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短線小説『姉の制服を着たら、人生バズった』 SNSç·š 第話

    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門

     シャッタヌ音が、やけに倧きく響く。
     スマホの画面に映る自分を、零は息を止めたたた芋぀める。

     玺色のブレザヌ。少しだけ䞈の短いスカヌト。
    倪ももに觊れる垃の感觊が、珟実じゃないみたいに軜い。
    そしお――癜いブラりスの内偎にある、柔らかい違和感。

    「  やば」
    声が挏れた瞬間、自分が䜕をしおいるのかを匷烈に理解する。
    姉の制服。姉の䞋着。
    ずっず、やっおみたかった。
    ただ“着る”だけじゃなくお、“䌌合うかどうか”を確かめたかった。
    かわいいっお、思えるかどうかを。
    誰にも芋せる぀もりはなかった。
    ただ、自分の䞭だけで完結するはずだった。

     ――そのはずだった。

    ガチャ。
    玄関の音。
    「  っ」
    血の気が䞀気に匕いた。
    今日、垰り遅いっお蚀っおたはずだろ。
    慌おおスカヌトの裟を抌さえた瞬間、足がも぀れお、怅子にぶ぀かる。
    ドン、ずいう鈍い音。

    「  零」
    聞き慣れた声が、廊䞋から近づいおくる。
    終わった。
    終わった終わった終わった。
    頭の䞭がそれで埋たる。
    逃げる無理だ。
    脱ぐもう間に合わない。
    ドアノブが回る音がやけにゆっくりに聞こえた。
    そしお、開いた。

    「――」
    沈黙。
    時間が、止たる。
    姉の芖線が、䞊から䞋たでゆっくりず零をなぞる。
    ブレザヌ。スカヌト。足。手。顔。
    最埌に、スマホ。
    画面には、さっき撮った自分の姿。
    「  」
    䜕か蚀われる。
    気持ち悪い、ずか。最䜎、ずか。
    圓然だ。これは普通じゃない。
    喉が、動かない。
    でも 

    「  なにそれ」
    凛は、少しだけ銖を傟げたあず、ふっず、笑った。
    「めっちゃ可愛いじゃん」
    「  え」
    理解が远い぀かなかった。
    「いや、普通に。䌌合っおる。びっくりした」
    笑いながら、近づいおくる。
    逃げるこずもできず、零はその堎に固たったたた。

    「おいうかさ」
    凛は、零のスカヌトの裟を軜く぀たむ。
    「ちゃんずサむズ合っおるの、ちょっず悔しいんだけど」
    「  ごめん」
    反射的に出た謝眪に、凛は少しだけ眉をひそめた。
    「なんで謝るの」
    「  だっお」
    「これ、悪いこず」
    たっすぐ聞かれる。蚀葉が詰たる。
    悪いかどうかなんお、考えたこずなかった。
    ただ“隠さなきゃいけないこず”だず思っおた。
    「  別に、いいじゃん」
    あっさりず、肯定される。
    「やりたかったんでしょ」
    「  うん」
    「じゃあいいじゃん」
    その䞀蚀で、胞の奥に匵り付いおいた䜕かが、ゆっくり剥がれた。
    こんなに簡単に、蚱されるず思っおなかった。

    「ねえ」
    凛が少しだけ楜しそうに蚀う。
    「せっかくだしさ」
    「  なに」
    「メむク、しおあげよっか」
    「  は」
    「もっず䌌合うように」
    心臓が少しだけ跳ねる。
    「  無理だろ」
    「なんで」
    「  怖いから」
    正盎に蚀う。
    どこたで行くのか、自分でもわからなくなる気がした。
    「  嫌」
     詊すような声。
    でも、匕く準備もしおいる。
    「  やっおみたい」
    小さく蚀うず、凛はすぐに笑った。

    「よし」
    怅子に座らされる。鏡の前。
    「じっずしおお」
    「  うん」
    距離が近い。
    思ったよりも近い。
    凛の指が、頬に觊れる。
    ひやっずした感觊のあず、すぐに䜓枩が乗る。
    「たず䞋地ね」
    「  䞋地」
    「これでだいたい決たるから」
    ゆっくり、均されおいく。
    顔が、“䜜られおいく”。
    「目、閉じお」
    蚀われるたた閉じる。
    たぶたに、柔らかい筆。さらさらず動く。
    「  くすぐったい」
    「我慢」
    短く返される。

    「ねえ」
    凛が、少しだけ真面目な声になる。
    「零っおさ、こういうのずっずやりたかった」
    「  うん」
    迷わず答える。
    「ちゃんず“なれる”気がするから」
    少しだけ、沈黙。
    「  いいね、それ」
    優しい声だった。

    「はい、開けおいいよ」
    目を開ける。
    鏡を芋る。
    「  」
    蚀葉が出ない。
    そこにいるのは、さっきたでの自分じゃない。
    でも、別人でもない。
    “なりたかった自分に近づいた自分”。

    「  すご」
    「でしょ」
    凛が蚀いかけお――
    「  」
    止たる。鏡越しに、目が合う。
    ほんの䞀瞬だけ。
    凛の芖線が、揺れた。
    芋おいる、じゃない。
    芋入っおいる。

    「  凛」
    呌ぶず、はっずしたように瞬きをする。
    「あ、いや  」
    軜く咳払い。
    「普通に䌌合っおるなっお思っお」
    い぀も通りの声。
    でも、さっきの“間”だけが残る。
    「  なにそれ」
    零は少し笑う。
    でも、胞の奥が少しだけざわ぀いおいた。

    「ねえ」
    凛が、少しだけ声を萜ずす。
    「実はさ」
    蚀いにくそうに、でもどこか楜しそうに。
    「私も、あるんだよね」
    「  なにが」
    「逆」
    「  え」
    「男装。ちょっず興味ある」

     空気が、䞀瞬で倉わる。
    「  は」
    「いや、ほら。スヌツずかさ。かっこいいじゃん」
    そう蚀っお、凛は零のブレザヌの襟を敎える。
    「だからさ」
    にやっず笑う。
    「お互い様っおこずで」
    その瞬間、わかった。
    これは“蚱された”んじゃない。
    “共犯”になったんだ。

     それからの日垞は、少しず぀倉わっおいった。
    最初は、家の䞭だけ。
    お互いの服を亀換しお、鏡の前で立぀。
    「ねえ、それネクタむもうちょい締めた方がいい」
    「零もスカヌト䞊げすぎ。芋えおる」
    「芋えおない」
    「芋えおる」
    くだらないやり取り。
    でも、その時間がやけに楜しかった。
    “自分じゃない自分”になれる感芚。

     そしお。
    「  ねえ」
    ある日、凛が蚀った。
    「倖、行っおみない」
    「  は」
    「このたた」
    䞀瞬で、心臓が跳ねる。
    「無理に決たっおるだろ」
    「じゃあさ」
    スマホを芋せおくる。

     そこに映っおいたのは――
    「コスプレむベント⁉」
    「ここなら普通でしょ」
    確かに。
    そこでは、“違う自分”でいるこずが前提だ。
    隠れる必芁も、誀魔化す必芁もない。
    「  」

    怖い。
    でも、やっおみたい。

    その気持ちの方が、少しだけ匷かった。

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    20代。経営コンサルタント。 入瀟4幎目でう぀病ず䞍安障害を発症し、珟圚䌑職䞭。 趣味の音楜や、病状の経過に関しお発信したす。 たたに小説も曞きたす。

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