いもずいも(相馬市)|食べると智恵が授かる?伝統の郷土料理
福島県相馬市には、地域で大切に受け継がれてきた素朴で温かい郷土料理があります。
その名も「いもずいも」。
文化庁の「100年フード(江戸時代から続く郷土の料理部門)」にも認定されている、相馬の秋を彩る名物料理です。
実はこの「いもずいも」、日常的に飲食店や道の駅などで食べることはできず、毎年9月の「涼ヶ岡八幡神社例大祭」の2日間しか味わえない非常に貴重な味覚でもあります。
今回は、「いもずいも」に秘められた心温まる歴史ストーリーと、2026年9月に開催される「涼ヶ岡八幡神社 例大祭」の最新おでかけ情報をお届けします。
1. 「いもずいも」とは?
「いもずいも」という印象的な名前は、「芋吸物(いもすいもの)」がなまったものと言われています。
具材の主役は、秋に収穫されるホクホクの里芋。かつお節で丁寧に取った出汁に醤油やみりんで味を調えた、優しく味わい深いお吸い物です。
もともと旧暦8月15日(中秋の名月)の例大祭で、秋の収穫に感謝して里芋(芋名月)をお供えしていた風習が由来となっています。
普段の飲食店などでの常設メニューとしては提供されておらず、毎年9月に開催される「涼ヶ岡八幡神社例大祭」で敬神婦人会のみなさんによって振る舞われることで、参拝客や地域の人々に長年大切に親しまれてきました。
2. 江戸時代の復興政策「いもこじ会」に由来
この料理の背景には、江戸時代の中村藩(相馬)における興味深い歴史が存在します。
当時、大飢饉によって疲弊した農村を復興させるため、二宮尊徳の教えに基づく「二宮仕法」が取り入れられました。その一環として行われたのが「いもこじ会」と呼ばれる村人の話し合いです。
「いもこじ」とは、水桶に入れた里芋を棒でかき回して皮をむく作業のこと。
村人たちが膝を突き合わせ、互いに意見を出し合って議論を重ねる様子を、里芋が擦れ合ってきれいになっていく姿に重ね合わせたのです。
この話し合いの場で振る舞われていたのが、里芋の汁物(いもずいも)だったと伝えられています。
3. 食べると「一皮むけて頭が良くなる」?
こうした故事から、相馬では今でもこんな言い伝えが残っています。
「いもずいもを食べると、里芋のように一皮むけて良い知恵が出る(野暮が抜けて頭が良くなる)」
単にお腹を満たすだけでなく、地域の結束や前向きな知恵を象徴する、とても縁起の良いお料理なのです。
4. 【2026年】涼ヶ岡八幡神社 例大祭の開催概要
「いもずいも」を実際に味わうことができる年に一度のチャンスが、毎年9月の第3金曜日と土曜日に開催される「涼ヶ岡八幡神社 例大祭」です。
2026年の開催スケジュールと「いもずいも」の提供情報は以下の通りです。
開催日時・場所
開催日:2026年9月18日(金)・19日(土)
場所:涼ヶ岡八幡神社(福島県相馬市坪田字涼ヶ岡51)
名物「いもずいも」の提供情報
涼ヶ岡八幡神社敬神婦人会の皆さんによって、あたたかい「いもずいも」が振る舞われます。
提供時間:
宵祭り(9月18日・金):11:00 ~ 19:00
本祭り(9月19日・土):10:00 ~ 12:30
提供場所:参詣者休憩所
購入方法:随身門の受付にて食券を購入
メニュー(目安):
いもずいも券:300円
おでん券:300円
赤飯:500円
5. 日程別のみどころ
宵祭り:9月18日(金)
夜の境内を美しく彩るライトアップと竹灯ろうが見どころです。地元の八幡小学校児童が絵付けした個性豊かな竹灯ろうが神楽殿回廊に飾られるほか、国の重要文化財に指定されている本社本殿などの繊細な彫刻が幻想的に浮かび上がります。
13:10~ 絵付け竹灯籠 表彰式(神楽殿)
17:00~ 神事(本社)
18:00~ 奉納芸能(民舞、ギター演奏、安来節、阿波踊りなど/神楽殿)
日没後~ 竹灯ろう点灯(参道)・境内社殿等のライトアップ
本祭り:9月19日(土)
伝統芸能の奉納を中心に、格式高い神事が行われます。特に、福島県指定重要無形民俗文化財である「相馬宇多郷の神楽」は必見です。
09:00~ 神事
10:00~ 奉納芸能(日本舞踊、神楽舞、オカリナ演奏など/神楽殿)
訪れる際のアドバイス
夜間の防寒対策:初日(宵祭り)のライトアップ鑑賞時は秋風が冷え込むことがあるため、軽く羽織れる上着があると安心です。
