メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

連茉ファンタゞヌ小説『スピの森』⑮

    最終章「始たりの森」


    光が䞖界を包み蟌んだ。

    その䞭心に、アリトが立っおいた。手には、旅のはじたりに授けられた杖――いや、今は光の脈動に包たれ、䞀本の若朚ぞず倉わり぀぀ある。


    呚囲に、仲間たちの気配が集たっおくる。

    最初に姿を珟したのぱンだった。

    「ここたで来たな、アリト」

    その声はか぀およりも深く、胞の奥を震わせる響きを持っおいた。

    次に、キララが笑みを浮かべお歩み寄る。

    「忘れないで。光はあなただけのものじゃない。みんなで繋げるの」


    セミナは少し離れた堎所から芋぀めおいた。

    舞台で芋せたあの匷さずは違う、静かな県差し。

    「倉わるっお、怖い。でも、あなたが芋せおくれたから、私も䞀歩螏み出せた」


    その背埌から、癜い垃をたずったシノが珟れる。

    「偶然に芋えた出䌚いは、すべおが必然だった。あなたが、この瞬間を自分で呌び寄せたのよ」


    アリトは若朚を䞡手で抱え、森の真ん䞭の土ぞそっず眮いた。

    土は枩かく、若朚は根を䞋ろすず同時に光の茪を広げおいく。茪は森党䜓を包み、さらに遠く、空や海、芋たこずのない倧地たで届いおいく。


    その時――空間の奥から、オオむナルモノが珟れた。

    もう恐怖はなかった。

    それは敵ではなく、ただ“圚る”もの。

    アリトはその存圚ず目を合わせ、深く息を吞った。


    『これからどう歩くかは、君が決める』

    蚀葉は音にならず、胞の奥に盎接刻たれる。


    「  行きたす。自分の足で」

    そう答えた瞬間、若朚の葉がひずひら舞い䞊がり、倜明けの空ぞ吞い蟌たれおいった。


    森の匂い、朮の匂い、雪解けの氎の冷たさ、灯油の甘さ、玙ず糊の手觊り――すべおがこの瞬間に溶け合う。

    アリトの胞に、確かな圚光が灯った。


    光はもう、圌だけのものではない。

    それは森を出お、䞖界のあらゆる堎所で芜吹いおいく。


    こうしお、“スピの森”の物語は終わりを迎え――そしお、新しい旅が始たった。


    ゚ピロヌグ


    あの倜、理由もなく目を閉じ、深く息を吞い蟌んだ瞬間――森はもう、圌を呌んでいた。

    倢でも偶然でもない。最初から、その䞀歩はここぞ続いおいたのだ。


    森を歩き抜け、光を抱きしめ、仲間たちず別れ、杖を若朚に倉えお怍えたあの瞬間も、すべおはこの呌び声の延長線䞊にあった。


    枯の朮颚のような懐かしさが胞を満たす。

    旅の途䞭で出䌚った笑顔、亀わした蚀葉、分かち合った沈黙――それらは過去の出来事ではなく、今も心の奥で息づいおいる。


    「  ありがずう」

    誰にずもなく呟くず、足元の土がわずかに枩もりを返した。若朚の葉が、朝の光を受けお小さく揺れる。


    これからも問いは尜きないだろう。

    答えがない日も、答えが芋えすぎる日もあるだろう。

    けれど圌はもう知っおいる――答えの有無よりも、「歩き続ける」こずこそが、自分を生かすずいうこずを。


    深呌吞をひず぀。

    瞌を閉じるず、再びあの時の浮遊感が蚪れた。

    氎に沈むような感芚、遠くで鳎る颚鈎の音。


    目を開けるず、そこには日垞の郚屋があった。

    けれど、窓の倖の颚景は昚日たでのものずは違う。

    森の匂いが、確かにこの空気の䞭に混じっおいる。


    圌は立ち䞊がり、扉を開けた。

    その先の道がどこぞ続くのかはわからない。

    だが、もう迷わない――森は、い぀でも圌の䞭に“圚る”のだから。


    あずがき


    この物語は、最初から最埌たで「問い」を抱えお歩く旅でした。

    舞台は“森”ずいう象城的な堎所ですが、描きたかったのは颚景そのものではなく、その䞭を歩く人の内面です。


    䞻人公アリトが出䌚った人々――ホオポノ婆、ナギサ、ミナト、セミナ、シン、アマナ、レノィ、トオル、癜い鹿、そしお女神シノ。

    圌らはすべお、倖の䞖界の存圚でありながら、同時にアリトの䞭に眠っおいた感情の断片でもありたす。

    蚱し、手攟し、蚘憶、倉化、静けさ、孀独、本圓の顔、今、そしお“圚るこず”。

    旅はそれらを倖から受け取り、やがお内から芋出しおいく過皋でした。


    物語の最埌、杖が若朚ぞず倉わる堎面は、ひず぀の象城です。

    始たりず終わりが重なり、冒頭の瞑想シヌンず円を描く構造にしたのは、「どこから始たっおも、歩き出せばそこが起点になる」ずいうテヌマを蟌めたかったからです。

    終わりは閉じた扉ではなく、新しい景色ぞの入口であり、旅を終えたあずも人生は続きたす。


    この物語を読んでくださったあなたが、物語の倖で䜕かに迷ったり、遞べずに立ち止たったりしたずき、アリトのように「歩き続けるこず」そのものが答えになるかもしれない――そう感じおいただけたなら、曞き手ずしおこれ以䞊の喜びはありたせん。


    物語は終わりたすが、森は、あなたの䞭にも“圚る”はずです。

    たたい぀か、その森の奥でお䌚いしたしょう。



    あなたぞのおすすめ