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私は私。母は母。ただそれだけ。

    杜ゆう子

    以前、仕事をしている時、若い子に言われた。
    「杜さんて、怒ることあるんですか?」

    皆んなからは、どうやら怒らないキャラに思われてるのか?。

    夫からは「オマエはほんま導火線の短いやっちゃなー」と言われているが。

    ところが、仕事で新人さんを教える時や、息子たちに対して、私以外の人たちに対して、私の中のダイナマイトが爆発することはまず無い。

    仕事で、同僚達が新人さんに教えているのを見る。
    「さっきも言ったよね、それ。」
    口調が荒くなっている。
    同じ事を何度も聞くな。と新人さんに言う。
    この仕事はややこしい。誰もがパソコンを扱えないとダメだし、専門的な風習や、この土地独自の風習も関わってくる。
    今の日本ではどんどん無くなっていく慣習。
    それを若い子達に
    教えなければいけない。
    新人さんが若いとも限らない。
    そして、どの年代の人も、けっこう知らなかったりするようだ。
    その慣習を熟知し、お客様の要望に臨機応変に対応しなければいけない。
    そう容易く覚えられるものでは無い。
    教えてる同僚も私も、新人の時はすぐに覚えられてなかったのに。
    なぜ、今、新人さんにそんな物言いで教えるのかワケがわからない。

    私は新人さんには最初に言う。
    「わからなかったら、同じ事でもなんでも何回でもすぐ聞いて」と。
    わからなかったり、迷ったりした時は先輩達にすぐ聞いて対処しなければいけない事だから。適当に、は絶対ダメ。
    お客様を必要以上にお待たせしてはいけないので、スパっと聞いてもらって速やかに対応することが必要になってくる。
    そんな時に萎縮してる場合では無いのだ。

    私は初めてこの仕事に就いた新人の時恐い先輩達が数人いて、わからない事を聞くと、すぐ怒ったように言い放つ人が多かった。
    そうすると、新人の私たちは萎縮してしまって聞くに聞けない。
    ミスすると怒られる。
    怒るんやったらしっかり教えろよ!
    聞ける体制作れよ!と、よく思っていた。
    みんな萎縮しまくっていた。

    が、実は私はそんな先輩方を特に恐いと思っていたワケではない。
    あの恐い母親の事を思うと、私にとってはどうって事ない人達だ。
    ただ、そんな状況は仕事をする上でイイ訳がないと思っていたので、心の中では先輩に対して(コイツら何考えとんじゃ。アホちゃうか)とガラ悪く思っていた。

    なので、そこからこの仕事を10年余り続けている私は、まず、いつでも誰にでも安心して聞く事ができる体制を作らなければいけないと思った。
    私たちスタッフどうしが仲良くいい雰囲気で仕事をする事が大事だと思った。この場合の“仲良く”は仲良しこよしでやるということではない。
    人が集まれば、それぞれの個性がぶつかり合うことがあるが、そんな時でも穏やかに建設的に話し合いのできる場であるべきだと私は思っていた。

    仕事をしていると、他の部署でだが、よく失敗して怒られている場面に遭遇することがある。
    怒ってる人は声を荒げて「こんなこともわからないの!?バカじゃないの?」とか、「学校行き直して来い!」とか言ってるのを聞いた時には、(オマエがバカなんじゃないの?)と思ったことがある。
    なぜなら、人に物申す時に“バカ”だの“学校行き直して来い”云々は言う必要のない事だと思うから。
    ただ、言わないといけない事だけを言えばいい。伝えなければいけない事だけを伝えればいい。そう思うから。

    人を教えるスキル持ってないのに、偉そうにするな!
    …と思ってしまう。



    私はこういった事に異常に反応してしまう。
    理不尽に怒られたり、人の話を聞こうとしない上司に対して、“上司”、“先輩”という立場だけで偉そうな物言いや態度の人を見ると、無性にハラワタが煮え繰り返る思いがする。
    また、私の周りにはそんな人がたくさんいるのだ。困ったもんだ。

    私はこの片田舎では余所者だけど、だからこそ言わないといけない時には、物事の事実だけを、必要ない尾ひれは付けず、声を荒げず淡々と言うようにしている。相手が声を荒げてギャーギャー言ってきても決して同じトーンでギャーギャー捲し立ててはいけない。

    そんな風に思っている。


    それもこれもあの母親と同じになりたくないからだ。
    私は子どもの頃から母から必要とされず、母が電話で友人に「警察がなかったらあの子を殺したい」とまで言われ、怒鳴られ、蹴られ、どつかれてきた。
    自分が母の言う事をちゃんと聞かないから怒られるんや、と信じ、「アンタはアホやねんから」とずっと言われ続けて、どこか自信のない、自己肯定感が低いまま、大きくなってしまった。

    それでも子供の頃から母に対しての違和感をずっと持ち続けてきた私の心の奥底にあったのは、「あんな人にはなりたくない」だった。
    絶対に母みたいな人間にだけはなりたくない。

    こんな人になりたい。ではなく、母みたいな人間にだけは絶対になりたくない。それが今の私を作っているのだと思う。

    職場での在り方も、子どもたちに対しても、自分以外の人たちに対しても。



    ただひとつ。
    夫に対してだけは、私の中のダイナマイトは爆発してしまう。

    笑える。





     
     
     
    子供のころからの覚えている色んな事柄を、今更ながら書き出してみようと思い立ちました。そう大したことでもないことをチマチマと覚えてる小さなにんげんです

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