
北の国から 〜脂と友情〜
北海道にいる親友から突然、小包が届いた。
なんなの、あの姐さん。
あたしの人生、だいたいAmazonの「おすすめ商品」に支配されてるのに、たまにこういう“人間の手動アップデート”みたいなことしてくる人がいるのよ。
しかも、ただの物資じゃないの。
中を開けたら、
・ベーコンの塊
・立派すぎるアスパラガス
・北海道でメンタル安定して育った牛さんのバター
・暴力的うまみソーセージ
っていう、「北海道、まだ本気出せます」セット。家の冷蔵庫の中が、ちょっとした北の帝国になったわ。
でね、まず思ったの。
スーパーのベーコン、薄すぎ問題。
「本日のタンパク質入り印刷物はこちらです」くらい薄い。
フライパンに置いた瞬間、
“ジュッ”じゃなくて、
“ヒラ…”なの。
存在感が、レシート。
でも今回届いたのは、“塊”。塊よ、塊。
ベーコン界のラスボス。
「脂とは何か」
「豚とは何か」
「人生とは何か」
全部問いかけてくる厚み。
で、その瞬間あたしの脳内に、10年前のサンフランシスコが蘇った。
サンフランシスコって、ヘルシー文化と退廃文化が、同じ通りに共存してる街なのよ。
片側では:「オーガニックケールスムージー」
反対側では:「ベーコンに砂糖と唐辛子とメープルぶっかけました」
情緒どうなってるの?
で、その頃あたしが出会ったのが“Millionaire's Bacon”ーーミリオネアズベーコン。直訳すると、「億万長者のベーコン」。いや、名前…..欲望むき出しすぎるのよ。
でもこれ、ただのネット飯じゃなくて、発祥はサンフランシスコの人気ブランチレストラン、Sweet Maple ーーhttps://www.sweetmaplesf.com/
当時、ベイエリアでブランチ文化が爆発してた時代。
でね、これがただのベーコンじゃなくて、厚切りベーコンを、ブラウンシュガー、メープルシロップ、カイエンペッパー、胡椒なんかで味付けして、カリッカリに焼き上げる。
つまり、甘い→しょっぱい→辛い→脂うまい。を、脳に直接ぶち込んでくる食べ物。もうね、人類の“やめられない”を研究し尽くした味。
知ってた?シリコンバレーが作ってるの、AIだけじゃなかったのよ。「依存性」って食の領域も開発してたの。
しかも、当時のサンフランシスコって、ちょうど、テックバブル、IPO長者、Google shuttle、Uber急成長、クラフト文化、オーガニック信仰が、全部混ざってた時代。
街全体が「世界変えます」って顔してた。でも朝になると、みんなベーコン食べてた。
結局、人類を支配するの、AIじゃなくて脂なのかもしれない。
でもわかる。だって美味いんだもの。資本主義って、だいたい美味しいのよ。怖いわよね。
そんな記憶が蘇って、あたし、やったわ。厚切りにしたの。もうね、切った瞬間から違う。
「ペラッ」じゃないの。
“ゴッ”って感じ。音からしてもう強い。
ブラウンシュガー、メープル、胡椒、ちょっと唐辛子につけてエアーフライヤーで焼いたのよ。「ほったらかしで簡単」とか言うじゃない?
いや、あれ、“文明”に見せかけた油断なの。特にミリオンダラーベーコン系、砂糖入ってるから。ブラウンシュガー+メープル+脂。つまり、「焦げてください」のフルコンボ。
なのに、あたし「まぁエアーフライヤーだし〜」→ノールック放置。
結果。
開けた瞬間、「え、これ発掘された炭?」みたいになってた。
香りは超一流。見た目は焼け野原。
でも不思議なのよね。あの、ちょっと焦げた部分の、“背徳感の旨さ”。完全に、「身体には悪そう。でも魂には効く。」の領域。
あと、エアーフライヤーって怖いのが、途中までは「あら♡いい感じ♡」なのに、ある瞬間から急に「はい、火葬。」なのよ。
グラフが直線じゃない。シリコンバレーのAI株くらい急角度。
だから今回学んだ。人生も、ベーコンも、「放置でうまくいくと思った瞬間」が一番危ない。
で、横には北海道アスパラガス。あのアスパラ、何?お育ち良すぎない?
スーパーのアスパラって、たまに「人生に疲れました…」みたいな細さしてるじゃない?
でも北海道のは違う。
立ってる。
堂々としてる。
自己肯定感ある。
なんかもう堂々と、“光合成に成功した野菜”って感じ。
で、そこにあたし独自開発のランチディップ。いや、“ランチ”って書くと急にアメリカの給食感出るわね。
ランチ(lunch)じゃないの。Ranch。
あの、アメリカ人が「野菜食べてるからヘルシー」って言いながら、実際は高カロリー白いソースを大量摂取してる、あの魔性のディップ。
でもわかるのよ。あれ、美味いの。あたしもRanch信者。
野菜を食べてるのか、ディップを食べるための棒として野菜を使ってるのか、途中からわからなくなる。完全に、“野菜を健康食から背徳食へ変える装置”。
で、そのディップに北海道アスパラをボチャン。
うまい。もう、びっくりするくらいうまい。
シャキッ。
ジュワ。
クリーミー。
脳が「これは自然です」って認識しようとしてるのに、舌が「いや、かなり資本主義です」って言ってくる。
しかも、横には焦げたミリオネアズベーコン。

大人になると刺さるものが変わる
最近、心に刺さるのって「誰かが自分を思い出して送ってくれた食べ物」だったりするの。
しかも、その人が「これ絶対あんた好きでしょ」ってわかってる感じ。
あれ、地味に泣く。ありがとう、姐さん。
北海道から届いたの、食べ物だけじゃないのよ。「あんた、ちゃんと食べなさいよ」っていう、見えないメッセージなの。
人って結局、こういうので生き延びるのかもしれない。
資本主義。
効率。
AI。
SNS。
アルゴリズム。
毎日、脳みそを市場にレンタルして生きてるけど、最後に回復させるのって、こういう「人から届く、温度があって、あったかいやつ」なのよね。
で、あたしは今日、焦げたミリオネアズベーコンを食べながら思ったの。
人生、だいたいちょっと焦げてるくらいが、一番うまい。