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海蟺の街 断片

     圌女は猫のようにするりず襖を開けお入っおきお、ぺたんずわたしの暪に座った。そしお、少しわたしを芋぀めお、い぀ものように、たったくの無衚情のたたに、銖を傟げた。

     圌女をよく知らない人は、感情がないのだず思うのか、倉な目で芋る。䜕床か、そんな颚に蚀われおいるのを耳にしおしたったこずもある。ただわたしはその䞀瞬、わたしを映しただけの目を芋お、ほっずした。無理やり䜜られた、お悔やみの顔は、案倖、人を疲れさせるものなのだ。

     ずころが圌女は意倖なこずに、わたしをその䞡腕で抱えた。いささか乱暎だったので、抱きしめられたずいうよりは、抱えられた気がした。

     戞惑っおいるうちに、圌女は䞍噚甚にも、わたしの頭ず、続いお背䞭を、ずんずんず叩いた。圌女の粟䞀杯の、優しい力加枛で。

    「倧䞈倫だよ」

     そう蚀われお、ふいに、我慢しおいた気持ちが溢れた。

    「倧䞈倫、倧䞈倫、心配ないよ」

     あずからあずから、瞁を越えお、どんどん溢れる。

    「䞀緒にいるからね、倧䞈倫だよ」

     圌女の蚀葉には、ほずんど感情らしいものは蟌められおいなかった。それでもわたしは、圌女が今、こうしおいるこずず、そしお、圌女を育おた、わたしの祖母を想っお、しばらく涙を流した。

     わたしが、ある皋床萜ち着いおから、たたぎこちなく、圌女は䜓を離した。そしお、前にね、ず蚀った。

    「こうしおくれた」

     顔を䞊げるず、圌女はい぀もより、少し䞍安げな顔で、祖母の家ずの間にある、苔の生えた小さな庭を芋おいた。叀いガラスはどこも奇劙に歪んでいる䞊に、もう倜だ。元より薄暗い庭に、䜕がいたずしおもよく芋えない。

    「お母さんが、いなくなったずき」

     ああ、ず、わたしは少し笑った。

    「そうだったかな」

     うん、ず圌女は真剣に頷く。

    「お母さんも、そうだったっお蚀っおた」

     え、ずわたしは怪蚝な声をあげた。

    「お母さんの、お母さんがいなくなったずき」

     圌女はもっず真剣に頷いお、こちらを芋た。今床は、その瞳に、普段は、機械に向かっおいる時にしか芋えないような、匷い意志の光があるこずに、わたしはひどく戞惑った。

    「だから、今床は、わたしの番」

     うん、ずわたしは俯いお、たた泣いた。泣きながら、ありがずう、ず䜕床も蚀った。圌女はたぶん、それしか知らないから、ずっず、倧䞈倫だよ、ず蚀っおくれおいた。

     わたしは、倧䞈倫だろう。これたでも、ずっず倧䞈倫だった。

     倧䞈倫ではないのは、圌女の方だ。䞀人で暮らしおいるように芋えるけど、実際のずころ、生掻ずいうものずは無瞁だ。

     実家ぞ垰れず蚀っおも、垰るわけもないし、垰ったずころで、あの父ず兄だ。

     悪い人ずいうこずではない。圌女を疎んじおいるずか、そういうこずでもない。圌らも総じお、生掻胜力に欠くのだ。

     二人ずも、倧孊だかなんだかの研究宀にこもったきり、平気で家に垰らない。そもそも、圌らに、家、この堎合は建物の話ではなく、家庭ずいう意味での、家ずいう抂念があるかどうかもあやしい。圌らが、どうにか家族でいられたのは、わたしの姉がいおこそだった。

     ばらばらになった、ず、他人から芋れば思えるが、䞍思議なこずに圌らは、぀ながっおいる。少しも連絡を取らず、䌚うこずもなく、今だっお、ここぞ来るわけではないけれど。

     い぀の間にか、わたしは泣きながらも冷静にそんなこずを考えおいた。

     祖母の店もどうするか決めなければならない。今は、䞀時的にわたしが手䌝っおいたけれど、本人がいないのだから、手䌝いずいうわけにもいかない。

     ずはいっおも、わたしにも仕事ず、生掻が別の堎所にある。手攟すこずもできるが、党くその決心が、今は぀かなかった。

     考えおみれば、あれだけ高霢の祖母だ。こうなるこずは、わかっおいた。母や、姉ずは違う。

     なのに、わたしは信じおいた。

     信じおいたかった。

     珟実を芋たくなかったのだ。

     いずれ、祖母はいなくなるずいうこずを。

     なんども、別れを経たにもかかわらず。



     翌朝になっお、わたしは貌り玙を出すこずにした。
     もし、だめだったら、お店はたたもう。




    #なんのはなしですか
    #雲岬町
    #君ず魔術ず星空ず


    䞀昚幎のテヌマ
    海蟺の街
    のずきに曞いたもの

    毎幎、
    テヌマに沿った建物ず
    それに䜏んでる人の話
    があるのだが
    たいおい途䞭で次の幎になる

    今幎は頑匵りたい
    が
    すでに
    空を芋䞊げお
    が
    進んでないから
    別のものを出しおるんだよ




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    い぀も、ありがずうございたす☆ 「k_jack_norio」は、わたしの黒猫のこずです🐈‍⬛ 自由に絵を描いたり、文を曞いたりしおいたす。 猫ず本が奜きです。 埗意分野は自然科孊ず建築です。  芞術ずは #なんのはなしですか®  であり  回収されるこず  です

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