
ルーシーベリーのやさしい世界 37話
7日目 最終日
ホテルの部屋 朝食後
父:「今日はどう過ごしたい?」
帰宅のシャトルは、やはり夜の23時頃になるため昼間は丸々空いていた。
ルーシーは少し考え込んで
「んー 特にこれがしたいってはないけど…名残を惜しんでざっと見て回ろうかな。あちこち行きたいから、みんなは付いて来なくていいよ」
母:「じゃあ、おとうさんだけ付いていきなさいよ。あたしたちはもう一度月面スパでゆっくりして仮眠を取っておくから」
曾祖父:「あのマッサージ気持ちいいんじゃ」
家族一同、納得。
ホテル外
オートガイドをオフにして、あちこち軽快に移動するルーシーと、ついてゆく父。
「おとうさん、はやくはやくー!」
「そんなに急ぐ必要はないよー」
月の散歩は地上とくらべて楽なことこの上ない。
真っ黒な空なのに明るい景色。
改めて月面独特の風景に考え込んでしまう。
月面到着したとき、
月から眺めた母星、
月面での移動の軽やかさ、
月面バスケとアーサーやカマウたち
「なんだか良くわからないんだ…
早く帰りたい気持ちと、二度と来られないかもしれない名残惜しい気持ちで」
そう言ったルーシーの目から涙が零れた。
そんなルーシーの涙に胸を締め付けられた父は決意を固めて言った。
「大丈夫!これで最後にしないよ。
またいつか連れてくるって約束するよ」
父の言葉に一瞬きょとんとしたが、からかうように言った。
「そんな安請け合いしていいのぉ?」
「あぁ、20年…10年以内にはまた来よう!」
「期待しないで待ってるね」
いたずらっぽく笑いながら言った。
父の鼻息は荒かった。
屋台で食べ歩きしたり、名所を回るルーシーと父。
黒い空には青い母星。
ホテル 夕食後
祖父:「あの月面スパのカプセル浴槽、地上でも使えるかなぁ?」
母:「無重力感覚は無くなるけど、マッサージ機能は使えるみたいね」
祖父:「なら1つ購入するかなぁ」
嬉しそうな祖母。
曾祖父:「お前のとこにあるならときどきお邪魔するか」
曾祖母:「いいですねぇ」
祖父母:「「いつでもどうぞ」」
父:「じいちゃんとこへ行く楽しみが増えるな」
母:「ベリーはあまり興味なさそうだけど、いいわねぇ…
あらあら、ベリー寝ちゃってる」
父:「ちゃんと“ゆりかご”借りてるから寝かせたままでいいよ」
赤ちゃんや寝た子用の自立して勝手についてくる“ゆりかご”が用意されていた。
返却はエリオナの宇宙EVで可能だ。
帰星
“ゆりかご”に格納され、シャトルに固定されるルーシー。
エリオナの宇宙ステーションへ。
遠ざかってゆく月。
エリオナの宇宙ステーション
お菓子をもらった土産物屋へ顔を出す。
最初に来た時より、全体的に綺麗になっており繁盛していた。
父:「また例のお菓子買いにきたよ」
店長:「ありがとうございます!あれ以来すっかり繁盛が続いています。
壊れっぱなしの棚も修理できましたし。お菓子はお好きなだけ提供いたしますよ」
曾祖父:「そうはいかん!ちゃんと定価をお払いいたしますぞ」
店長:「いえいえ、本当に。本来ならちゃんと別途CM料をお支払いしたいくらいなので」
曾祖父:「ふむ。そういえば他の文化圏の方にも好評だったから支店を出してはいかがかな?わしがスポンサーになってやろうか」
店長、少し考え込んで言う。
「そのお話は考えさせていただけますか?別途お話いたしましょう。
それも含めお菓子くらいはいくらでもご提供させてください」
曾祖父:「そういうことならいただいて行くとするか。ルーシーももっと食べたいだろうしのぉ」
店長、“ゆりかご”で眠るルーシーに声をかける。
「おじょうちゃん、本当にありがとうね」
宇宙EV
降下するほどに重力が戻る。
曾祖父:「いたたたた!…こ、腰がぁ」
家族も苦笑いしながらも、重力を実感していた。
地上のレイナスへ到着。
“ゆりかご”を返却するため覆いを取り払うとルーシーが目を覚ます。
「あれ?ここどこ?」
「もうレイナスだよ」
「そっかぁ“ゆりかご”返却してエアカーへ移動だね…
あ、この“ゆりかご”赤ちゃん用のSサイズじゃん!」
ふくれっ面するルーシーに家族みんながほっこり。
祖父母・曾祖父母:「「「それじゃあルーシー、またね、元気でね」」」
みんなの手が伸びてルーシーを撫でまわす。
「あはは、うふふ」と満足そうなルーシー。
エアカーで出発し、
空に浮かぶ月を見つめるルーシー。
(またいつか・・・)