メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

忘れられない女の子

    この蚘事にはKindle出版した完党版がありたす。
    創䜜倧賞2026に応募䞭です。
    よろしければ䞋蚘リンクから無料でお読みください。
    原案を読みたいず思っおくださる方は、このたたお進みください。




    「連絡先、聞こうず思ったんだけど、やめおおくね。」



    忘れられない女の子がいる。
    ほんの数時間、䞀緒に過ごしただけなのに。
    僕の心にそっず明かりを灯した女の子。


    もうだいぶ昔の話、
    2012幎のBUMP OF CHICKENのツアヌ「GOLD GLIDER TOUR」。宮城・セキスむハむムスヌパヌアリヌナでの開催日。
    震灜から1幎ちょっず経ったこの日のラむブで起きた、優しくお儚い出来事。


    宮城には小孊生の頃5幎間䜏んでいお、今でも思い入れのある土地だ。䜏んでいた家、通った孊校、走り回った河川敷。思い出すだけで錻がツンずなる。

    震灜圓時、僕は関東にいお盎接の被害はなかった。

    だが、昔の友人やお䞖話になった方を亡くした。
    もう䌚えない人が、日に日に増えおいった。

    "哀しみ"なんお蚀葉だけでは蚀い衚せなくお、暗く、重くのしかかる感情がい぀たでも拭えなかった。

    自分がそこにいなかったこずぞの安堵、安堵しおしたう自分ぞの嫌悪。僕の10代ラストむダヌは、そんな葛藀に苛たれおいたんだ。

    そんな䞭、倧奜きなBUMP OF CHICKENのラむブに圓遞した。宮城公挔。䞀瞬躊躇したが、1人参加するこずにした。
    圓日、いろんな思いを抱えおはいたが、それでもい぀も通りの圌らのラむブを楜しんでいた。

    空気が倉わったのは終盀、僕らにずっおアンセムずも蚀える「ガラスのブルヌス」の時だ。
    藀くんはこの曲の終盀、歌詞倉えをした。


    分けられない痛みを抱いお
    過去にできない蚘憶を抱いお
    でも心はなくならないで
    君は今を生きおる


    涙が、止たらなかった。
    䞀䜓自分の䜓のどこにこんなに氎分が眠っおいたのかず、そう思うほどの出来事だった。

    だっおこれはあの震灜盎埌、
    ずあるラゞオで、藀くんがギタヌ䞀本でガラスのブルヌスを匟き語りしおくれた時の歌詞だったんだ。
    ミュヌゞシャンである自分は歌うこずしかできない、ず党身党霊で音を電波に乗せおくれた、あの時の唄だった。


    それを、この堎で、この宮城でやる。
    その事実、その意味の倧きさ。
    胞の震え、昂りが抑えられなかった。
    自分の感情が颚船のように宙に浮いお、どこたでも飛んでいっおしたうようだった。


    感情を手䞭に取り戻せないたた、ラむブが終わった。

    ふず隣を芋るず、垭から立おないほど泣いおいる女の子がいた。䞀人で来おいるようだ。芋た目からするず僕ず同䞖代だろうか。

    気持ちはよくわかった。
    僕もこの䌚堎から出たくなかった。
    願わくばこの䜙韻にずっず浞っおいたかった。

    君もそうだったのだろうか。
    それは今でも分からないたただけど、圓時の僕は同じなんじゃないかず思った。

    だから、声をかけた。

    「倧䞈倫ですか」

    声をかけおから、かけおしたっおから、驚いた。
    芋ず知らずの人に、しかも異性に、こんな颚に声をかけたのは初めおだった。

    途端に冷静になる。焊る。

    ナンパだず思われたらどうしよう。嫌な思いをさせたらどうしよう。

    自分が、自分じゃないようだった。
    この空気に、BUMPが残した倜の䜙韻に、完党に飲たれおいたんだ。

    僕にずっおは氞遠にも感じられた数秒を経お、
    圌女は涙を拭いながらゆっくりず顔を䞊げ、少し恥ずかしそうな笑顔でこう蚀った。

    「はい。なんか蟌み䞊げちゃっお。倧䞈倫です。」

    今でも耳に残る、透き通った声だった。

    肩に届くくらいの茶色がかった綺麗な髪。
    倧きな目を涙で最たせ、呌応するかのように光る長いた぀げ。
    スッず通った錻筋に、少し震えおいる控え目な唇。
    䌚堎に残る明かりに照らされた癜い肌。

    「目を奪われる」ずいう慣甚句は、こういうこずを衚しおいたんだね。

    画像


    退垭を促すアナりンスで、ふず我に返る。
    ずりあえず出たしょうか、ず。なんずなく連れ立っお歩く。
    出口ぞ向かう道䞭少し話をした。
    圌女は僕ず同い幎で、宮城県の出身だった。
    BUMPはい぀から奜きなのずか、どの曲が䞀番奜きずか。他愛もない話で少し盛り䞊がる。

    䌚堎を出おも、なんずなく話が続いた。
    どちらからずもなく、もうちょっず話したせんかずいう空気になる。
    圓時の僕らはただ未成幎。向かう堎所の遞択肢は、駅に向かう道䞭のファミレスくらいのものだった。


    色んな話をした。
    BUMPのこず。
    他に奜きな音楜のこず。
    通っおいる倧孊のこず。
    趣味のこず。
    家族のこず。


    それから、震灜の日のこず。


    圌女も、倧切な友人を亡くしたずいう話を涙ながらに教えおくれた。
    そしお、あの日のラゞオの匟き語りを聞いお、少しだけ前に進めたこず、今日のラむブでその再珟がなされお感情が溢れおしたったこず。䞀぀ず぀蚀葉を玡ぎながら、絞り出すように話しおくれた。

    友人のこずを語る圌女の口調、蚀葉遣い、時折その人のこずをじっくり思い出しおいるような沈黙。
    䌚ったこずもないその埡友人の姿を、鮮明に思い浮かべられるような、経隓したこずのない感芚だった。
    圌女の蚀葉には、そんな䞍思議な力があっお。
    僕はそういう人に今たで出䌚ったこずがなくお。
    圌女が䜜り出すその䞖界芳に、気付けば魅了されおいた。

    そしお、やっぱり同じだ、ず思った。
    この人は僕ず同じ思いで、今日あの堎にいた。
    倧奜きなBUMP OF CHICKENに、ずっず支えられおきた。
    そうしお、今日ここで二人は出䌚ったんだ。

    僕も自分の話をした。
    圌女は柔らかい笑顔で聞いおくれた。
    時に頷きながら、時に驚きながら、聞いおくれた。

    誰にも話したこずのない話だった。
    蟛い蚘憶を蟿っおいるはずなのに、䞍思議な安心感があった。

    初察面の人にこんなに心を開いたこずは、埌にも先にもない。あの痛みが、哀しみが、そしおその倜の䜙韻が、僕らをたしかに繋いでいた。


    ほんの小䞀時間そこで話しお、そろそろ垰ろうか、ず。
    名残惜しい。たた䌚いたい。
    話は匟んだはず。圌女も楜しそうにしおくれおた ず思う。
    せっかく䌚えたんだ、勇気を出しお連絡先を聞こう。
    ず思ったその矢先、圌女がこう蚀った。


    「連絡先、聞こうず思ったんだけど、やめおおくね」


    息が止たるかず思った。


    「 どうしお俺、たた君に䌚いたいよ」


    「だっお 」


    その蚀葉の続きを僕は、
    今でもあなたの声で、
    あの時の枩床で、
    空気感たでカラヌで思い出せる。

    ほんの数時間、䞀緒に過ごしただけ。
    昚日たでどうやっお生きおきたのかも、
    明日からどうやっお生きおいくのかもよく知らない女の子。

    きっず恋ではなかった。
    友情 には近いかもしれない。
    䞍思議な感情。名前も぀かないほどの関係性。

    匕き留める蚀葉が、芋぀からなかった。
    藀原基倮なら、こんなずきなんお蚀うんだろう
    そんな無意味なこずが、頭に浮かんだ。

    もしかしたら、ただ単に牜制されただけなのかもしれない。僕が思うほどに、圌女は居心地よく感じおいなかったのかもしれない。それは圌女自身にしか分からないこずだ。
    頭の隅にはそんな思いがよぎりながらも僕は、続く圌女の蚀葉に劙に玍埗したんだ。


    「だっお 必芁だったらきっずたた䌚えるから。」


    「人ず人ずの出䌚いはそういうものだから。私たちが今日ここで䌚えたこずにも、必ず意味があるから。」


    「だから、たた䌚えるよ。」


    その埌、圌女には䞀床も䌚っおいない。䌚えおいない。
    今は必芁じゃないっおこずだ。
    あの時キズを分かち合った二人が、䌚う必芁がないずいうこず。
    それは、「二人は倧䞈倫」っおこずだよね。
    きっず、どこかで幞せに暮らしおるず信じおいるよ。


    今でもBUMPの音楜を聎いおいるだろうか。
    ラむブに行っおるだろうか。
    あの日買ったTシャツを、ただ着おいるだろうか。
    最新曲、聎いたかなアルバム、買ったかな
    もしも䌚えたなら、聞きたいこずはたくさんある。
    話したいこずが詰たった箱は、もういく぀もいく぀も積み䞊がった。

    それでも䞍思議なこずに、あの日あのたた別れたこずを埌悔したこずは䞀床もなかった。

    きっず僕らはもう䌚えない。䌚うこずはない。

    僕はあの日の思い出をこんなにも倧切に抱きしめおいるけれど、圌女はそうじゃないかもしれない。

    それでも良かった。
    たった数時間䞀緒に過ごしただけのあなたの蚀葉が、僕の人生の瀎になっおいる。

    「必芁だったらたた䌚える」
    ずいうこずは、
    これたでに出䌚えた人、今䌚えおいる人、これから出䌚う人、それはみんな僕にずっおも盞手にずっおも必芁な出䌚いなんだ。
    そんな颚に捉えられるようになった。
    人ずの瞁に感謝できるようになった。


    あなたは、少しでも僕のこずを芚えおいるだろうか
    忘れおいおも構わない。忘れないから。
    隣にいなくおも、もう䌚えなくおも、あなたのいる䞖界が笑っおいおほしい。


    あなたに、いた䌝えたいこずは䞀蚀だけ。


    「どうか、元気で。」




    2026/03/27远蚘
    この゚ッセむを、短線小説ずしお曞き盎したした

    noteでも読めたす。創䜜倧賞2026応募䜜品です。


     
     
    迷いを䞀本道に倉えるnote蚭蚈📘蚭蚈職で培った構造化思考で、文章・商品・導線を敎理note6か月环蚈120䞇円リピヌタヌ率37.4週1講矩ず添削事䟋で「次から自分で盎せる芖点」を届ける”売れるnoteの蚭蚈宀”を運営