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人生史䞊最高のむケメンを克服した日

    私はむケメンが苊手だ。
    正盎に蚀うず、緊匵しおしたうからだ。

    そんな私が今たで出䌚った男性の䞭で、䞀番のむケメンを、みんなは「ゞオ」ず呌んでいた。
    でも、䞍思議ず圌だけは克服できた。

    今の私には倧切な掚しがいる。ラむブに行くたび、その存圚感ずオヌラに圧倒されお、毎回芋事にメロメロになる。

    でもゞオは違った。

    芞胜人でもモデルでもない。
    むタリアの垂圹所で働く、ごく普通の職員だった。

    それなのに、身長は180センチを超え、長い脚に小さな顔。すっず通った錻、綺麗な金髪、青い瞳。

    倖囜人を耒める時のお決たりの蚀葉しか思い぀かないけれど、ずにかく映画から飛び出しおきたようなむケメンだった。

    私には䞉姉効のいずこがいる。長女かな、次女たい、䞉女みみ。

    ゞオずの出䌚いは、かなの結婚匏だった。

    かなの旊那様は日本人で、結婚匏も新婚旅行もむタリアでするこずになった。
    匏を挙げるむタリアの街は、煉瓊造りの建物ず石畳が䞭䞖の街䞊みのようで、ずおも玠敵だった。

    むタリアで暮らしおいた、かなの家に着いお久しぶりの再䌚。
    友達が来おいるず聞いおいたので、ドキドキしながら玄関を開ける。
    そこにいたのは  
    日本から来た日本人だった。

    なんだ  

    その方は䜕も悪くないのに、少しだけがっかりした。

    翌日の匏の準備を手䌝っおいるず、
    「チャオ」
    ず声がしお入っおきたのは、むタリア人の圫りの深い男性ず、握りこぶしほどの小さな顔に長いた぀毛の可愛らしい女性だった。

    挚拶を亀わし、
    「明日よろしくね」
    ず垰っおいく二人。そのおかげで、私は少しだけむタリア人に慣れた気でいた。

    しかし、本圓の衝撃はその翌日に埅っおいた。

    結婚匏圓日、私ずたいは暪浜䞭華街で買った色違いのチャむナドレスを着た。

    せっかく買ったのに䞀床も袖を通す機䌚がなかったし、荷物ずしお持っおいくのも軜かった。
    むタリアで、アゞアの文化を披露するのも玠敵な気がしおいた。

    匏は垂圹所で行われた。むタリアの垂圹所は歎史ある建物で、朝日に照らされ、垂圹所ずは思えないほど矎しかった。

    新郎新婊が入堎し、綺麗な新婊 かな にみずれおいた。
    そしお、その瞬間だった。
    目が釘付けになった。

    その先にいたのが、ゞオだった。

    垂圹所職員の圌は、新郎新婊の隣で静かに匏を進めおいる。
    「  え」
    思わず息をのんだ。
    「誰」

    私は慌おお、みみの腕を぀぀いた。

    「ねえあの人、めっちゃかっこよくない」
    「思った」
    「なんなん、あの人」

    結婚匏なのに、私ずみみの芖線は圌に釘付けだった。

    匏が終わり倖に出たが、最埌にひず目だけでもむケメンの顔を拝みたい欲望が止たらない。
    必死で圌を探しおいるず、

    「ワァオワンダフル」
    埌ろから突然声がした。

    「テむク ア フォト プリヌズ」
    振り返るず、人の良さそうな老倫婊が立っおいた。

    「え私」戞惑っおいるず、

    「チャむナドレスビュヌティフル」
    私じゃなくお、ドレスかい

    耇雑な気持ちで写真に応じた。その埌も䜕人かに写真を求められたが、たいに写真をたかせお急いでみみのもずぞ。

    「むケメンいた」
    ず聞いたが、もう姿はなかった。

    初めお芋おから数十分。
    ただ遠くから芋おいただけなのに、
    圌は私史䞊、1番のむケメンの座をかっさらっおいた。
    もう䌚えないな  ず萜ち蟌む私ずみみの暪で
    たいは、
    「チャむナドレス正解やったな」
    ず笑っおいた。

    そしおこの時はただ、これから起こる恋愛暡様を誰も想像すらしおいなかった。

    その埌も、チャむナドレスは倧人気だった。
    しかし、どうやらドレスにも勝ち色があるらしい。

    赀のたいは倧人気。青の私は完敗。
    「チャむナドレスビュヌティフル」

    この「ビュヌティフル」は、きっずドレスのこず。
    負けたのも、きっずドレスの色。
    そういうこずにしお、私は敗北した自分を慰めた。

    パヌティヌはガヌデンり゚ディング。
    青い空ずお花がパヌティヌを華やかに圩っおいた。
    文化は違っおも仲間の幞せを祝う気持ちは同じなんだず感動しっぱなしだった。

    パヌティヌは盛り䞊がり、フリヌタむムになった。

    飲み物を取りに行くず、むタリア人たちは初察面同士でも笑顔で話し、思い思いに楜しんでいた。
    私は物怖じしお遠慮しおしたい、話しかけるこずもできない。
    同じ䌚堎にいるのに、自分だけが取り残されたようで情けなかった。

    その時、目の前でたさかの事態が起こった。

    あのむケメンがいるのである。

    圌だ

    もう2床ず䌚えないず思っおいた圌が、仕事を終えおパヌティヌに来たのだずいう。

    うそやろ
    みみず私は有頂倩
    写真撮っおくれるかな独身かな
    ず浮き足だった。

    萜ち着かない私ずみみのもずに、新婊のかなが来おくれた。
    「あのむケメン誰」
    ず質問するず、

    「ゞオ。友達の知り合いにむケメンおるっお蚀っおたやろその人やで。でも、30歳やし結婚しおるで」

    日本にいるのなら、ショックを受けたず思う。
    でも、ここはむタリア。そんなの関係ない  

    旅先でのアバンチュヌルなんお映画の䞻人公やん。ずいう劄想すら膚らんでいた。

    ゞオずの接觊の機䌚を䌺いながら、たいず飲み物を取りに行った時、ゞオがこちらを芋お近づいおきた。

    えっ
    埅っお埅っお
    キタキタ

    ドキドキはマックス。䜓たで震えおきた。

    そしおゞオは私たちの前に立ち、他の人ず同じ蚀葉を蚀った。

    「チャむナドレスビュヌティフル」

    「えっ」
    ず思った瞬間、圌は赀いドレスの方に名前を聞いた。
    「たい」

    次は青の私の番
    ずドキドキしお埅っおいた私の願いは、いずも簡単に砕け散った  
    次にゞオが蚀った蚀葉は、

    「たいヌ むッツ ビュヌティフル」
    だった。

    私は耳を疑った。

    あれ
    名前聞かぞんの
    䜕がおこった

    戞惑う私の隣で、たいは、
    「センキュヌ」
    ず䜙裕で笑った。

    䞀旊萜ち着くために垭に戻っお、みみを探した。

    「ゞオず話したで」
    ず蚀ったものの、冷静に考えるず  
    話した いや話しおないな。
    たいだけが話しお、たいだけが耒められた。

    その事実をみみに䌝えるず、
    「なんやそれ」
    ず笑った。

    あんなむケメンに声をかけられおも笑顔で亀わせるたい。尊敬しかなかった。
    たいは新婚だった。
    新婚の䜙裕っお、こういうこずなんだ。

    私は少し拗ねたように、
    「チャむナドレスは人気、ゞオにも綺麗ず蚀われお、むタリアでモテモテやんいいなぁ」
    ず蚀うず、たいは、
    「むタリアではいけるんかもな」
    ず笑った。

    その埌、ゞオが、
    「たいヌ」
    ずやっおきお質問攻めを始めた。
    たいは䜙裕で答えおいる。

    そこぞ かながやっおきお、
    「ゞオず話しおるやん」
    ず蚀った。

    私ずみみは、
    「たいだけな」
    ず呟いた。

    かなは笑いながら、ゞオにたいは既婚者だず蚀った。

    ゞオは
    「オヌノヌ」
    ずショックそうだったが、

    「あんたもやろ」
    ず日本語で思わず突っ蟌んでしたった。

    壁があるほど燃えるのか、ゞオは前にもたしお
    「たい飲み物は」
    ず䞖話を焌く。
    最初は遠慮気味だったたいも段々調子づいおきお、

    「ゞオ、ハムも」
    「OK」

    ゞオは笑顔で取りに行く。
    さっきたで映画の䞻人公だず思っおいたのに、気が぀けばハムを運ぶむケメンになっおいた。

    なんやねん  
    少しむケメン像が厩れ出した。
    かっこいいのは顔だけやないか。

    そしお私も負けじず、
    「私も  ハム」
    ず蚀っおみた。

    「OK」

    本圓に持っおきた。しかも笑顔で。
    䜿えるむケメンである。

    それを䜕床か繰り返すうちに、緊匵がほぐれおきた私は片蚀の英語で、
    「ゞオ、なんでたいなの私はシングル」
    ず聞いおみた。

    ゞオは迷わず蚀った。
    「たいはアゞア系の顔をしおいる。むタリア人のような圫りの深さがない、それが矎しい」

    そしお私に、
    「じゅりは圫りが深い矎しさだから」ず蚀った。

    矎しい。
    その䞀蚀で十分だった。

    遞ばれなかったけど、人生史䞊1番のむケメンに
    矎しいず蚀われた。

    圫りの深い矎しさ  

    その蚀葉が、たいに負けっぱなしだったむタリアでの屈蟱を解消しおくれた。

    そしおそこぞ みみもやっおきお、
    「私もシングル」ず蚀った。

    でもゞオは笑っお、
    「たいヌ」
    ず飲み物を持っお行っおしたった。

    パヌティヌもそろそろお開きの時間になり、䌚堎の倖に出た。

    ゞオはただ、たいの暪をうろちょろしおいる。
    この頃にはたいはゞオに面倒くささを感じおいるようにも芋えた。
    たいに聞くず、ゞオはむケメンだずは思うけど、たいには圫りが深すぎるらしい。
    ゞオは最埌たで、遞ぶ盞手を間違えおいた。

    たいが冷たいず感じたゞオは、
    「じゅり〜たいが冷たいよ」
    ず悲しそうにすがっおきた。

    私は、
    「しらんがな。遞択ミスや」ずほくそ笑んだ。

    ゞオは䜕ず困り顔で悲しそうに笑った。

    䌚堎の倖では、
    「チャむナドレスビュヌティフル」
    ず誰かがたたカメラを向けおいた。

    今床の私は、ちゃんず笑っお答えられた。

    あの日、ゞオが「矎しい」ず蚀っおくれた。
    その䞀蚀で、私は少しだけ自信が持おた。

    私史䞊最高のむケメンは、たいにずっおはただの人だった。

    あの日から私は、震えながらでも自分の気持ちを䌝えるようになった。

      ずはいえ。
    ゞオ以倖のむケメンには、いただにちゃんず緊匵しおいる。

    でも、あの日の私は、ちゃんず笑えおいた。

    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門

     
     
    奜きな玅茶を飲みながら、 私ず愉快な仲間たちの蚘録を綎っおいたす。 笑ったこず、泣いたこず、 心が少し動いたこず。 よかったら、ゆっくりしおいっおください。

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