メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【ショートショート】赤とんぼ〜虹色創作部

    カモミールティー

     こんなに明るい外の空間は、たぶん暖かいのだろう。

     見上げる窓の空は、どこまでも澄んでいる青空で、ふわふわと浮かぶ雲も、はっきりと見える。

     手の届きそうなくらいの空が、私にはとても近くに感じられた。

     子どもを学校に見送った後での、1週間ぶりの掃除も丁度終わったことだし、ベランダに干した布団を、そろそろ裏返そうか。

     良い天気。外に出てピクニックも楽しそうだが、それだと干したままの布団が気になるし。

     そんなことを思い、ベランダへ出たタイミングだった。

     一匹の赤とんぼが干した布団の上に止まった。

     うわっ、ラッキー・・・

     私は、そっと、その赤とんぼに近づく。

     布団と赤とんぼ。なんだか、良いことがありそうだし、秋晴れの空にはよく似合う景色だな、などと思っていた。

     だが、近づいた途端にパッと赤とんぼは飛び立ってしまった。

     みている間に、その赤とんぼは、子供の背丈ほどの木々を抜けて、あっという間いなくなった。

     私は、何だかセンチメンタルな気分にもなる。

     冷蔵庫の中にバニラプリンパフェが入っていたはずだ。

     食べたら、太ると分かりつつも、なかなか甘いものは辞められない。

     冷蔵庫から取り出したバニラプリンパフェに、早速スプーンを入れる。ふわふわのバニラホイップが美味しそうだ。

     そこに、額に汗を浮かべながら学校から帰ってきたばかりの子どもの元気な声が重なる。

    「ただいま〜」

     赤いランドセルが目に入る。

    「ママ、ずるい。私も食べたい。」

     そう言いながら、下に落とす赤いランドセルを見ていた。

    「冷蔵庫に同じのが入っているよ。ちょっと待ってて。お昼は食べてきたの?」

    「今日は運動会の振り返りで、午前授業で給食食べて終わりだよ。」

    「そうなの、良かったね。」

     私は良かったと、胸を撫で下ろす。午前中で終わることをすっかり忘れていたのだ。

    「うん。カレーライス、美味しかったよ。ママ、外に赤とんぼ飛んでいたよ。追いかけたら、いなくなっちゃった。」

    「えっ、ほうとうに?」

     もしかして、あの布団の上の赤とんぼかな・・・でも、そんな訳ないよね、と考えつつ、

     布団から飛び立った赤とんぼと、追いかけて走り回る娘の姿を想像する。
     
     なんだか、目の前で美味しそうにプリンを頬張る娘の背中に、その赤とんぼが止まっているのが見えたような気がした。

    了

    虹色創作部様に参加させていただきました。
    うちは、ベランダに布団を干しています。まだ、畳生活をしています。布団をベランダ干すのは大変。でも、日光をたっぷり浴びたふかふかの布団は、気持ちいいのです(^o^)

    #虹色創作部
    #赤とんぼ
    #切なさ
    #ショートショート
    #掌編小説



     
     
     
    怪奇幻想小説が好きです noteは主にショートショート、エッセイ、日記 talesは短〜中・長編小説、ホラー、ミステリー、BLが多め 属性 介護福祉士/子持ちアラフィフ主婦/その他勉強中

    あなたへのおすすめ