南ア生活1か月。「ただの捻挫」だと思ったら、まさかのアキレス腱が断裂していた話
南アフリカに来て約1か月。
前回書いたように、こちらで生活するうえで、やはり一番気をつけていたのは治安でした。
歩く場所や時間帯に気をつける。移動は基本的に車。出かけるときも、周囲には注意する。
南アフリカに来る前から治安についてはいろいろ調べていたので、自分なりにかなり気をつけて生活していました。
ところが、そんな私が完全にノーマークだったものがあります。
怪我です。
南アフリカに来てわずか1か月。
治安ではなく、まさか自分の足の怪我で生活が一変することになるとは、まったく想像していませんでした。
しかも、最初はただの捻挫だと思っていました。
今回は、そんな南アフリカでのまさかの松葉杖生活が始まることになった日の話です。
数十年ぶりのフルコートサッカー
きっかけは、サッカーでした。
南アフリカには天然芝のグラウンドが至る所にあるんです。
そんな天然芝のグラウンドで、フルコートサッカーの試合に出ることに。
サッカーは昔やっていたのですが、フルコートでプレーするのは数十年ぶり。
久しぶりのサッカーということで、意気揚々とピッチに立ちました。
ところが、前半の途中。
突然、左足の感覚がおかしくなりました。
うまく力が入らない。
まともに立つこともできない。
そのまま即交代です。
ただ、この時点では、そこまで大変なことになったとは思っていませんでした。
昔サッカーをしていた頃にも、足首の捻挫は何度も経験しています。
今回も、
「あー、久しぶりにやっちゃったな」
くらい。
数十年ぶりにフルコートでサッカーをしたわけですから、
「まあ、この年齢でいきなりやればこうなるよね」
くらいに考えていました。
まさかアキレス腱が切れているなんて、このときはまったく思っていませんでした。
「まあ、捻挫だからすぐ治るよ」
その日は、なんとか足を引きずりながら帰宅しました。
家族にも、
「サッカーで足を怪我した」
と報告。
心配されましたが、本人はいたって楽観的です。
「まあ、捻挫だからすぐ治るよ」
と。
これまでにも経験したことのある捻挫。
しばらくすれば腫れも引いて、また普通に歩けるようになるだろう。
そう思っていました。
ところが――。
数日たっても、腫れが引きません。
痛みも残っています。
さすがに、
「これ、本当にただの捻挫なのか?」
と思い始めました。
そこで、近所の病院で一度診てもらうことにしました。
南アフリカでは「病院」ではなく「医師」を探す?
ここで、早速日本との違いに戸惑いました。
病院に行こう。
……と思ったのですが、こちらでは日本と少し勝手が違います。
少なくとも私が今回利用した私立医療では、まず診てもらう医師を自分で探して、その医師に予約を取るというスタイルでした。
日本だと、
「足を怪我したから、この整形外科に行こう」
と、まず病院やクリニックを探す感覚が強いと思います。
こちらでは、大きな病院の中でそれぞれの医師が診療していて、患者側が専門の医師を探し、その先生の診察を予約します。
私には、病院が医師に診察する場所や設備を提供しているような仕組みに見えました。
南アフリカに来てまだ1か月。
病院のお世話になること自体、当然初めてです。
しかも英語。
「どの先生に診てもらえばいいんだ?」
というところから始まりました。
X線と超音波検査。そして予想外の診断
なんとか医師を見つけて予約し、診察を受けました。
X線検査(X-ray)と超音波検査(Ultrasound)。
そこで告げられた診断は、自分が想像していたものとはまったく違いました。
まず、
ATFL(前距腓靱帯)の完全断裂。
ATFLは、足首の外側にある靱帯です。
そして、もう一つ。
アキレス腱の完全断裂。
つまり、足首の靱帯とアキレス腱を同時に完全断裂していました。
「捻挫だと思っていたんですけど……」
という感じです。
さらに驚いていたのが、診察してくれた先生でした。
長年診療してきたけれど、この2か所を同時に断裂したケースは見たことがない、という話でした。
そのとき先生が口にした「Never ever.」が今でも印象に残っています。
……そんなにですか。
数十年ぶりにサッカーをしただけなのに、なぜそんなことになってしまったのか(笑)。
少なくとも、この先生にとってはかなり珍しいケースだったようです。
本人としては笑い事ではありませんが、このあたりから、
「どうやら、ただの捻挫では済まなそうだ」
と、ようやく事態の深刻さを理解し始めました。
「手術をした方がよい」
そして、先生から勧められたのが、
手術でした。
ここで一気に不安になりました。
捻挫だと思って病院に来たのに、
ATFL完全断裂。
アキレス腱完全断裂。
そして手術。
話が急に大きくなっています。
しかも、ここは日本ではありません。
南アフリカです。
南アフリカで手術を受ける。
さすがに、すぐに「お願いします」とは言えませんでした。
本当に手術が必要なのか。
手術をしない保存療法という選択肢はないのか。
どのくらい急いで決めなければいけないのか。
日本に一時帰国して、日本で手術を受けることはできないのか。
いろいろなことが一気に頭に浮かびました。
本当に手術が必要なのか。別の先生に聞いてみる
一人の先生の話だけで、海外で手術を決める勇気はありませんでした。
そこで、セカンドオピニオンを聞くことにしました。
ただ、ここでも問題があります。
誰に診てもらえばいいのか分からない。
南アフリカに来たばかりなので、当然ながら整形外科医の知り合いなんていません。
インターネットで調べたり、ChatGPTにも聞いたりしながら、足首やアキレス腱を専門にしている先生を探しました。
そして、ある先生のところへ診察を受けに行くことにしました。
この先生との出会いが、その後の自分の決断に大きく影響することになります。
実際に話をしてみると、とても丁寧に私たちの話を聞き、とても丁寧に説明してくれる先生でした。
私たちの質問にも一つひとつ丁寧に答えてくれる。
「手術ありき」ではなく、自分が不安に思っていることについてもきちんと話を聞いてくれる。
診察を終える頃には、
「この先生なら、手術をお願いしてもいいかもしれない」
と思い始めていました。
数日前まで、
「まあ、捻挫だからすぐ治るよ」
と言っていた自分が、
南アフリカで手術を受けるかどうかを真剣に考えている。
人生、本当に何が起きるか分かりません。
治安についてはあれだけ調べて、気をつけていたのに、怪我については完全にノーマークでした。
いま私は左足をギブスでガチガチに固定されて、毎日松葉杖で生活しています・・・
まさか南アフリカ生活最初の大きなトラブルが、治安でも英語でもなく、自分のアキレス腱になるとは。

英語ではcrutchといいます
手術をしない方法は取れないのか、日本に帰って手術するのか。それとも南アフリカで手術するのか。
これを執筆している時点で私はまだ決断をしていません(汗)。
次回は、最終的にどんな決断をしたのか、そしてその後の状況について書いてみようと思います。
