
ひとつの物語、四つの形①
はじめに
今回の番外編は、これまでの短編小説で取り上げたテーマをもとに、詩・俳句・川柳・童謡に仕立てました。
題材は「ロッキード事件」「プリクラ」「SNS誹謗中傷」「明治維新」「フランス革命」の五つ。
物語とはまた違う、言葉の凝縮やリズム、余白の中にある情景をお楽しみください。
1. ロッキード事件
詩
静かな会議室
握られたはずの手は
冷たく離れ
机の上で
封筒だけが重く息をする
俳句
密約の
封印解けし
梅雨の雷
川柳
記者会見
言葉少なく
汗多く
童謡
♪茶色い封筒 そっと置く
大人のひそひそ 夜の声
真実はどこへ かくれんぼ
お月さんだけが 知っている♪
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2. プリクラ
詩
明るいフラッシュ
笑顔に重なる
知らない影
四人目の笑みは
誰のものだったのか
俳句
プリクラに
笑顔ひとつの
影混ざる
川柳
盛れる顔
写り込んだは
誰の顔
童謡
♪シャッターきらり ピースの手
見えないはずの 影ひとつ
笑っているのに 背中寒い
風がひゅるりと カーテン揺らす♪
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3. SNS誹謗中傷
詩
光る画面の奥
黒い種がまかれ
夜ごと芽を出す
見えない指先は
名もなき刃物
俳句
真夜中の
通知が胸を
刺しにくる
川柳
送信は
刃より早く
人を刺す
童謡
♪ぴこんとひかる よるのまど
ことばのつぶて とんできた
まるくなっても ころんでも
いたいこころは なおらない♪
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4. 明治維新
詩
太鼓が遠くで鳴る
町の匂いが変わる
刀を捨てた手に
新しい地図を握り
歩き出す若者
俳句
散切り頭
風が撫でゆく
春の道
川柳
文明の
音は汽笛と
靴の音
童謡
♪がたんごとんと くるまきて
あたらしいよふく ぴかぴかだ
とけいのはりも はやくなり
みらいはどこまで はしるかな♪
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5. フランス革命
詩
広場の風は重く
赤い旗を揺らす
刃が光り
群衆の声は
空を裂いた
俳句
革命の
朝に消えゆく
影ひとつ
川柳
断頭台
沈む夕陽と
拍手の渦
童謡
♪ひろばのまんなか ひびくこえ
じゆうをさけぶ みなのこえ
あしたはどんな そらのいろ
はたはひらひら かぜにまう♪
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