見出し画像

プロローグ

『ティターン戦争』
その終結に多大なる貢献を果たした英雄マールス・アレース、彼が収めた『バターシャ王国』は、崩御をきっかけに二つに分離され内乱が起こった。
主を失った大国は、後継を巡る熾烈な内乱の末、『カルポス国』と『ペクニア王国』を建国した。
だが、それは新たなる悲劇の幕開けに過ぎなかった。
カルポス国が平穏への道を模索する一方で、ペクニア王国の玉座に就いた男は、絶対的な権力を振りかざしていた。逆らう者は容赦なく断頭台へ送られ、民からは過酷な重税を巻き上げる。貪欲な搾取により、国には貧困と絶望が影のように広がっていった。
しかし、その暗黒の時代を打破すべく、一人の若者が立ち上がる。
その名は、カティル・アテーナ。
闇を切り裂く閃光の輝きに、虐げられた人々はこぞって彼女に救いの光を求めた。

882年。
彼女は祖国を憂う一部の貴族と、自由を欲する無数の平民を率いて王都へ進撃する。国民を恐怖で支配したペクニア王国は民衆の怒りの前に崩壊し、正義と公平を掲げる新たな国が誕生した。戦女神アテーナを絶対の象徴とし、カティル・アテーナを大公へと据えた国──『アスピダ公国』である。
民は涙を流して称え、この光が永遠に続くことを誰もが疑わなかった。

──それから、十二年。
かつて民を救った輝かしい栄光は、見る影もなく失われていた。
玉座に座るカティル・アテーナは、いまや酒と男に溺れ、私欲のために権力を振るう、かつての仇敵と何ら変わらぬ暴君へと成り下がっていたのである。

これは神の宴が誕生する少し前の物語。
かつての光を取り戻すまでの物語。

いいなと思ったら応援しよう!