
今日はからあげを買って帰ろうと思う
昨晩、姉が言い出した。
「他意はないんやけど」
なんて失礼な、という顔をしてやった。
他意はない、なんて前置きするやつは、だいたい悪いやつや。あなたのためだと思うから言うんだけどね、に類似する。
「や、ホントに、ないんやで、ないんやけど、昨日、唐揚げ食べる夢見たん」
ないんやで、ないんやで、と姉は繰り返す失礼ぶりを発揮する。
なので、今晩は、デパ地下で唐揚げを買って帰ろうと思う。
この唐揚げ、一パック千円で売られている。高いのか安いのかわからないが、夕方価格で何割か引きなことは間違いない。
ついでにいうと、やたらと試食をすすめてくるので、塩味、醤油味、南蛮と、一つずつ(一切れではなく、ホンマに一つ)渡されるので、ぱちこ的にはすでにこの時点で夕飯を終えたも同然だ。
味は美味しい。
別の店で売られている桜島どりには劣るかもしれないが、肉もやわらかく、味付けもほどよい。
確かに、最近買ってない。
だって暑いじゃないか。唐揚げなんか食べる気にならんのだよ……。それがまぁ、姉の
「タイハナインヨ!」
なのである。
この、ぱちこの姉、食い意地がはっている。
口から生まれた、のが、しゃべる方なのか、食べる方なのか迷うくらいだ。
まだハイハイをしているとき、台所から大根を盗んで齧り付いている写真がある。
ぱちこの覚えている限り、食事中、口に詰め込みすぎないように注意され続けていた。
小学校5年生でおたふく風邪になったときは、症状云々よりも、口を開けず、口いっぱいに食べ物を詰め込めないことに絶望していた。
当時、ぱちこはまだ3歳くらいだったが、鮮明に覚えている。
高校生のときには、デパートのファミレスで(かつては必ず存在していた、チェーン店ではないデパートのファミレスだ)なんかの定食とラーメンを頼んで、ウエイターさんをドン引きさせた。
もちろん、ぱちこと母もドン引きしたが、姉曰く、
「あんなに大きいとは思わんやんか!」
らしいのだが、結局食べてたからなんとも言えない。
なんだって、ぱちこがこんなに姉のことをシロメで見ているかというと、自分は全く食べ物に興味がないからだ。
これは学術的に誰か証明してほしいのだが、母の胎内にあった、『食欲』というものを、姉が全て持ち去ったに違いないと思っている。
小さいころは、うどんを3本食べさせるのにみんな必死だったらしい。
離乳食を食べたのは、小学生の姉だった。
風邪を引くと、さらに少食になる。
幼稚園のとき、3×5センチほどのアホみたいな小さいタッパーに、お弁当を詰めてくれたのは、中学生の姉だった。(母は文字通り匙を投げたらしい笑)
その上、嫌いなものがたくさんある。味はさておき、姉には理解できない、食感がイヤ、という理由で食べないものもたくさんある。
苦いのとぬめぬめしたものは、何より嫌い。ぶつぶつしてるのもイヤ。かたいのは噛むのがしんどいからイヤ。
先日、昼寝中のくじゃくさんが起きてきて、ご飯を食べに行ったときのことである。ちなみに、姉は横で昼寝中だ。
くじゃくさんが戻ってきたので、寝床に入れてやりながら、声をかけた。
ぱ「よーくかりかりした? おいしかった?」
姉「うん!」
ん?!
んんん!?
自分の声で目が覚めたらしい姉が、心底落ち込んだ声で言う。
姉「自分が言われたんやなかった……」
姉「しかも、なんも食べてない……」
そんなわけで、フジ笑家の食に関する興味の全てを独り占めしている姉のために、今日は唐揚げを買って帰ろうと思う。
なお、これは昨日の話です。