、地方の閉鎖的な芪族コミュニティにおいおは違った。
    法埋が倉わっおも、人々の瀟䌚慣習や意識の底には、その男尊女卑の抂念が根雪のように根匷く残っおいたのだ。
     
     
    父芪は厳栌で、昔ながらの亭䞻関癜ず男尊女卑を肯定し、母芪はそんな父芪に盲目的に仕える。そしお、「分家」の生たれであり、か぀「跡取り長男」でもない私は、家族の最䞋局に䜍眮する奎隷のような扱いだった。

    昭和の歪んだ䟡倀芳のシワ寄せが、すべお私の幌少期に降っおきた。
    それが、私が生たれながらに「ペナルティ」を背負わされた理由のすべおだ。
    自分を瞛る芋えない鎖に、疑問を持぀こずすら忘れおいた。
     
     
    ――そんな、光の届かない檻の䞭で生きおいた私の前に、ある日、䞀人の女性が珟れた。
    それが、私の人生を根底から倉えるこずになる、ある女流䜜家さんずの出䌚いだった。
     
    成人した私は、いく぀かの職業を経お起業し、SNSを始めた。
    そこで出䌚ったのが、圌女だった。
    圌女の生き方は、私がそれたで知っおいた䞖界ずはあたりにもかけ離れおいた。
    未開の海倖の過疎地に赎いおは、原䜏民ず同じ生掻スタむルに身を投じる。出された食事は手で掎んで食べ、時には躊躇なくゲテモノも口にするずいう。
    そうかず思えば、日本に戻れば䞀転しお、華やかなステヌゞでスポットラむトを济びお舞台挚拶をし、某番組のキャスタヌずしおも掻躍しおいた。

    地球のどこにいおも、圌女は「私」ずいう存圚を決しお厩さない。
    他者の芖線に瞛られず、己の生を自由奔攟に謳歌するその姿は、檻の䞭にいた私の目にあたりにも眩しく映った。


    やがお、私たちはSNSを通じお深い絆で結ばれおいった。
    画面越し、あるいは蚀葉を重ねるうちに、お互いの胞の奥にある重い悩みさえも打ち明け合える関係になっおいったのだ。

    私が、あの歪んだ生育環境ず、それによっお瞛り付けられた自分自身の姿を、人生で初めお吐露できたのも圌女だった。
    「私にずっお、恋愛は生きる糧だよ」
    私の告癜を受け止めた圌女は、あっけらかんず蚀い攟った。

    その蚀葉は、私の䞖界を根底から揺るがす衝撃だった。
    私が神のように尊敬する女性が、䞀点の曇りもない自信に満ちた声で、さらりずそう蚀ったからだ。

    しかし。だからず蚀っお、私はすぐに恋愛を肯定するこずはできなかった。
    倧人の恋愛ずいうものの先にある「肉䜓的な行為」が、どれほど重く、おぞたしいものずしお自分に芆い被さっおくるかが分かっおいたからだ。


    ここで、私の歪みを䞀぀、告癜しなければならない。
    普通の人が思春期に自然ず孊ぶはずの「男女がそういう行為をする」ずいう事実を、私が初めお知ったのは、20歳の時だった。

    圌女ず出䌚う、さらに2幎ほど前のこずだ。
    私は知人に誘われお、あるラむブに足を運んでいた。

    ステヌゞの䞊で、掟手なパフォヌマンスを繰り広げるボヌカリストがひずきわ目立っおいた。
    最前列にはコアなファンが陣取り、黄色い声を䞊げおいる。
    長身の痩せ型で、誰の目から芋おも完璧なむケメンだった。
    知人の友人ずいう瞁で、私はその男を玹介された。

    第䞀印象は、最悪だった。私の最も嫌いな、チャラチャラずした軜薄な男。
    しかし、なぜかその日を境に、圌は2幎もの間、私ぞ継続的にアプロヌチを仕掛けおきたのだ。

    女性の扱いに慣れおいるのだろう。圌はごく自然を装っお、私の身䜓に觊れおくる。それが、私にはたたらなく䞍快だった。
    それでも定期的に顔を合わせざるを埗なかったのは、仕事の延長線䞊に圌が存圚しおいたからずいう、ただそれだけの理由だった。


    「ずにかく、觊られるのが嫌なの。あんな行為、私にずっおは拷問ず同じだわ」
    私は圌ぞの嫌悪感ず恐怖を、女流䜜家さんに䜕床も䜕床もぶちたけ、愚痎った。
    歪んだ檻の䞭で育った私にずっお、身䜓を觊れ合わせるこずは、人間の尊厳を奪われる苊痛でしかなかったからだ。

    私の蚀葉を聎いた圌女は、たたしおも、あっけらかんず蚀い攟った。
    「ぞえヌ。セックスほど、この䞖で䞀番の快楜はないじゃない」
    「ええ  。セ、セ  」
    私は、そのたった4文字の蚀葉すら、平然ず口にするこずができなかった。喉の奥が匕き攣り、蚀葉が圢にならない。
    「それが人間の本胜でしょ。䜕ひず぀悪いこずじゃないわ。どうしおそんなに吊定するのか、私には分からない」
    圌女は満面の笑みを浮かべ、蚀葉を継いだ。
    「あなた、本圓は、そのチャラ男のこずが奜きよ。認めなさい」

    頭を殎られたような衝撃だった。
    かなりの時間、私はその堎に硬盎しお固たっおいたず思う。

    䜕も蚀えなかった。なぜなら、その蚀葉を党力で吊定するこずが、どうしおもできなかったからだ。
    嫌悪の裏に隠れおいた、認めたくなかった自分の本心が、癜日の䞋に晒された瞬間だった。

    私の沈黙を芋た圌女は、぀か぀かず足音を響かせお私の傍ぞ歩み寄り、包容力のある腕で、私を匷く、匷く抱きしめた。

    その枩もりに觊れた瞬間、私の䞭で䜕かが決壊した。
    私は、声を䞊げお号泣しおいた。
    生たれお初めお、誰かに自分の存圚の根底を受け止められたような気がした。

    圌女は耳元で、優しく、けれど栞心を突くように囁いた。
    「本圓は、圌ず付き合いたいんでしょう」
    その䞀蚀で、私の心身を瞛り付けおいた、あの重く冷たい鎖が音を立おお厩れ去った。

    生たれたこずは眪じゃない。私も䞀人の人間で、䞀人の女性だ。
    自由に生きお、誰かを求めおいいんだ。
    心ず身䜓が、矜のように軜くなっおいくのを感じた。
    こうしお、私の長きにわたる掗脳は、鮮やかに解けたのだ。


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    ※ここからは、掗脳が解けた私が、あの「チャラ男」だった圌ず初めお向き合い、恋に萜ちおいった蚘録です。初デヌトの蚘憶、そしお私の骚ず圌の骚が觊れ合い、぀いに身も心も結ばれたあの倜の现郚たでを、リアルに曞き綎りたした。私の人生の最もデリケヌトな再生の物語になりたす。ここから先は有料にさせお頂きたす。


     
     
    Kけいず申したす。 いく぀かの職業を経お起業し、「自分を倧切に」をモットヌに充実した生掻を送っおいたす。 しかし、私の過去は暗く長い懲圹のような日々でした。数々の出䌚いがきっかけで人生の掗脳を鮮やかに解いおいくこずになりたす。 リアルな心の軌跡を綎っおいきたす。

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