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掌線小説 たた来幎

    蝉の鳎く声が聞こえる。
    窓に近付くだけで倖の熱気が䌝わっおくる。
    窓の倖の入道雲を芋぀めながら、私は圌ず叀いアパヌトの䞀宀にいた。

    「倖、すごい暑そう 」

    「あぁ そろそろ垰る時間か 」

    「だね。たた来幎」

    私の「たた来幎」ずいう蚀葉に圌は衚情を暗くする。

    「やっぱり、俺がそっちに行った方がいいのかな」

    「たた、その話ダメっお蚀ったじゃん」

    私の蚀葉に圌はさらに顔を曇らせた。

    「だっお、俺がそっちに行けば䞀緒にいられるじゃないか。お前は こっちに来れないんだし 」

    勢いよく蚀った蚀葉が埌半になるほど、匱々しくなっおいく。

    「浮気ばっかしおたくせに䞀途な男みたいな蚀い方しないでよ」

    「䞀途だろ。䞀途じゃなきゃ䞀幎に䞀回しか䌚えない女を埅぀わけないだろ」

    普通なら、圌のこの蚀葉に嬉しさを感じるかもしれない。
    嬉しくないず蚀ったら嘘になるけど、私はその蚀葉に苛立ちず呆れを感じる。
     よくもたあ、そんなこずが蚀えるな ず。

    「䜕が䞀途よ。私が死んでから私の倧切さに気付いたダツが」

    「 それを蚀うなよ 」

    こっちを芋おいた圌が芖線を逞らす。

    私は死んでいる。

    圌は私が生きおいた頃に付き合っおいた圌氏。
    私が生きおいた頃、圌は浮気を繰り返しおいた。
    バレる床に謝っお、私も別れればいいのに蚱しおしたっおいた。
    䜕床目かの仲盎りをした日の倜、圌の家から垰る途䞭、事故に巻き蟌たれお死んでしたった。

    お葬匏が終わるたで、私はこの䞖にいた。
    圌は私が死んだこずを知るず、ものすごく泣いおいた。
    お葬匏でも、うちの芪に負けないくらい泣いおいた。
    圌の泣きじゃくる姿に嬉しい気持ちもあった。
    けど、同時に䜕床も浮気を繰り返しお、私のこずを雑に扱っおいた自分勝手さを思い出しお「ざたぁみろ」ずも思っおいた。

    お盆に垰っおくるたびに圌を芗きにいくず別人のようになっおいお、そのたたではいられず圌の前に珟れた。
    私の姿にビビっお浮気したこずを謝り倒したら、ちょっず脅しお消えようず思っおいた。
    でも、圌は突然、珟れた私にすごく驚いおはいたけど怯えるこずなく、私ずたた䌚えたこずに子䟛のように泣きじゃくりながら喜んでいた。

    圌のその姿に負けた。

    私がこの䞖にいられるのはお盆の間だけ。
    芪の顔も芋に行けるはずなのに圌ず過ごした思い出ず、圌が私を想う気持ちが籠ったこの郚屋に毎幎、来おしたう。
    生きおいた頃よりも死んでからの方が長く、この郚屋にいる気がする。

    「やっぱり、俺にはお前しかいない」

    圌はビヌルを䞀気に飲み干すず蚀い出した。

    「浮気がバレた時によく聞いたな。そのセリフ」

    「そっちに行く。だから、これからも䞀緒にいよう」

    「ダメ」

    「ダメっお お前だっお俺ず䞀緒にいたいから毎幎、こうしお来おくれるんだろう?」

    「だっお、あんた、私ず䞀緒にいられるっお分かったら、たた浮気するでしょ」

    「 もうしない」

    「信じられない」

    「冷たいな 」

    「あ぀いでしょ」

    「䜕で気枩の話をしおんだよ」

    「気枩の話じゃないよ。奜きな男が死ぬず蚀っおるのを止める女が冷たいわけないでしょ」

    「 確かに」

    反論できないのか圌がう぀むく。

    「それにあんた、倩囜に来れないでしょ」

    「䜕でだよ? 俺は本気でお前ず䞀緒にいたいんだ」

    ムキになった圌が身を乗り出しお蚀っおくる。

    「浮気したくった人間が倩囜に来れるわけないじゃん」

    私の蚀葉に小さく「あ 」ず蚀うず圌は力が抜けたように゜ファヌに座り蟌む。

    「 盲点だった」

    「垞識でしょ」

    ぀い錻で笑いながら蚀っおしたう。
    我ながら性栌悪いなず思うけど、こい぀には蚱されるはず。

    倕日に照らされた入道雲の色が暗くなっおきた。
    この郚屋にいられる時間が終わりに近づいおいる。
    窓に近づき、入道雲を芋぀める。

    「来幎たで私がどれだけ倧切な存圚だったか反省しながら埅っおなよ。でも 」

    「 でも?」

    「この人ず䞀緒にいたいず想える人ず出䌚えたら埅たなくおいいからね 」

    入道雲を芋぀めおいたら、蚀う぀もりがなかった蚀葉が口に出る。

    「俺の女はお前だけだ。来幎も再来幎もその先もずっず、俺はここでお前を埅぀」

    その蚀葉に思わず振り返っお、圌を芋る。
    圌のこんな真剣な目を芋たのは告癜された時だけだったかもしれない。

    「“ 俺の女はお前だけ ”か リナちゃんずの浮気がバレた時に土䞋座しながら蚀っおたよね」

    「 芚えおない」

    「蚀われた偎は芚えおんの。はぁ 䜕で私、こんな面倒くさい男に惚れちゃったんだろう 」

    「別にいいじゃん」

    「䜕でよ」

    「お互いに奜きなら、それだけでいいだろ」

    そう蚀いながら笑う圌。

    あぁ この笑顔だ 
    私、こい぀のこの笑顔に惚れたんだ。
    圌が隣にいる。ただ、それだけで幞せだった。
    浮気したくりの最䜎ダロヌなのに、なんでこんなに愛おしいんだろう。

    圌に近づき、圌の頭に手を䌞ばす。
    圌の頭を撫でようずしおも、私の手は圌の頭をすり抜ける。
    幜霊の私は圌に觊れられない。
    觊れられないから圌の䜓枩も感じられない。

    「 長生きしろよ」

    「長生きするほど、䌚えない時間が続くだろ」

    「だっお、あんたが死んでも倩囜に来れないじゃん。ホントに䌚えなくなるよ」

    この蚀葉に圌はたた、“ あ ”ず忘れおいたような顔をする。

    「人生うたくいかねヌな 」

    ため息を぀きながら圌が蚀う。

    「あんたのせいだよ」

    「 そうだな」

    圌がそう蚀っお笑い出す。
    ぀られお私も笑っおしたう。

    圌の笑顔に觊れたい。

    でも、私にはできない。
    誰よりも近くにいるのに、誰よりも遠くにいる気がする。
    倏の熱気は感じられるのに圌の䜓枩は感じられない。
    熱気なんお感じおも意味がないのに 

    もう少しで日が暮れる。
    圌ずいられる時間が終わろうずしおいる。
    どんなに近くにいおも、圌に觊れるこずも䜓枩を感じるこずもできない。

    それでもいい。
    それでも、䞀緒にいられる時間が終わるその時たで圌のそばにいたい。


     
     
    思い出したこず。思ったこずを曞いおたす。 人生のためになるこずは曞けたせん。 たたに小説を曞きたす。 プラモデルが奜き。 基本フォロヌ返しさせお頂きたす。が、必ずではありたせん 副業でラむタヌをやっおたす https://twitter.com/@Julianmin22019

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