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Photo byshirousagi_nun

「パパってなんでそんな変なことばっかり言うの?」

    ダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいた。

    息子はソファで漫画を読んでいる。

    娘が起きてくる。

    「おはよー、パパ」

    「おはよー。ニコパン買ってきたよ、二つ。いつものところに置いてあるよ」

    ニコちゃんマークのパンのことだ。娘がそう呼ぶ。

    娘の目つきが変わる。

    パンの置き場へ行って、しばらく黙っている。

    戻ってきたときには、マジックとポストイットを持っていた。

    一つ目のパンの横に、ポストイットを貼る。

    ひらがなで、自分の名前。

    「上手に書けてるね。どうしてお名前書いたの?」

    「ほかのひとに食べられないため」

    ほかのひと、と娘は言った。

    この家には四人しかいない。

    「そっかぁ。じゃあそこに、パパって書いちゃおうかなぁ」

    「パパってなんでそんな変なことばっかり言うの?」

    ソファから、兄が言った。

    諭すような声だった。

    「変なのがいつもなんだよ」

    娘は少し考えて、もう一枚、ポストイットを取った。

    マジックのキャップを外す。

    二つ目のニコパンの横に、今度は迷わず書いた。

    ぱぱ、と。


     
     
    47歳・外資系BD・2児の父。早朝の坂、家族の食卓、商談、AIとの対話のあいだで起きる「認知の1mmずれ」を書いています。早稲田政経卒、転職5回、最大1,423Wスプリンター。創作大賞2026参加中。

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