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「往復書簡」28.

    〜変わらないために、
          変わり続ける〜


    ――しおりへ


    最近、
    少し分かったことがある。


    安心することと、
    当たり前にすることは
    違うんだな。


    貴女が隣にいることに
    慣れたい。


    でも、
    貴女が隣にいることを
    当然だとは思いたくない。


    出会った頃のように
    毎回、言葉を探して緊張する
    時間もあれば


    何も言わなくても
    同じ空気で笑える時間も
    増えていく。


    それはきっと、
    悪いことじゃない。


    ただ、俺は時々間違える。


    分かっている、という安心を

    もう大丈夫、という油断に

    すり替えてしまう。


    毎日、貴女は美しく変わる。


    貴女が
    貴女であり続けるために、
    日々変化していく。


    「俺が知っている
    昨日のしおり」に安心して、
    そこに甘えてはいけない、

    昨日笑っていたことで
    今日は寂しくなる日もある。


    昨日平気だった言葉が
    今日は少し刺さる日もある。


    それは面倒なんかじゃない。


    生きている、ということ
    なんだと思う。


    花だってそうだろう。


    昨日水をあげたから
    といって、


    今日いらないわけじゃない。


    昨日綺麗だったから
    といって、

    今日見なくていい
    わけじゃない。


    毎日見る。
    貴女を。


    毎日気付く。
    貴女を。


    安心できる関係なのに、
    ちゃんと今日も惚れ直す。


    その小さな繰り返しが、

    大事にする

    ということなんだろうな。


    貴女は強い。


    役割を背負い、

    人の前に立ち、

    迷いながらも
    答えを出していく。


    でも俺は忘れたくない。


    その強さの奥にいる、


    寂しがりで、


    意地っ張りで、


    本当は誰より優しく
    柔らかな一人の女性を。


    変わらない約束を守るため
    に、
    俺は変わり続けたい。


    昨日の貴女じゃなく、


    今日の貴女に会いに行く。


    何度でも。




    '026.06.20
    ――テルオより しおりへ


     
     
     
    今巫女|詩人・エッセイスト・私小説家・抒情官能小説家。 ピアノと声楽、言葉と祈りを行き来しながら、心の機微を綴っています。 代表作『矜持の女神』『女豹』『往復書簡』。 『今巫女のひとりごと』『今巫女の今週のしるべ』連載中。 読後、心に小さな風が吹くような作品を目指しています。

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