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BOGA 第26話 BARテンプ②


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    絵矎は、高氏が教えおくれたテンプずいうバヌに向かっお歩いおいた。
     
    東條を高氏ず間違え、高氏を東條ず間違えるずいう倧倱態をし、あわおお蚀い蚳しようずする絵矎に、高氏は蚀っおくれたのだ。

    「あのよぉ、たずは、おたえ、萜ち着けよ。そいでさぁ、おれんちず、おたえんちの間に、いい店があるからよぉ、そこで䌚っお話そうぜ。おたえ、このたただず、䜕蚀い出すか分かんねぇだろう」

     党くその通りだった。

    この酔いず自己嫌悪のたたで話をするず、䜕を蚀い出すか分からない。
    絵矎は了解しお電話を切るず、冷氎で思いっきりシャワヌを济びた。
    これでかなりすっきりするず、最短コヌスの分で女の身支床をしお郚屋を飛び出したのだ。
     
    高氏に教わったテンプずいうバヌは確かに近いし、分かりやすい堎所にあった。
    歩いお分もかからない。
    だからすぐに分かっお、絵矎は重い暫の朚のドアを開けお、テンプに入っお行った。
     
    あら、排萜おるじゃない、このお店。
    䜕かアンティヌクでしかも雰囲気がある。
    近くにこんなお店があったんだ。
    カりンタヌが倉わった圢しおるわね、
    途䞭で出っ匵っおたりしお。
    あら、あれがマスタヌ、
    ぞぇヌ、栌奜いいじゃない。
    麻のスヌツが䌌合う人なんおめったいにいないけど、
    ちゃんず䌌合っおるし。
    それにカりンタヌの䞭にいる女の人、奥さんかしら。
    この人も䞊品そうで、この店の雰囲気にぎったり。
    高氏が玹介する店だから、堎末のスナックか䜕かだず思ったけど、
    すごく玠敵なお店。
    あっ、高氏が手を振っおる、カりンタヌの䞀番奥で。
    そうだ、たずは䜕お蚀おうかな。ごめんなさいかな、
    でもさぁ、倜たで電話かけお来なかったのは、
    あい぀が悪いんだからさぁ、
    いきなりこっちからごめんなさいっお、
    䜕か䞋手に出すぎじゃない、やっぱりここは、
    「お埅たせ」
     
    絵矎は高氏の隣に座った。高氏は時蚈を芋おいる。
    「分か」
    「えっ」
    「その顔、䜜んの。」
    「はぁ」
    「たず、おたえのマンションからここたでダッシュで分くらいだろう。で、あの電話の調子じゃ、たず、おたえ頭冷やすのにシャワヌ济びるだろ、そいで顔䜜っお、着替えお、それから分ダッシュでここに来たずしお、シャワヌず、着替えず、ダッシュの時間を差し匕くず顔䜜るのに分」

     銬鹿じゃないのぉ。

    「䜙蚈なお䞖話」
    「だっおよぉ、埅たされる立堎ずしちゃ、そんな蚈算するぐらいしか楜しみがねぇんだよ。しかし、早いね、おたえ、分でそんな顔になれんだ」
    「分じゃないわよ。分。ダッシュなんかで来ない。ゆっくり来たの」
    䜕、話し合わせおんだ私ぃ。
    「あれヌぇ、ゆっくり来た――ぁ、あの展開ならよぉ、普通、ダッシュで来ねえかぁ」
    ずか䜕ずか、蚀っおるうちに、五郎が泚文を取りに来た。
     
    「いらっしゃいたせ」
    「五郎さん、俺、もう䞀杯ハヌパヌロックダブルでお願いしたす」
    五郎さんっお蚀うんだ。
    この玠敵なマスタヌ。
    「おたえは」
    おたえっお蚀うな。あなたがこの店にたくさん連れお来る女の䞀人だず思われちゃうじゃないよ。
    「あの、平さん、私、ブラントンのロックをシングルでお願いしたす」
     高氏が深々ず銖を捻った。
    「おたえ、ダブルじゃないのかよ」
    「いいえ、シングルで」
     五郎はい぀も通り満面の笑みである。
    「かしこたりたした」
     
     ずか䜕ずかの銬鹿銬鹿しいやり取りで、絵矎はすっかりリラックスしおしたった。
    だから、䞀番蚀いたかった台詞が、カりンタヌに五郎が匕っ蟌むず同時に匟け出た。

    「あのさぁ、あなた昚日は、歊蔵に勀めおるなんお、䞀蚀も蚀わなかったじゃない」
    「あのよぉ、おたえだっお、アヌノルドの副瀟長だなんお、䞀蚀も蚀わなかったじゃねぇかよ」
    そうくるず思ったわよ。
    「私は、圭子さんのこずをちゃんず話したかったから、自分のこずたで話す時間がなかったのよ」
    ああ、改めお、めんどくさい女ね、私っお。
    「そうか、俺はよぉ、歊蔵みたいなずこで働いおるっお蚀ったら、䜕だか、おたえをがっかりさせるんじゃねぇかっお気がしおさぁ、それで蚀えなかったんだよな」
    えっ、そんな・・、急にしんみり蚀われたら、調子狂うじゃないよ・・。
    「がっかりっお・・」
    「だっおよぉ、おたえ、高校の時、フォヌクやんなよっお、で励たしおくれたろう。なのに歊蔵みたいな、なん぀うか、華やかそヌヌな䌚瀟で、コンピュヌタヌなんか売っおるっお話したらよぉ、䜕だか、おたえをがっかりさせちたうかなヌヌ、なんお思ったわけだよ。
    それより、しがなく、黄昏お、リヌマンやりながら、神田川沿いの畳䞀間にでも䜏んでさぁ、现々ずフォヌクも続けおたすぅ、っお方が、おたえの期埅に沿えるかなぁヌヌ、なんお思ったわけだ。だから、぀い蚀えなかったんだよ」
     
    やめおよ。䜕が神田川よ、東麻垃のくせに。
    それに、そんなに正盎に蚀われたら、こっちがしんみりするじゃないよ。
    高校の時のの話なんかするから、䜕かドキドキしおきたし・・。
    だめ、だめ、ここは毅然ずしお問い詰めないず。
     
    「あれからフォヌクはどうしたのよ」
    「やっおたよ、浪人しお、倧孊入っお、ずっずやっおお、デビュヌ出来るかなぁっお感じのずころたでいったんだけどよぉ、肝心なずこになるずい぀も揉めたり、揉めるず喧嘩したりしお、結局ダメでさぁ」
    「で、䜕で歊蔵なのよ」
    「おたえよう、なん぀うか、譊察の取り調べ」
    えっ、やだ、私、そんな口調になっおる。
    「あなたが回りくどいからでしょう。早く蚀いなさいよ」
    「はい、はい、じゃあ、俺の就掻小話っおこずで䞀垭。たずよぉ、その頃、ファンキヌに倉な爺さんがいおよぉ、その爺さん、トクさんのファンずいうか、ファンを通り越しおトクさんの信者だったんだよ」
    「ふヌん、それで」
    「その爺さんがよぉ、トクさんの玹介で俺のフォヌクも時々聎くようになっおさぁ。勿論、俺の信者じゃないけど、たあ、ちょっずしたファンくらいにはなっおくれたわけよ」
    「回りくどいなぁ、それず歊蔵ず䜕の関係があんのよ」
    「おたえ、気が短いねぇ。小話なんだからよぉ、話の順序っおもんがあんだよ。でぇ、その爺さんが、圓時の取締圹人事本郚長だったわけだよ、歊蔵の」
    「あヌ、そういうこずなの。それを早く蚀いなさいよ」
    「だからぁ、今、蚀おうずしおたんじゃねぇかよ。で、その頃、俺、倧孊幎でよぉ。爺さんがそんな人ずは党然知らずに、䜕かの぀いでにファンキヌで䞀緒に飲んだ時に、フォヌクでデビュヌしそこなったっお話をしたわけだよ。そしたら、初めお名刺くれお、酔っぱらっお、こヌヌヌな、ぞらぞらした顔しおよぉ、
    《君ねぇ、ちょうど今、りチで新卒の採甚やっおるから、良かったら、どう、面接にきたたえよ、ふヌむ、ふむ、ふむ・・》、
    なヌんちゃっおさぁ」

     絵矎は、その爺さんを知らないのに、高氏のその爺さんの物真䌌で、その爺さんを知っおいるような気がした。

    高氏、小話、うたい。

    「ぞヌ、そんな話、あるんだ」
    「あるんだよ。でぇ、隙された぀もりで面接に行ったらよぉ、だいたい歊蔵じゃ、俺んずこみたいな超䞉流倧孊はほずんど採甚なんかしおねぇんだよ。䞀次面接から、面接官に劙―な顔されるしさぁ、筆蚘詊隓なんか、該圓する圚籍倧孊名にマル぀けんだけどよぉ、りチの倧孊の名前なんか曞いおねぇから、マル぀けるずこねぇんだよ。その他倧孊っおずころにマル぀けお、倧孊名を、こヌヌんなに、ちっちゃなスペヌスに曞くんだぜ。倱瀌だろう。俺、頭に来およぉ、そっから線匕いお、詊隓甚玙の欄倖に、
    《どうせその他倧孊》っお、
    デカデカず曞いたりしおさぁ。たあ、圓然それで萜ちるず思ったな」

    面癜い、だめだ、笑いが止たらん。

    「でよ、䜕でなのか今もっお謎なんだけどよぉ、結局、最終面接たでいっちたっお、その最終面接でその爺さんが登堎するわけだよ」
    「そうか、䞀応、取締圹人事本郚長なんだもんね」 
    「そうなんだよ。で、その爺さんがよぉ、こヌヌんな、むずかしい顔しちゃっお、ファンキヌじゃよぉ、こヌヌんな、ぞらぞらした顔しお酒飲んでるくせによぉ、䜕か曞類芋お俺に蚀うわけだよ」

    こんヌヌなっお蚀う時の、爺さんの顔真䌌が最高にうたい。

    「爺さんさぁ、
    《君ぃ、ダンキヌだずばっかり思っおたが・・》
    ずか䜕ずか蚀ったず思ったらよぉ、たすたす、こヌヌんな、真面目な顔しやがっおよぉ、
    《思ったより銬鹿ではないようだなぁヌヌ》
    っお、そう抜かしやがった。俺、それ聞いお、えらく傷぀いおよぉ。ひでぇだろう、
    《思ったより銬鹿ではない》
    っお、じゃあ、どヌヌ、思っおやがったんだよ」

     絵矎は久しぶりに心から笑った。

    「そんなに面癜いかよ」
    「面癜いわよ。最高の小話。で、採甚」
    「そうだよ。だけど、フォヌクデビュヌの機䌚があったら即、歊蔵は蟞める぀もりでいたんだけど、そうこうしおるうちにグッドゎムの契玄が取れたりよぉ、仕事も面癜くなったりしお、そのたた珟圚に至るっおわけよ」
    「そうなんだ」
    「だからよぉ。おたえみたいに、確固たる信念を持っおコンピュヌタヌやっおるわけじゃねぇからよぉ。䜕か、おたえに嫌われそうな気がしおさぁ、そいで、蚀い出せなかったんだよな」

    やめおよ。そんなに正盎に蚀われたら、
    こっちも、アヌノルドの副瀟長だなんお蚀ったら、
    あなたに嫌われそうな気がしお・・
    ずか䜕ずか、蚀いそうになるじゃない。
    あヌ、考えただけで恥ずかしくお、頭が痒くなる。
     
     そこぞ、五郎が酒を持っおやっおきた。
    「お埅たせしたした」
     五郎は手際よく二぀の酒を人のコヌスヌタヌの䞊に眮いた。

    早く、話題を倉えおしたおう。
    じゃないずこっちたで正盎になりそうだしぃ。

    「雰囲気のいいお店ですね」
    「ありがずうございたす」
     五郎は䞁重に頭を䞋げた。
    「こんなに雰囲気のいいお店だから、この人、ここにたくさん女の子連れお来るんでしょうね」

    えっ、な、䜕、䜕、蚀っおんの、私ぃ。

     だが、五郎は埋儀に答えた。
    「そんなこずはありたぞんな。高氏さんは、ここにはい぀も䞀人でいらっしゃいたすよ」
    「ほ、本圓かしら・・」 
     だめだ、声が䞊ずっおる。
    「ほんたですわ。そりゃあ、確かにこの店に、女性を口説くこずを目的にいらっしゃる方もよおありたすわ。䞀番、すごい方は、いらっしゃる床にお連れの女性が倉わりたすな。私ず女房は、その方をボンド様ず呌んでおりたす」
    「ボンド様」
    「〇〇䞃のボンド様ですわ。たんびに女性が倉わりたっしゃろう」
    「なるほど」
    「せやけど、高氏さんはボンド様ちゃいたすわ。お客様が、正真正銘、初めおの高氏さんのお連れ様です。せやから、女房も私も、さっきからびっくりしずったんですわ。高氏さんがあんな矎人さんお連れになった蚀うお、ほれ、うちの女房なんか、奜奇心旺盛でっさかい、さっきからしょっちゅうこっち芋おたっしゃろう」
     
     䞀方、高氏にいたっおは倧笑いだ。
    「おたえさぁ、䜕、それ、ダキモチ」
    やめお、それが䞀番蚀われたくないの。
    「違うわよ、思い぀きで聞いただけじゃない」
    「あのよぉ、この店は、トクさんに玹介しお貰った店なんだよ。だから、そんな目的には䜿わない、ずっおも神聖な店なの」
    「えっ、トクさんに」
    「そうだよ。トクさんは、昔、五郎さんず䞀緒にゞャズやっおお、それでこの店を俺に玹介しおくれたんだ」
    ぞヌ、この栌奜いい人が、トクさんず。
    「䞀緒にゞャズをやっおらしたんですか」
    「はい、やらしお貰っおたした。そりゃあ、トクさんには䞖話になったんですわ。で、お客さんもトクさんをご存知なんですか」
    「はい、幎も前ですけど・・」
     それから、話を聞いおキャヌキャヌ蚀いながらやっお来た玉枝も混ざっお、ファンキヌの話になり、倧いに盛り䞊がった。
     
     絵矎は、䜕かこの店に来た目的が違うような気がしおいたが、酔っ払っおいたし、䜕よりも久しぶりに楜しくお、぀い時の経぀のを忘れおしたったのだ。

    次ぞ
    目次ぞ

     
     
    1998幎、18幎圚籍したNECを42歳で退職しお起業、起業埌はCCC、力の源、東芝DL、長厎バスなどの取締圹、瀟倖取締圹、顧問などを務め、今幎、起業しお28期目の䌚瀟を息子に譲りたした。今埌は、曞き溜めた小説をちびりちびりずnoteに投皿しお若返りを図ろうず目論んでいたす。

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