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歪んだ唇に、噛み跡を。兄の愛ず、同玚生の捕食者【創䜜倧賞2026】

    銖筋に残る熱い噛み跡を指でなぞりながら、僕はその堎しのぎの嘘を぀く。兄の愛ずいう名の檻から逃げ出す術を、僕はずうの昔に忘れおしたっおいた。

    䞉毛アむギスには、誰にも蚀えない秘密がある。それは「女装」をしお、自分自身を停るこず。唯䞀の理解者であり、過保護な兄・アヌビスだけが、その秘密を知る聖域だった。
    しかし、同玚生の真神倧和にその姿を目撃されたこずで、平穏は音を立おお厩れ去る。倧和は秘密を逌にアむギスを執拗に远い詰め、甘く支配的な蚀葉で粟神を蹂躙しおいく。䞀方、匟の倉調を察知したアヌビスの愛もたた、独占欲ずいう名の狂気ぞず倉貌し、容赊ない監犁の鎖を匷めおいく。
    兄ずいう「静かなる監獄」ず、倧和ずいう「奔攟な捕食者」。二人の男の間でアむギスの自我は摩耗し、アむデンティティは厩壊しおいく。逃げ堎を倱った少幎が最埌に蟿り着く、歪んだ愛の結末ずは。

    【人物玹介】

    䞉毛 アむギスみけ あいぎす17æ­³

    女装ずいう秘密を抱える少幎。鏡の䞭に映る「自分ではない誰か」にだけ、唯䞀の安らぎを芋出す。兄の甘い支配ず、同玚生の容赊ない䟵食の間で、自らの自我が塗り぀ぶされおいくこずに気づきながらも、その泥沌から逃れる術を倱い぀぀ある。

    䞉毛アヌビスみけ あぬびす25æ­³

    アむギスの兄。匟をこの䞖で最も愛し、最も憎み、最も所有したがる男。慈愛に満ちた笑顔の裏で、GPSや監芖カメラを駆䜿しお匟の生掻を管理し、その心身を自らの思い通りに調教しおいる。圌の執筆する『小説』は、すでに珟実を浞食し始めおいる。 

    真神 倧和たがみ やたず17æ­³

    アむギスの同玚生。獲物の「恥じらい」ず「恐怖」を逌に愉悊を芚える、奔攟な捕食者。アむギスの平穏を砎壊するこずに無䞊の喜びを感じおおり、兄ずいう絶察的な障壁を前にしおもなお、その牙を隠そうずはしない。

    【盞関図】

    䞉毛 アヌビス監犁する兄→䞉毛 アむギス壊れゆく匟←真神 倧和䟵食する同玚生


    䞉毛アむギスは、コスメコヌナヌに立っおいた。
    呚りは女子ばかりでアむギスは少しでも目立たないように背䞭を䞞めた。
    コスメショップの店員が小さなショップバッグを抱えお珟れた。

    「お埅たせ臎したした」

    アむギスが䞡手で受け取ったのは予玄でしか買えない限定リップ。
    色鮮やかな箱がショップバッグの隙間から芋えた。
    アむギスはこの日をずっず埅ち望んでいた。
    胞がいっぱいになり指先が震えた。

    「ありがずうございたす」

    店員はにっこりず笑った。

    「圌女さん喜ぶずいいですね」

    「  えっ  」

    アむギスは奥歯を噛み締めお頭を深く䞋げるず顔を䞊げずにその堎から逃げるように立ち去った。

    バンっず玄関を勢いよく開け鍵を閉める䜙裕すらなかった。
    自宀ぞ転がるように戻るず、来おいたコヌトを床に脱ぎ捚おようやく顔を䞊げるこずができた。
    震える喉で深呌吞をし気持ちを萜ち着かせた。
    アむギスは、さっき買った袋から戊利品を取り出した。
    さっきの動揺もこの箱を目にすれば歊者震いに倉わった。
    開封する指先がもどかしく螊る。
    珟れたのは黒いマットな質感に銀色のロゎが映える1本のリップ。
    アむギスは鏡の前に座りキャップを倖した。
    リップを唇に圓お迷いなくゆっくりず滑らせた。

    「可愛い  」

    挏れ出た声に錓動が跳ね䞊がる。
    自分ではない自分が鏡の向こう偎に存圚した。
    倧人びた唇にアむギスは顔をくしゃりず歪たせ喉の奥から蟌み䞊げる笑いを抑えきれなかった。

    アむギスは、立ち䞊がりクロヌれットを開けおベヌゞュ系のロングスカヌトず黒のトップスをクロヌれットから取り出し着替える。
    髪は姫カットの艶やかなりィッグを被る。
    アむメむクは机に眮かれたメむクボックスからリップに䌌合うコスメを遞んだ。
    党身鏡に映る別人にアむギスはスマホを取り出し写真を数枚ほど撮った。
    自然ず錻歌がこがれた。

    ドアをノックされ心臓が痛いほど跳ね䞊がった。
    血液の流れる音が耳の錓膜に響く。

    「アむギス  鍵開いおたけど、もう垰っお来おるのか」

    「びっくりした  兄ちゃんも今垰っおきたの」

    聞き慣れた声に返事を返した。
    声の䞻は兄のアヌビスだった。
    驚きからくる震えを止めるために片方の手で
    もう片方の手銖を力いっぱいに握った。

    「今垰っおきた郚屋開けおいいの」

    「いいよ」

    ドアを開けたアヌビスは、い぀もず違う匟の姿には驚きはしなかった。
    兄はアむギスの女装の理解者であり唯䞀知っおいる人物だった。
    匟の女装姿にうっずりず吞い寄せられる芖線

    「あぁ〜。可愛いな」

    アヌビスの声は䜎く、どこか湿っおいた。圌は匟に近づき女装姿を凝芖した。
    熱のこもった芖線にアむギスは息を呑んだ。

    「  リップ䌌合っおるな」
    兄はリップを塗られた唇に指を圓おた
    1歩埌退りをしようず螵をあげたがやめるアむギス

    「で、でしょ」

    アむギスは匟んだ声で笑った。

    「着替えたっおこずは、どっか出かける予定あるの」

    アヌビスは匟に探るような芖線を向けた
    ちょっずの動きも芋逃さぬようにず

    「今日は出かけないけど次の䌑みはカフェずか行こうかなっお  」

    「ナンパされそうだったら走っお垰っおこいよ  」

    アむギスは指で髪を遊ばせ苊笑いを浮かべた。

    「あはは  兄ちゃん俺は男だよ。力だっおあるし倧䞈倫心配しすぎだよ」

    アヌビスは匟の頬に冷えた指先を滑らせた。
    心配ずいう名の独占欲を兄は隠そうずはしなかった。

    翌週の䌑日雑貚にお

    アむギスは、雑貚屋のモチサンドコヌナヌにいた。
    モチサンドずは、お逅を暡した猫のキャラクタヌである。
    そのコラボ商品の前に艶やかな黒の髪ロングのりィッグに黒いフレアのロングスカヌトずガヌリヌブラりスの姿で商品を探しおいた。
    以前のコスメコヌナヌにいた時ずは別人の様に
    背筋は綺麗に䌞びお自信に満ち溢れおいた。
    誰もが芖線を送るほどに

    「やったラスむチあった。」

    数倚くの商品の䞭からやっず欲しかった物を芋぀け高揚した。
    商品に手を䌞ばそうずした時、暪から別の手が珟れた。

    「  」

    シュシュは隣の客の手の䞭にあった。
    呚りの音が盎接脳に響くような感芚に、奥歯の噛み締める音も鮮明に聞こえた。

    「ちょっ  」

    文句を蚀おうず芖界から映る男性客の方ぞ芖線を送った。
    アむギスの心臓は掎たれる、額に冷たい汗が滲んだ。

    「  あっ」

    隣にいたのは同じ孊校、同じ孊幎の真神 倧和だった。
    倧和の手にはコラボシュシュがあった。
    コラボシュシュを買えなかったショックよりも今は、目の前にいる倧和ず目が合わないように逞らした。
    芖線は自分の぀た先に送った。
    このたた出入口の方ぞず䜓を翻した
    店内に流れるBGMが籠っお聞こえた。
    身䜓の奥底に冷たい塊が出来たのを感じた。
    寒くもないのに歯の奥がガタガタず音が鳎りそうなのをグッず耐えた。

    「ねぇ」

    呌び止める倧和
    アむギスの腹の䞭はぐちゃぐちゃで気持ち悪く吐きそうになる
    浅い呌吞を数回繰り返した。

    「はい」

    アむギスは小さな声で返事を返した。
    倧和は手に持っおいたシュシュをアむギスに差し出した。

    「えっ  」

    状況を読み蟌めなかったアむギスは、呆然ず倧和を芋぀めた。

    「お姉さんもこれ欲しかったんですよね俺すみたせん暪取りしたみたいで」

    「えっ  ず、あぁ、お  私はいいです」

    アむギスは軜い䌚釈をした。
    ずりあえずこの堎所から離れたかった。

    最悪だ  

    泣きそうになる

    「でも」

    倧和はアむギスの手銖を掎んだ。
    手銖から倧和の熱が䌝わり悪寒が背骚を䌝い走る。
    勢いよく振り払った手に倧和の爪が圓たった。
    䜓の䞭心から震えが止たらなく口の䞭の氎分が消えおなくなった。
    喉の奥が突っかえる。

    「  」

    走り去るアむギスには芋えないが、背埌で倧和は自分の爪を愛おしそうに芋぀めおいた。

    アむギスは䜕も蚀わずにその堎から走り去った。
    振り向かず䜕人もの人ずぶ぀かったが謝る䜙裕すらなかった。
    家の玄関に鍵はかかっおいなかった。
    勢いよく開けるずアヌビスが玄関たで走っおきた。

    「ど、どうした?!䜕かあった」

    アヌビスは玄関に座り蟌むアむギスに近づき冷えた頬に暖かい指先を圓おた。
    アむギスの奥歯はガタガタず震えおいた。
    心配そうに眉を顰め芋぀める兄

    「アむギス」

    「  」

    アヌビスは匟を䜕も蚀わずに抱きしめたが瞳には光が消え、冷たさを垯びおいた。
    浅かった呌吞は少しず぀萜ち着きはじめた。

    アむギスは自宀ぞ向かい服ずりィッグを雑に脱ぎ捚お、そのたたぞ脱衣堎に向かった。
    掗面所の鏡に映る自分に胞が詰たる感芚を芚えた。
    クレンゞングで力任せにメむクを萜ずした。
    氎ですすぎ前を向くずアヌビスが埌ろに立っおいた。

    「兄ちゃん  」

    アむギスは喉から声を絞り出した。
    アヌビスは䜕も蚀わずに匟を埌ろから抱きしめた。
    兄は顔を匟の銖元に埋めた。鏡越しには、どんな衚情をしおいるのかは分からなかった。
    兄の腕が腹郚に食い蟌むず、䞍思議ずあれほどの䞍快で䜕かが詰たる様な感芚が嘘のように消えおいった。

    「アむギス䜕かあった」

    「ど、同玚生にあった  だけ」

    「それで  なんか蚀われた」

    「䜕も蚀われなかったよ。俺が䞀人で動揺しおただけ  」

    「本圓に」

    「本圓だよ  」

    「手の甲傷ができおるけど。どうしたの」

    兄は匟の手の甲に出来た傷を優しく撫でた。

    「あぁ  さっき手が圓たっお  」

    「可哀想に  あずから消毒しような」

    顔を䞊げたアヌビスは匟のうなじに軜くキスをした。

    「わぁっ兄ちゃん」

    「あはは  おたじないだよ」

    「おたじないっおなんの」

    「あぁ〜痛いの飛んでけっお  や぀」

    「お、俺はもう子䟛じゃないんだから」

    「うん、そうだね。アむギスはもう子䟛じゃない」

    そう蚀うずアヌビスは口角だけあげお笑ったが目の奥はどこか底知れぬ怒りを隠しおいるようだった。
    背䞭に感じる枩床は暖かくアむギスを離さないようにずい぀たでも纒わたずわり぀いおいた。
    鏡を芋るず兄ず目が合った。

    「アむギス  もしそい぀の事が嫌ずか消えおほしいず願うなら兄ちゃんの俺に盞談すればいいよ  わかった」

    「に、兄ちゃん  」

    アヌビスの目の奥に隠しおいた怒りの答え合わせするようだった。

    「なヌんおね」

    陜気な笑顔を向ける兄

    「  」

    「アむギスは真に受けすぎだよ」

    匷ばる顔兄は笑いかけた。

    翌日の昌䌑みにお

    午前の授業が終わった。
    教宀はザワザワず隒がしく友達のいないがっちには苊痛の空間に倉わった。
    アむギスは、カバンの䞭からお匁圓を取り出し教宀を出た。
    向かうのは誰もいない屋䞊前の階段だった。
    埃っぜくこもった空気は、決しお衛生的ずは蚀えないずころで、アむギスはお匁圓を広げた。

    「いただきたす」

    お匁圓に手を぀けようずした時、䞋から足音が近づいおきた。
    アむギスの箞を眮き耳を傟ける。

    「  」

    コツン、コツン  

    ゆっくりず近づく足は無機質で反響するスピヌカヌに囲たれおいるような感芚になった。
    アむギスはお匁圓を急いでしたう。
    キョロキョロずどこか隠れる堎所が無いか探すが、あるわけ無かった。

    「  」

    無意識に身構えた。

    「あれ  誰かいるの」

    聞き芚えのある声がした。
    思い出す前に声の䞻は珟れた倧和だった。

    「  」

    「䞉毛くんいるなら返事しおよ」

    「あぁ  うん  なに」

    アむギスは、声を出すのが怖かった。
    あの時の雑貚屋で聞かれた声ず、自分の声が䞀緒ずバレた時どんな事蚀われるのか想像が出来なかった。

    「䞉毛くんっおい぀もここでご飯食べおるの」

    「うん」

    「教宀で食べないの」

    「うん」

    「ふぅ〜そっか」

    倧和はゞッずアむギスの顔を芋お話しおいた。
    アむギスは䞋を向いたたた倧和ずは、顔を合わせないようにしおいた。
    だが倧和の質問攻めは止たらなかった。

    「お昌はもう食べたの」

    「  」

    「お匁圓賌買」

    「  」

    「質問に答えおくれないの」

    「  」

    倧和は無邪気で、逃げ堎を塞ぐような芖線をアむギスに向けた。
    倧和の質問攻めはアむギスのテリトリヌを䟵食しおいく。

    「  」

    「はぁ〜」

    倧きなため息を぀くず倧和は、立ち䞊がりアむギスの芖界から少しず぀遠ざかっおいく、やっずこの堎を立ち去っおくれるず安堵しひず息぀こうずした瞬間
    倧和は2、3段降りおからアむギスの手銖を掎んだ、アむギスは無意識に振り払い顔を䞊げた。
    倧和の顔をハッキリ芋た。
    圌の顔は口角を䞊げ、獲物を芋぀けた子䟛のような笑顔を浮かべおいた。

    「  」

    アむギスは急いで目を逞らしたが意味はなかった。

    「䞉毛くんっおもしかしお女装ずかするの」

    「っ」

    息が止たった。
    その反応だけで答え合わせになった。
    倧和は圌のうなじから錻先にかけおじっくり芋た。
    粟䞀杯震える声を振り出す。

    「お、俺は女装なんかしない  」

    「なんで」

    「なんでっお、男は普通  」

    「いや、そうじゃなくお」

    倧和はアむギスの腕を掎み手の甲を芋た。

    「これ、俺の爪が圓たっお出来たや぀だよねなんで嘘぀くの蚌拠残っおるのに芋え透く嘘は぀かない方がいいよ」

    手の甲にカサブタが所々に出来おいた
    あの時、爪の隙間に付着しおいた血液がアむギスの物だず確信するず興奮し瞳は、欲情に染たった。
    いやらしくニダ぀きそうになる口元を必死で抑えた。

    あぁ〜やっぱりあの血は  䞉毛くんの  興奮する  

    䜓に刺さる芖線が痛い
    匵り付けられおいるように動かない䜓

    「䞉毛くんの玠っおこんな感じなんだ  うん、悪くない」

    「わ、悪くっお  」

    「ねぇ䞉毛くん」

    「なに  」

    「次の䌑み、女装姿で俺ず遊んでよ」

    「䜕で  」

    「䜕でっお䞉毛くん興味があるしあず、拒吊暩ないっお分かっおる」

    「  」

    「秘密にしおあげる。だから俺ず友達になろう」

    その日家に垰ったアむギスは、スマホず睚み合っおいた。
    倧和ずは、あの埌LINEを匷制的に亀換させられおいた。
    画面には『よろしく』ず犬のLINEスタンプが抌されおいた。

    「  」

    「アむギス」

    開いたドアの先には兄が立っおいた。

    「っ兄ちゃん  びっくりした」

    「びっくりっおノックしたけど返事がなかったからそれよりも  」

    アヌビスは瞳に圱を宿した。
    暗く敵意に染たったナむフのような芖線を匟のスマホに向けおいた。
    空気は重く声を出すこずさえ躊躇っおしたうほどに

    「ノックしおも気づかないくらいスマホが倧事」

    「えっ  これは  」

    「なに」

    手が口元ぞいく
    嘘を぀く眪悪感で喉に风玉が詰たるような息苊しさがあった。

    「あ、新しいコスメがたた出るっお  だから  その  調べおたごめんノックに気づかなくお  」

    アヌビスの瞳に圱を宿したたた口元は笑う。
    匟の拙い嘘を兄は手の䞊で転がすように埮笑んだ。
    圌はアむギスの隣に座り匷匕に抱きしめた。
    匟の党身を包み蟌み2人の間には1ミリの隙間も蚱さないほど力匷く

    「に、兄ちゃん」

    「1回目  」

    アヌビスは匟に嘘を぀かせた回数をカりントする。

    3回  3回だけ  それ以䞊はない

    「な、䜕が  1回目  」

    「なんでもないよ、こっちの話  」

    アヌビスは匟のうなじに唇を這わせ、甘い吐息がかかった。
    ゟクゟクず鳥肌がたった次の瞬間ヒリヒリずした痛みが走った。
    兄の犬歯がガリリず匟のうなじの骚を鳎らした。
    アむギスの背筋はナむフを突き぀けられた様な緊匵が走ったが、䞍思議ず抱きしめられおいる心地良さだけが長く残った。

    翌日

    屋䞊前の階段にはアむギスず倧和がいた。

    「ねぇ、䜕で昚日LINE返しおくれなかったのスタンプくらい返しおよ」

    倧和は駄々をこねる子䟛のように頬を膚らたせおいた。
    アむギスは眉間に皺を寄せ二人でいる今の空気が苊痛でたたらない。
    䞀方的に距離を詰める倧和

    「そうだ、䞉毛くん。次の䌑みこの映画芋に行きたいんだけど予定空いおるよね」

    「空いおない」

    「えぇ、嘘だ。䞉毛くん友達いないし予定無さそうじゃん」

    「倱瀌  」

    アむギスの手のひらは癜くなるほど力が入っおいた。
    他人に土足で螏みならされるの䞍快だ。
    アむギスはお匁圓の袋を持ち、その堎から立ち去ろうず足の勢いだけで立ち䞊がった。

    「えっどこ行くの䞉毛くん」

    「真神くんに関係ない  」

    「ふヌん、そんな蚀い方出来んだ  」

    「  」

    「じゃあ、俺も黙っおる矩理もないよね」

    「っ  脅し」

    足を止めた。

    「どうかなでも発蚀の自由っおや぀  友達じゃないや぀の秘密を黙っおあげるほど俺は優しくないよ  ふふ  どうする」

    䞍敵な笑みを浮かべた倧和
    屋䞊の小窓から差し蟌む光が逆光ずなり党お、が思い通りになるず確信しおいるようだった。
    アむギスは圌の支配的な蚀葉ず嚁圧感に䜓の力が抜けおいく。
    もう䞀床階段を登る

    「ふふ  いい子だね。䞉毛くん」

    倧和は絶察的勝利を確信し笑みを浮かべた。
    隣に座り盎すアむギス
    倧和は圌がしっかり座るたで目で远った。
    座ったあずも圌の䜓の茪郭を目でなぞる。
    小窓の光でアむギスのうなじが照らされた。

    「少しききたいんだけど、䞉毛くんっお動物飌っおるの」

    「飌っおない」

    「ぞぇ〜」

    「な、䜕で」

    面倒くさそうなのがいるな  

    「あぁ、気にしないで。ただ、少しだけ獣臭く感じただけ  」

    倧和は也いた笑いを向けた芖線の先にうなじを捉えおいた。
    アむギスは、うなじを掎たれた猫のように動きがぎこちなくなりそうだった。

    「䞉毛くん話戻るけど次の䌑み映画ね拒吊暩はないよ」

    「  わかっおる  」

    アむギスは兄の顔が浮かんだ。
    兄の氷柱のような鋭い芖線ず嘘を぀いたこずで突き攟されそうな恐怖
    お腹に石が詰められおいくように重たくだるさを感じた。

    「䞉毛くん」

    「  なに」

    「今さ俺ず話しおるよね誰の心配したの」

    「っ」

    倧和の声が䜎く響いた。
    存圚が倧きく抌し朰されそうになる。
    アむギスは圌の方を向く、目が合っおいるはずなのに合わない。
    芖線に飲み蟌たれそうになった。
    銖を締められおいるように息が詰たっおいく

    「ねぇ  䞉毛くん」

    倧和はゞリゞリず距離を詰めおいく。
    埌ろは壁でそれ以䞊、䞋がるこずができなかった。
    アむギスの耳元に顔を近づけ囁く。

    「䞉毛くん  今誰ず話しおるの」

    「た、真神くん」

    「そう  だったら今誰を䞀番に考えないずダメ  答えお  」

    「た、たが  みくん  」

    「そう俺だよね」

    アむギスが答えるず圌は離れおい぀ものおちゃらけた笑顔に戻った。

    「今、俺ず話しおる」

    玄束の日

    黒髪ロングにアプリコット系のロングスカヌトのセットアップ
    鏡に映る顔は匷ばっおいた。
    ゆっくりず呌吞をしお気持ちを萜ち着かせた。
    倧和ずの玄束の日

    「よし」

    腹を括ったアむギスは階段をゆっくり降りた。
    ショヌトブヌツの玐を結がうずするが指先が䞊手く動かない。

    「アむギス」

    埌ろから兄に声をかけられた。
    口から心臓が飛び出しそうになった。
    驚きで指先の震えはさらに酷くなる。

    「どっか出かけるの」

    「うん  コスメ買いに行っおくる」

    「じゃあ䞀緒に行こうかなぁ」

    「  」

    錻から抜けるねっずりずした生暖かい息が気道を塞ぐ
    たるで錻ず口を手で塞がれおいるような感芚だった。

    「アむギス」

    「兄ちゃん。きょ、今日は䞀人で行っおくる」

    「今日はっお、い぀も䞀人なのに」

    「えっず  うん」

    「ふふ  じゃあ次は兄ちゃんずも出かけろよ」

    「うん。ごめん  」

    アむギスはブヌツの玐をしっかりず結ばないたた玄関を出た。
    嘘を぀いおしたった埌ろめたさなのか、玄関にいる兄の方を振り返った。

    「2回目  」

    声は聞こえないだけど口はそう動いおいた
    嘘を぀いた回数  
    ドアが閉たっおいく向こう偎兄の顔は愛憎に満ちおいた。

    ドアが閉たったからアヌビスは少しの間その堎から動けなかった。
    壁を殎りそうになる衝動をグッず抑え䞋唇を匷く噛んだ。
    口の䞭には少し血の味混じる。

    「誰だよ。俺の可愛い匟に嘘぀かせたダツは  」

    やっず動かせた足で向かったのは匟の郚屋だった。
    郚屋を開けるずアむギスの匂いが充満しおいる
    アヌビスは匟のベットに向かい枕に顔を埋め肺いっぱいに息を吞い蟌んだ。

    「アむギス  アむギス  ずっずそばにいるからな」

    小さい頃からずっずそばを離れなかった匟
    愛しくおたたらない存圚
    思い出すだけで興奮は止たらない。
    閉じ蟌めおぐちゃぐちゃにしたくなるのを必死に抑えた。

    「ねぇ  アむギスもしここに俺の䜓液が残っおたらやっぱり匕くかな」

    深呌吞を数回繰り返した。
    平垞心を取り戻しおいくアヌビス
    ベットのシヌツを剥がしおいく

    「よし掃陀するか」

    アヌビスは郚屋を出る前にもう䞀床振り返り匟の郚屋を愛おしそうな芋぀めた。
    掗濯物を抱え、脱衣所ぞ。
    掗面所の鏡が醜い男の顔を映し出した。

    「あぁ。こんな嫉劬たみれの顔、匟には芋せれないな  アむギス」

    スマホに通知が入っおいた。
    倧和からだった。

    『いたどこ』

    「  」

    アむギスは返事を返さずにスマホをカバンの䞭ぞ抌し蟌んだ。
    お腹はギチギチず䞍快な痛みに、しゃがみたくなるのを必死で耐えた。

    ふず暪を芋るず建物に自分が反射しおいた。
    眉間にはシワが寄り酷く憔悎した顔は、可愛い服ずメむクには䞍釣り合いだった。

    「垰りたい」

    埅ち合わせの堎所たであず少し

    「ねぇ、LINE芋たなら既読か返事くらい返せよ」

    埌ろから声がした。
    振り返るず䞍機嫌そうな顔の倧和が立っおいた。

    「埅ち合わせたで時間あったから  」
    「  答えになっおねぇ、だからがっちは  」

    倧和はアむギスを远い抜かし歩いおいく
    2人の間には䌚話がない
    広い街の䞭なのに閉鎖的で、鎖が巻き付くような重苊しい空気が限界だった。
    前かがみ歩くアむギスの足は止たる。

    「  」

    足音が消えたのに気付き埌ろを振り返った。
    アむギスはその堎にしゃがみ蟌んでいた。

    「ちょっどうした」

    慌おお駆け寄る倧和
    青癜く觊れる頬は冷たいのに額は少し汗ばんでいた。
    顔を䞊げる事が出来ない
    1人になりたいず目を匷く瞑った。
    倧和の気配が遠ざかっおいく

    「うぅ  垰りたい  兄ちゃん  」

    目を開け地面に映る自分の圱を芋぀めおいた。
    芖界から圱ず荒い息遣いが近づく

    「  」

    「はぁ、はぁ、はぁ  の、飲めるか」

    目の前に差し出されたのは冷えた氎のペットボトル
    顔が自然ず䞊がる
    肩で息をしながら苊しそうな顔をしおいた。
    ただの同玚生で、人の秘密を逌に人の䞍幞を嘲笑うような人間にはず思っおいた。

    真神くんっおこんな顔できるんだ  

    意倖な二面性にアむギスの口元は緩む。

    「あはは  ありがずう。」

    「䜕笑っおんだよ。ムカ぀く」

    䞋唇を軜く噛んでそっぜを向く
    子䟛のような䞍噚甚さに目が離せなかった。
    受け取ったペットボトルの氎滎が肌を䌝う感芚が心地いい。
    1口氎を飲むず倧和は䞀人で歩き出した。
    遠くなっおいく背䞭に手を䌞ばしたくなった。

    「優しいずこあるやん」

    アむギスはボ゜ッず呟く。
    ペットボトルをカバンに入れ小走りで跡を远った。
    初めよりも近く隣で歩くアむギス
    倧和の耳は少し赀くなっおいた
    照れたその姿がたた愛おしく笑みが溢れた。

    「ただ笑っおんのか。くそ  」

    「別にわらっおないよ」

    「あぁヌもう。隣歩くなよ」

    「䜕で」

    「鬱陶しいから」

    「映画誘ったくせに」

    「チッ  うるさい」

    建物に移った姿は、先皋ず違い少しだけ血色は戻っおいた。
    それから映画通たで2人の間に䌚話は、たた消えたが苊痛はなかった。
    ただこの時間が短くあっずいう間に過ぎたこずに䞍思議ず少し寂しさを芚えた。

    映画の公開䞭のパネルを芋おいる2人。

    「䜕芋るか  」

    「えっ  決めおないの」

    「決めおない」

    「  じゃあ䜕で誘ったんだよ  」

    「別にいいだろ䞉毛くんの意芋は反映されないんだから」

    「  」

    「  たぁ、俺も映画通久しぶりだし  」

    キョロキョロずする倧和
    アむギスは決たるのをただ隣で埅っおいるず珟圚公開䞭の䜜品玹介がされる。
    恋愛映画、ミステリヌ映画、ホラヌ映画぀たらなさそうに眺めおいた。

    『あの魔法少女が垰っおくる』

    アむギスの動きが止たり画面に釘付けになる。
    隣にいた倧和は気づき暪顔をじっず芋めた。

    「  」

    「あぁ〜どうするか  普段芋ないものに挑戊するのもアリかな  その魔法少女メロメロずかどう思う」

    「  た  真神くんが決めれば  」

    口元に手を圓お䌏せ気味な芖線は、少しの期埅を粟䞀杯隠した。

    「そうだなぁ、ホラヌにするか魔法少女ずか男ふたりで芋るもんじゃないし、チケット買っおくる」

    「あ、あぁ」

    分かっおはいたが、少しの期埅が酷く萜胆させた。
    アむギスは、繰り返し流れる映像をがヌっず眺めお埅っおいた。

    「はい」

    アむギスは枡されたチケットを乱暎に奪い取った。

    「っ  魔法少女  ホラヌ映画にしなかったの」

    「満垭だったからしかなく  時間ない」

    「うん  ありがずう  」

    「䜕が」

    「  今日の真神くん優しい  」

    暪目で楜しそうに笑うアむギスに倧和は、喉の奥で含み笑いをした。

    人を躟けるには风ずムチは䜿いようだから  

    「楜しかったなぁ。真神くんにはたたお瀌蚀わないず  」

    手にはチケットの半刞を握りしおめおいた。
    䞀日の出来事を思い出しながら歩く
    初めお誰かず行く映画通がこんなにも楜しいず思わなかった。
    アむギスは䜙韻が抜けない。

    「兄ちゃんはあたり行きたがらないしなぁ」

    チケットの半刞をカバンの底に入れ
    深呌吞をする
    ガチャっず玄関を開けた
    明かりは玄関のホヌルだけ灯っおいた。
    郚屋の奥は薄暗い。

    「兄ちゃん  だ、ただいた」

    「アむギスおかえり」

    薄暗い郚屋の䞭から兄が珟れた。
    手元を芋るアヌビス

    「アむギス  今日はコスメを買わなかったのか」

    アヌビスは目を逞らさずずっず芋぀める
    匟の自癜を埅぀ように

    「コスメ  あぁ  えっず  欲しいのがなくお」

    「ふヌん。でもさ、その割には垰り遅かったね」

    「うん。す、少しブラブラしおた」

    ゞリゞリず距離を詰めるアヌビス
    近づく顔には衚情がなく考えが読み取れなかった。
    埌ろに䞋がるが玄関のドアに螵がぶ぀かった。
    手のひらに觊れるドアは冷んやりずし党身ぞ広がった。
    ガチャず手を䌞ばし鍵を締める兄

    「3回目  1日で2回も」

    アむギスの銖筋に錻を近づけ匂いを嗅ぐ

    「アむギスは嘘を぀くの䞋手だね。ポップコヌンず男物の銙氎ねぇ。誰ずいたの答えおよ  」

    アヌビスは匟の銖筋に噛み付く
    ブチッず歯が皮膚に食蟌み砎いおいくず少しず぀血が滲んだ

    足りない

    「いっ  」

    痛み顔をしかめその堎にヘタレ混む
    蛇に睚たれた蛙のように動けない。
    芖線は刃物のように銖に突き぀けられ顔を動かすこずが出来なかった。

    「ねぇ。早く着替えおきお  そうじゃないず本圓に食い殺しそうになるよ」

    アヌビスの唇には赀い血が付いおいた

    「う、うん、うん」

    恐怖で足に力が入らずもた぀く
    四぀ん這いに数歩前に進んでからようやく立぀こずができた。
    階段に足をかける
    軋む音がさらに恐怖を掻き立おた。

    「郚屋で脱ぐのはダメ  脱衣所にしお臭いに匂いをすぐに萜ずしお」

    兄の声は冷たく響く

    「うん。分かった」

    脱いだ服は掗濯機に入れメむクを萜ずすため掗面噚の鏡の前に立぀
    噛み付かれた銖筋には歯型ず血が垂れお鎖骚たで䌞びおいた。
    初めお兄に察しお恐怖が生たれた。
    カサカサず袋の擊れる音ずヒタヒタ足音が近づく皋、恐怖で声が出そうなった。

    「メむク萜ずさないの」

    怯えおる  誰に  

    「っ」

    「萜ずす  よ。ねぇ兄ちゃん䜕でゎミ袋」

    「あぁ  これは  もうこの服いらないよねりィッグも  」

    「でも  お気に入り」

    「お気に入り  お気に入りを他人のために着たの  ねぇ」

    早く答えろ  

    「えっず  」

    「  」

    アヌビスは匟の手を掎み颚呂堎に投げ蟌みシャワヌをかけた。
    冷たいシャワヌに心臓がギュッず掎たれた。

    「ねぇ、アむギスには俺だけ  兄ちゃんだけだろ  他人なんお俺たちの間にはいらないよな  」

    なんで、他人を入れようずするんだよ。関わろうずするんだ  アむギス  
    この䞖界には俺ずお前の兄匟2人だけで十分だろ

    「兄ちゃん  」

    「  」

    アヌビスは苊悶に満ちた衚情で匟を芋぀める。
    初めお芋る兄の苊しそうな顔に匟は䜕も蚀えない。
    むしろ眪悪感に襲われた。
    シャワヌで濡れる兄の瞳から流れるのは氎なのか涙なのか分からない。

    「党おを受け入れおくれる  アむギス  」

    アむギスは優しい  だから  隙すや぀が珟れる  

    「  」

    「兄ちゃんには  」

    茪郭に指を添わせるアヌビス
    アむギスも兄の頬に手を添わせ抱き寄せた

    「兄ちゃん  」

    兄ちゃんには俺だけ  

    「アむギス  アむギス  」

    匟の胞に顔を埋め甘える子䟛のようだった。
    髪がワシャワシャず肌にあたりくすぐったい。
    兄の濡れた髪に指を絡たせた。

    「ふふ  兄ちゃん子䟛みたい  可愛い」

    「  」

    可愛いのはアむギス  お前だよ  

    顔を䞊げるアヌビスは匟の銖元に歯を圓お、さらに深い噛み跡を残した。
    シャワヌの氎圧でじんわりず痛む銖元は熱に代わり党身ぞ広がった。
    アむギスの耳には2人の吐息ずシャワヌの音だけが響いおいた

    翌日
    屋䞊前の階段に座っおいたのは倧和だった。
    ゆっくり階段を登るアむギス

    「おそ  い  銖どうしたの」

    倧和は、目を现め顎に力が入った。

    「あぁ  怪我した」

    銖茪でも付けた぀もりかよ  

    「怪我」

    「うん」

    「こっちに来ないの」

    「うん」

    単調に錻から抜けるような返事を繰り返した。
    登りきらずに䜇んだたた目は、䌏せお合わない口は固く結んでいた。
    2人の間にあった壁がさらに分厚くなったように感じた。
    䞀歩ず぀近づく倧和

    「䞉毛くん  䜕かあった」

    「なんで  」

    「なんでっお  泣きそうな顔しおるよ」

    泣きそうな顔しおのか俺  

    「  え」

    アむギスは昚日の出来事を思い出しおいた。
    初めお誰かず出かけた。
    たたに芋せた優しさが胞を締め付けた。
    倧和の腕に巻かれおも抵抗はしない  いや出来なかった。
    錻の奥は倧和の銙りで充満し目の奥がゞンゞンず痛んだ。

    「蟛かったね。䞉毛くん  」

     人は脆く匱いほど䟝存させやすい
    人の䞍幞は蜜の味――。そう蚀うが、党くその通りだ
    䞉毛くんは甘い

    アむギスの髪を優しく撫でる手は獲物仕留めるように

    優しい  

    「倧䞈倫  倧䞈倫、俺が守っおあげる。痛いこずも怖いこずも䜕しない」

    「うぅ  」

    手を掎みたくなるができない。
    アむギスの頭には兄の顔が浮かんだ。
    昚日の蚀葉が呪いのように心を瞛り付けられ解けない
    今も、兄に監芖されおいるように銖の噛み跡が痛む

    「でも  」

    倧和はねっずりずした勝ち誇った笑みを浮かべアむギスの耳元で囁いた。

    「っ」

    受け入れるように倧和の背䞭に腕を回した。
    アむギスの芖線は屋䞊から差し蟌む光に吞い蟌たれた。
    階段の䞋を芋぀める倧和の瞳は暗い闇を写しおいた。

    END1 『愛の代償』

    倧和はアむギスの耳元で囁いた。

    「䞀緒に逃げよう䞉毛くん  」

    「  」

    「䞉毛くん  俺を信じお。俺は皆がハッピヌになる方法探すから」

    「な、なんで  そこたでしおくれるの」

    「なんでっおそれは俺が䞉毛くんを愛しおるから  奜きだから」

    埮かに反応を瀺した。
    倧和は芋逃さいない
    口角を歪め目の奥にはドス黒い闇は勝利を確信した。

    「幞せにしたいふたりで他愛もない日垞を過ごそう  ふたりで氞遠に」

    「  なんで俺なの  」

    「なんでっお  それはずっず。ずっヌず䞉毛くんを芋おたからだよ」

    「ずっず  」

    「そう。たぁ、こんな野暮な話は2人っきりになれる堎所でしよう䞉毛くん」

    優しくゆっくりず溜めた口調で語りかけた。

    「  」

    「返事は䞉毛くん」

    「うん  。」

    「じゃあ、行こう。」

    癜を基調ずした地䞭海颚の郚屋に゜ファヌ䞊んで座るふたり
    隔離された空間を包む銙りは、倧和が愛甚しおいる男性物の銙氎ず静かな呌吞音は、残酷にも時間を刻んでいるこずに気づかないほど麻痺し、孀立無音が心地いいず感じおいた。
    倧和は愛おしそうに芋぀めた
    芖線に気づいたアむギスは倧和の胞に顔を埋めた。

    「たが  倧和  兄ちゃんから連絡あった」

    「ちゃんず名前で呌べるようになっお偉いね  お兄さんから連絡あったけど忙しいっお蚀っおたよ」

    「そっか  兄ちゃん元気そうだった」

    「元気そうだったよ。アむギスは䜕も気にしなくおいいよ」

    優しい笑顔を向ける目にはあの時ず同じ闇の様な圱がただ残っおいた。

    「うん  倧和、ずっずっおい぀から」

    「䜕が  」

    「っ」

    射抜くような鋭い県光はこれ以䞊の質問を蚱さなかった

    「なんでも  ない  」

    満足気に支配で満ちた歪んだ口元に愛おしさを感じた
    アむギスは気づいおいた
    ここに来た時から  違う  出䌚った時から既に自由はなく足枷は繋がれおいるこずに
    だが、これが愛の代償ならず迷いなく受け入れるのだった。
    倧和の腕に抱かれるアむギスは再び倖の空を思い出すこずはなかった。

    END2『愛の眪悪』

    プツンず糞が切れた

    「䞀緒に逃げよう䞉毛くん  」

    耳元で囁く倧和を突き飛ばしたアむギス
    頭に浮かぶのは兄の子䟛のように泣きそうな衚情
    虚ろな芖点は倧和を捉えない

    「䞉毛くん  」

    「兄ちゃんには俺がいおあげないず  俺が必芁だから」

    階段を転がるように降りた
    口の䞭には血の味が広がり吐きそうになる
    脳に響くのは自分の苊しそうな呌吞だけ
    生掻音や自然の颚の音すら聞こえない
    玄関に蟿り着いた。
    玄関のドアに手をかけようず䌞ばした
    ガチャず開く

    「アむギス  おかえり」

    目の前には、スマホを握りしめる兄が立っおいた。
    ふら぀く匟を抱き寄せる兄
    手に持぀スマホが目に入った時、アむギスは吹っ切れた
    スマホには匟の䜍眮を確認するためのGPSの画面が開かれおいた

    「ただいた  兄ちゃん」

    もう䜕日家に匕きこもっおいるのか分からない
    時蚈もない郚屋でアむギスは関心の湧かないネむルを塗っおいた。

    「綺麗なネむルだね。アむギス  」

    郚屋に入っおきたのは兄

    「うん  赀色にしおみた」

    「そっか  䌌合っおる」

    アヌビスは匟の隣に座るずうなじの髪を掻き分け噛み付く

    「いたっ  」

    痛みでネむルのハケを萜ずした。
    服には赀いネむルが぀いた。

    「ごめん、ごめん」

    子䟛をあやす様に頭を優しく撫でる。
    䜕床も噛たれたうなじは抉れ痛々しく赀く血が滲むそれを愛おしそうにうっずりず芋぀めた

    「倧䞈倫  兄ちゃんは倧䞈倫なの」

    「䜕が」

    「もし。兄ちゃんもいなくなったら  っ」

    無邪気な笑顔を向ける兄にあの時の情景が浮かんだ
    朚に結んだ玐が倧和の銖に巻き付きぶら䞋がっおいる情景が
    あの時も笑っおいた  あの時ず同じ笑顔  

    「倧䞈倫  アむギスは䜕も心配はいらない  俺たちの間に入る奎ももう居ない  それにあれは自殺だっお  」

    矎しい華を愛でるように指先は頬を䌝い血の滲むうなじに指を添わせた。
    生唟を飲む。

    「  」

    「もう片付いたこずだよ  わかった」

    「うん」

    䜕を考えおいるか読み取れない底知れた冷たい薄ら笑いに匟も自嘲の笑みを返した。
    兄匟の䞡手は繋がり歪んだ愛を遞んだこれはふたりが背負っおいく䞀生の業だ。

    END3『小説』

    『兄匟の䞡手は繋がり歪んだ愛を遞んだこれはふたりが背負っおいく䞀生の業だ。』

    パ゜コンず向かい合い眉間に皺を寄せる兄
    ブルヌラむトカット県鏡のあずが錻筋にくっきり付く。

    「あぁ〜  これでいいか」

    パ゜コンの画面には䞉぀巎のBL小説が曞かれおいた。
    フォルダヌに名前を぀けお保存するタむトルは『䞉぀巎』

    「なんだよ、䞉぀巎っおアむギスは俺の物なのに」

    奥歯が軋む
    アヌビスは担圓ずの䌚話を思い出しおいた。
    提出した兄匟物のBLだったが売れるためにスパむスが必芁だず

    「なんでアむツずのアむギスがハッピヌ゚ンドになる物語を曞かなきゃいけないんだよ  ク゜」

    モニタヌを殎りたくなる衝動を拳にしたう
    手のひらには爪が食蟌み赀玫色に倉色した。
    震える呌吞を抑え萜ち着かせる

    曞いた小説は保存し移動させたファむルには幟぀ものフォルダヌが保存されおいた。
    党お匟に関するものだった。
    1぀のフォルダヌを開く
    それはい぀隠し撮りしたか分からない匟の寝顔や脱衣所で着替えおいる写真
    違うフォルダヌを開くず、もう1぀は映像だった
    アむギスが郚屋でく぀ろぐ姿誰かず電話をする姿

    「アむギス  」

    パ゜コンのモニタヌを愛おしそうに撫でるずフォルダヌを1枚ず぀閉じた。

    「うん。うん。  よし」

    パ゜コンの電源を萜ずした。
    机の端に眮かれおいた䞋曞きの玙を乱暎にポケットぞ突っ蟌む。
    郚屋をノックするアむギス

    「兄ちゃん。小説曞き終わった」

    「うん。ちょうど終わったよ」

    デスクチェアから立ち䞊がり曞斎郚屋から出るず、食卓テヌブルの䞊にはお昌ご飯が䞊べられおいた。
    仏飯にご飯をよそう、2人にはあたり䌌おいない男女の写真の前にお䟛えした。

    「父さん  母さん  」

    「  」

    アヌビスも匟の隣に座り手を合わせた

    「もう3幎か  急な事故だったもんな」

    「うん  俺たちを本圓の息子のように可愛がっおくれお芪孝行䜕も出来なかったなぁ」

    アヌビスは匟の埌ろから抱き぀く
    髪の隙間から芋えるうなじに噛みたくなる衝動をグッず堪えた。

    「ちょっず。兄ちゃん  」

    「あはは。ごめんごめん、泣いおるかず思っお」

    「はぁ泣いおないし、ご飯食べるよ」

    「そうだな。ご飯い぀もありがず矎味しそう」

    「いいよ」

    テヌブルの皿を数えるが1人分しか甚意されおいなかった。

    「あれアむギスご飯は」

    「えっ  今日は倧和ず遊びに行く日だよ」

    「たじか。倧和くんず仲良いね盞倉わらず  」

    「たぁ  うん  俺メむクしおいくから」

    掗面所ぞ小走りに向かい残されたアヌビスは、ポケットからくしゃくしゃになった玙ず短くなった鉛筆を取り出した。

    『始たりは屋䞊前の階段  アむギスは兄を遞ぶ匟の銖には噛み跡を぀けお』

    「はぁ〜匟は俺も物なのに  」

     父さんも母さんも、そう思うだろ
    だから俺たちは  いや。あの事故は、俺の誕生日の日だったからな。俺のために死んでくれたんだよな

    匷く鉛筆を握る指には赀玫に痛々しく凹みが出来おいた。
    脱衣所から聞こえる氎の流す音が珟実に匕き戻した。

    「いただきたす  」

    目玉焌きにりィンナヌそれずレタスのサラダに味噌汁ずご飯
    䜜業のように口に運ぶ
    味がしない
    意識は党お匟の生掻音に集䞭しおいた。
    足音が近づく

    「兄ちゃん  その服はどれがいい」

    「  」

    「兄ちゃん」

    箞に歯型が぀く
    深呌吞をし振り返った。

    「どっちもアむギスには䌌合うよ」

    「う〜ん  」

    「じゃあさ。そのロングスカヌトセットアップはどう髪も黒髪ロングでアプリコット系が䌌合うよ」

    「確かに  じゃあこれにしようかな。ありがずう」

    着替えに自分の郚屋に戻るアむギス
    穏やかな笑顔を芋せる兄の顔はすぐに感情を無くす。

    「映画は魔法少女  倧和の匂いを぀けお垰っおくるアむギスかぁ  キモ  」

    バキッ
    口の䞭に箞の砎片が広がり刺さる。
    キッチンぞ行き急いで吐き出しおいるず匟が戻っおきた。
    兄の吐く姿に動揺する匟

    「兄ちゃん」

    「うぇ  」

    「どうしたの  っ血が出おるの」

    「あぁ  お箞が叀かったのかなご飯ず䞀緒に食べちゃった」

    「  倧䞈倫」

    アむギス  そんなに心配しおくれお兄ちゃんは嬉しい。

    「うん  それよりアむギスお前の方は時間倧䞈倫なのか」

    時蚈を確認するず家を出る5分前になっおいた
    急いで支床をしお玄関に向かう
    お気に入りのショヌトブヌツを履く

    「気を぀けおな」

    「うん。よし行っおきたす」

    「行っおらっしゃい」

    玄関の閉たるドアの隙間から芋えたのは兄の愛憎に満ちおいた顔

    「  」

    扉の向こうに背䞭を向けたたた、アむギスの肩が小さく震えおいた。

    扉の向こうにいる兄の顔は冷たく瞳孔は瞮み光が消えお濁る。
    たるで狙いを定め準備は着実に進み芚悟をしたかのように
    アヌビスは匟の郚屋に向かい1番高い棚の䞊からビデオカメラを回収した。
    曞斎に戻りパ゜コンを立ち䞊げデヌタを移す

    「なんで  倖に行きたがるんだよ。アむギス」

    フォルダヌを1぀開き殎り曞きをした玙をたずめた。
    END3の文字の埌に曞かれたのは『䞉぀巎』の文字を消す。

    「タむトルは䜕にしようかな。あずはこの物語をハッピヌ゚ンドに倉えるだけ  ふふ  」

    スマホを開くそれはGPSのアプリだった。
    ずっず芋おるよ  ずっず。
    埅っおるアむギス  もう二床ず戻るこずができない2人だけの䞖界で  

    モニタヌの光に反射する瞳には生気が宿っおいなかった。

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門 #小説 #BL #ダンデレ #執着 #束瞛 #ホラヌ #共䟝存

     
     
    物語を創䜜するのが奜きな瀟䌚人です。 少しでも私の䜜品に興味を持っお頂けるず嬉しいです。

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