【シロクマ文芸部】留学生の黒鳩くん #洗面所 #昭和ガラス
洗面所の小窓には昭和ガラス。
古民家と呼ぶには中途半端な我が家でも、戦後昭和史を語るなら適材だろう。
「正確には昭和型板ガラスというんだよ」
昭和30年代から50年代頃にかけて使われていた、独特の模様や温かみのある風合いを持つガラスのことを指す。
「生産終了してるから、もう新しく作られる事はないんだって」
「作る、終わり? ナゼ?」
留学生の黒鳩くんが青色掛かった目をぱちくりと瞬いた。見た目は大人っぽいけど、仕草は日本の高校生より幼く感じてしまうのはお国柄だろうか。
「きれいなのに」
「綺麗だよねぇ」
ジャパニーズカルチャーに憧れて遥々東欧から来日した少年は、彼には窮屈だろう洗面所で、失われていくだけの技術にそっと目を伏せた。思いの外琴線に触れたようで、ホストファミリーとしては誇らしい。
「ちなみにこの柄の名前は銀河といいます」
「ファンタスティック!」
喜ばれた。
以上376字、こちら参加させて頂きました。
新キャラの黒鳩くん、本名はクロパトキンくん。
きっと冷奴とか書かれたTシャツを嬉々として着こなしてくれるタイプ。
