ある日突然、地方でサッカークラブを立ち上げることになってしまった2
第2話 立ち上げの準備期間1日
「明日の午前10時に事務所へ来てくれ」
前日の夕方、突然連絡が入った。
嫌な予感はしていた。
しかし、その予感は当たってほしくなかった。
翌日、社長から告げられたのは契約終了だった。
いわゆるクビだった。
説明を聞いても、頭に入ってこない。
何を言われたのかは覚えている。
だが、そのときの私は言葉を理解しているようで、理解できていなかった。
事務所を出て車に乗り込んだ。
しばらくエンジンをかけることもできなかった。
悔しさ。
怒り。
情けなさ。
いろいろな感情が頭の中を駆け巡った。
それでも、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。
私は必死に頭を整理した。
今、何をするべきか。
幸い、生活の心配はなかった。
ありがたいことに、毎年いくつものクラブから声をかけていただいていた。
次の仕事を探すことはできる。
問題はそこではなかった。
私には、どうしても放っておけない選手たちがいた。
私の指導を受けたいと、自ら育成コースを辞めてスクールへ来てくれた選手たちだ。
彼らは大人の事情など知らない。
ただサッカーが上手くなりたい。
もっと学びたい。
その気持ちだけで私についてきてくれた。
その選手たちを残して、自分だけ別のクラブへ行く。
そんな選択はできなかった。
車の中で一つの結論にたどり着いた。
クラブを作ろう。
自分で。
グラウンドはない。
選手登録もない。
お金もない。
何から始めればいいのかも分からない。
それでも迷いはなかった。
むしろ不思議なほど気持ちは落ち着いていた。
やるしかない。
そう思った。
こうして私は、人生で最も無謀な挑戦を始めることになった。
クラブ立ち上げの準備期間は、たった1日だった。