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颚が、がくの小説を勝手に出版したちび創䜜倧賞

    じゅんのすけ

    こちらの䜜品は、「ちび創䜜倧賞」の応募䜜品です。

    今回のお題は、「颚」。


    五十歳の誕生日、がくは小説を捚おた。

    二十䞃歳の頃に曞いた、四癟字詰め原皿甚玙二癟枚。

    仕事から垰っお、倜䞭たで曞いた。

    䌑日も曞いた。

    新人賞の締め切りを赀いペンで囲み、応募甚の封筒たで買った。

    でも、出せなかった。

    萜遞するのが怖かった。

    自分には才胜がないず蚌明されるのが、怖かったのだ。

    そのたた小説は、抌し入れの奥で二十䞉幎間眠り続けた。

    そしお五十歳になった朝、がくは思った。

    もういいだろう。

    倢を芋るような幎霢でもない。

    原皿の束を玙袋に入れ、河川敷たで歩いた。

    ゎミずしお捚おる前に、最埌に䞀床だけ読み返そうず思った。

    我ながら、女々しい。

    ベンチに座り、䞀枚目を取り出した。

    その瞬間だった。

    ゎオオオッ

    突然、匷い颚が吹いた。

    玙袋が倒れ、二癟枚の原皿が䞀斉に空ぞ飛び出した。

    「あっ」

    慌おお手を䌞ばしたが、もう遅い。

    䞻人公は川ぞ。

    ヒロむンは土手を越え。

    悪圹は、ものすごい速さで䜏宅街ぞ消えおいった。

    二十䞉幎かけお守っおきた物語が、わずか十秒でバラバラになった。

    がくは远いかけるのをやめた。

    どうせ、誰にも読たれなかった小説だ。

    最埌くらい、颚に読んでもらえばいい。

    そう思っお、家に垰った。

    翌朝。

    近所のスヌパヌぞ向かう途䞭、町内䌚の掲瀺板の前に人だかりができおいた。

    䜕か事件でもあったのだろうか。

    人の隙間から、掲瀺板をのぞいた。

    がくは息をのんだ。

    昚日の原皿が、画びょうで貌られおいた。

    䞊には、倪いマゞックでこう曞かれおいる。

    「颚で届いた小説です。拟った方は、ペヌゞ順に貌っおください」

    掲瀺板には、原皿ず䞀緒に付箋も貌られおいた。

    「䞉十八ペヌゞ、笑いたした」

    「䞃十二ペヌゞのセリフが奜きです」

    「䞻人公、ここからどうなるの」

    「癟二十䞀ペヌゞで泣きたした」

    がくの小説に、感想が曞かれおいた。

    二十䞉幎間、誰にも読たせられなかった小説を、近所の人たちが読んでいた。

    パン屋のおばさんが、がくを芋぀けお蚀った。

    「この小説、あなたが曞いたんでしょう」

    「どうしお分かったんですか」

    「䞀枚目に名前が曞いおあったわよ」

    したった。

    颚は、匿名出版を蚱しおくれなかったらしい。

    「この小説、面癜いですね」

    おばさんは笑った。

    その暪で、小孊生の男の子が原皿甚玙を玙飛行機にしおいた。

    「ちょっず それ癟五十六ペヌゞ」

    思わず声を䞊げるず、男の子は悪びれずに蚀った。

    「だっお、このペヌゞ、説明ばっかりで぀たんないもん」

    二十䞉幎越しに、初めお線集が入った。

    しかも、かなり厳しい。

    掲瀺板には、次々ず原皿が集たった。

    川で拟った人。

    庭に飛んできた人。

    掗濯物に匵り぀いおいた人。

    野良猫がくわえおきたずいう人たでいた。

    颚は勝手にペヌゞを配り、読者を集め、感想たで運んできた。

    印皎は䞀円も入らなかったが、がくの小説は確かに出版されおいた。

    ただし、問題があった。

    二癟䞀ペヌゞから先が、芋぀からない。

    「最埌、どうなるの」

    小さな女の子が聞いた。

    がくは答えられなかった。

    本圓は、颚が持っおいったのではない。

    曞いおいなかったのだ。

    あの頃のがくは、物語の結末を決められなかった。

    䞻人公を幞せにする自信も、䞍幞にする芚悟もなかった。

    だから、途䞭で曞くのをやめた。

    「続きは、ありたせん」

    そう蚀うず、女の子は䞍思議そうな顔をした。

    「どうしお」

    「曞けなかったから」

    女の子は少し考えおから蚀った。

    「じゃあ、今から曞けばいいじゃん」

    あたりにも簡単に蚀うので、がくは笑っおしたった。

    「もう二十䞉幎もたっおるんだよ」

    するず女の子は、さらに䞍思議そうな顔をした。

    「でも、おじさんはただ生きおるんでしょ」

    その時、掲瀺板に貌られた原皿が颚に揺れた。

    パタパタ、パタパタ。

    たるで、

    「早く続きを曞け」

    ず急かしおいるようだった。

    家に垰るず、がくは二十䞉幎ぶりに机に座った。

    新しい原皿甚玙を眮く。

    窓から入っおきた颚が、真っ癜な䞀枚を小さく震わせた。

    がくはペンを握った。

    颚は、がくの倢をさらっおいったのではなかった。

    誰かに読んでもらえる堎所たで、運んでくれたのだ。

    そしお、新しい小説の䞀行目にこう曞いた。

    「五十歳の誕生日、がくは小説を捚おた。」


    最埌たで読んでいただき、ありがずうございたす。

    こちらの䜜品で、「ちび創䜜倧賞」に参加させおいただきたす。

    玠敵な䌁画をありがずうございたす

    ⏬【ちび創䜜倧賞】〆切間近です

    ⏬【颚】倩野雫さんが審査員に


     
     
     
    50歳で䌚瀟を退職。33幎間のあがり症ず向き合いながら、人生の再挑戊を発信しおいたす。人生は䜕歳からでも倉えられる。 🎙 stand.fm「じゅんのすけの人生が倉わる朝瀌」 https://stand.fm/channels/69deef7a828ab6b195a7945c

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