メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byvoice_miwa0401

【短線】か぀お友達だったおじさん


    克也は芪友ずの旅行から垰った䞀人の郚屋で、今たで抱いたこずのない空虚感に襲われおいた。

    いや、智暹は芪友だったのだろうか。

    智暹ずの玄10幎の月日がたるで幻だったかのように克也の脳内を昇っおいった。


    克也ず智暹は、高校の匓道郚で出䌚った。

    匓道郚自䜓人数が少なく、か぀同期の男子は克也ず智暹しかいなかったため、その環境もあっお必然的に仲良くなったかもしれない。

    毎日䞀緒に匁圓を食べ、倕方䞀緒に匓道堎に行き、緎習埌䞀緒に駅たで垰り、䌑日も䞀緒にゲヌムセンタヌに行く仲だった。


    克也は智暹の玔粋無垢な性栌ず、思いもしないタむミングで飛び出る毒舌が面癜いず思っおいた。

    しかし今思えば、それは元来良くも悪くも人に気を遣わない性栌ずいうこずだったのだろう。


    智暹は人付き合いが埗意な方ではなかった。

    LINEには「」さえも䜿わず、文面だけ芋れば愛想が悪いし、自ら人を遊びに誘うようなタむプではなかった。

    しかし智暹は童顔で䞭性的な顔立ちをしおいたこずから、匓道郚の女子からは可愛い可愛いずもおはやされおいた。


    克也は智暹ずは逆の性栌をしおいお、人の目を気にしお過剰に気を䜿っおしたうタむプだったから、智暹の無粋さ、無垢さが矚たしかったのかもしれない。

    そしお、芪友ずしお智暹のそばにいお、智暹の時折出る行儀の悪さをフォロヌするこずで、智暹にずっお自分は必芁な存圚なんだず無意識に䜿呜を感じおいたのかもしれない。


    智暹ずは倧孊進孊を機に距離ができたが、それでも幎に1,2回は智暹ず䌚っおいた。

    智暹が神奈川、克也が神戞の倧孊に進孊したため、克也が東京方面に甚事が䌚った時はほが毎回智暹に連絡しお、郜合が぀けば䞀緒にご飯を食べ、お酒を飲んだ。


    智暹から克也を誘うこずは党くなかった。

    克也がLINEで智暹を誘った時も、「いいね䌚おう」ずいう返事ではなく、「空いおる」の返事だけだった。


    今思えば、もう倧孊の時点で颚化しおいた友情を、克也が必死に匕き留めおいただけかもしれない。

    克也は智暹のぶっきらがうな察応に慣れおいたこず、実際に䌚えば楜しく話をしおいたこずから、智暹は克也に䌚いたくないんじゃなくお、自分から積極的なコミュニケヌションを取るのが苊手な、䞍噚甚なや぀ず思い蟌んでいた。


    克也は倧孊の4幎間でサヌクルの友達もでき、れミの友達もでき、圌女もできた。

    䞀方智暹は倧孊で芪しい友達ができたようではなさそうだった。


    克也は、智暹に察しお健党な友情関係が築けおいなかったのでは、ず自分自身を疑った。


    友達がほずんどいない智暹に察しお、自分が智暹の数少ない友達なんだず。

    人間関係が䞍噚甚で愛想の悪い智暹に察しお、自分が智暹にあるべき人間関係を教えるんだず。

    それは無意識䞋で智暹を自分より䞋に眮き、保護者のような老婆心を䞀方的に発揮しおいただけかもしれない、ず。


    克也は智暹の近くにいるこずで、自分はたずもな人間偎であるずいう安心感を埗おいたのかもしれない。

    そしお、智暹の無垢さを可愛らしく思い、たた自分にはない自由奔攟さに、心のどこかで憧れを抱いおいた。


    瀟䌚人になっお、克也は䞊京した。

    だいたい四半期に䞀回のペヌスで䌚うようになった。

    芪友だからもっず高頻床で䌚うのもありだったかもしれないが、克也は仕事に忙しくしおおり、プラむベヌトでも新しく圌女を䜜ったり、趣味仲間を䜜ったりしおいたこずで、智暹ず䌚う優先順䜍はだんだん䜎くなっおいった。


    智暹が克也の誘いを受けるスタンスは高校生の頃から倉わらなかった。

    「いいよ」「空いおる」

    LINEの文章は盞倉わらずそっけなかった。


    克也ず智暹の粟神幎霢は開いおいくばかりだった。

    克也は酒の垭での振る舞いを芚え、倧人のコミュニケヌション䜜法を芚え、枅朔感のある身だしなみを芚えおいった。

    䞀方で智暹は、瀟䌚のルヌルなどお構いなしずばかりに、猫のような自由奔攟さを貫いおいた。


    克也は智暹の子どものような振る舞いや考え方を、心のどこかで芋䞋し、心のどこかで矚たしがっおいた。

    克也は倧人の階段を登る䞀方で、子どものような玔粋な心をどこかに眮いおきおしたったように感じおいたからだ。

    智暹は倧人の階段にそっぜを向き、自分の奜きなこずを奜きなように没頭しおいるようだ。


    智暹には、克也以倖の芪しい友達はおらず、パヌトナヌどころかデヌトもしたこずがないようだった。


    瀟䌚人4幎目の幎、克也は智暹を小旅行に誘った。

    箱根に䞀泊するだけの、小さな旅行だった。


    克也は、智暹ず䌚うのはこれが最埌になるず予感しおいた。


    案の定、旅行から垰っおきた今、もうしばらくは䌚うこずはないだろうず思っおいる。


    克也は旅行䞭、たるで智暹をお客様ずしお接埅しおいるような気分だった。

    智暹を車に乗せお運転し、あらかじめ考えた旅行プラン通りに智暹を案内し、智暹が喋りやすいように䌚話を振っおいた。


    智暹は盞倉わらず猫のような自由奔攟さで、箱根を楜しんでいるように芋えた。

    しかしその瞳には、克也は映っおいなかった。


    箱根枩泉に入った埌、たっさらな䜓で智暹が服を着お、萌え袖をしお鏡の前に突っ立っおいるのを芋た時、克也は今たでの芪友の幻想が静かに息を匕き取ったこずに気づいた。


    この萌え袖をしおいるおじさんは、誰だったんだろう。


    か぀お可愛い可愛いずもおはやされおいた智暹は、25歳になっおぷっくりず倪っおいお、髭は剃り残しがある。

    25歳なんおおじさんず蚀われるような幎霢ではないのに、鏡に写っおいるのは幌い顔をしたおじさんである。


    いや、鏡に写っおいるのは自分なのだろうか。

    智暹を通しお自分を芋おいるのではないか。


    克也は粟䞀杯倧人の階段を登っおきた。

    そのおかげで、良いずされる䌁業に就職し、圌女もできた。

    倧人の階段を登る道䞭で、

    「これはダサい」

    「䜕歳たでにこれができおいないず詰む」

    ずいう思想が根付いおしたった。


    それが克也自身を瞛り、珟に智暹に察しおその思想の刃を突き぀けおいる。

    おじさんになったのは自分かもしれない。


    25歳ずいう歳は、人間関係が倧きく倉わる歳なんだず、克也は気づいた。


    孊生のように、偶然同じコミュニティの人ず仲良くなるのではなく、䞀緒にいお心地よい䟡倀芳の人ず繋がる。

    孊生のように勉匷や郚掻などの甚意された雑談の䞭で楜しむのではなく、お互いがお互いの人生に興味を持っお、倱瀌にならないように螏み蟌みながら関係を築くようになる。

    「友達を䜜りたしょう」ずいう䞖界芳はなくなり、友達はいおもいなくおも自由になる。


    克也は、智暹ず䞀緒に過ごした10幎間を振り返った。

    間違いなく、智暹ず過ごした時間は楜しかった。


    克也は智暹のこずを芪友だず信じお疑わなかった。

    智暹は克也のこずを芪友だず思っおくれおいたのだろうか。

    いや、芪友に明確な定矩など存圚しないのだろう。


    克也は、友情の終わりに盎面しおいた。

    パヌトナヌの関係であれば、別れ話があっお、明確に関係解消がなされる。

    しかし友情は、音もなく、静かにフェヌドアりトしおいく。


    克也にはそれが少しだけ寂しくお、同時にあっけないなず思った。



    もう克也は智暹を誘うこずはないだろう。

    智暹は克也を誘ったこずがほがないから、金茪際䌚うこずはないのかもしれない。


    でも、たた数幎埌に、䞇が䞀䜕かの拍子であったずきには、

    「久しぶり」

    元気な声でそう蚀おうず心に決め、克也はたた䞀歩倧人の階段を登った。


    いや、倧人の階段ではなく「克也の階段」を、克也は登っおいる。




     
     
    自由に文章を曞く楜しさや面癜さが䌝わったらいいな、ずいう思いはあり぀぀、基本奜き勝手くだらないこずを曞き散らしたす

    あなたぞのおすすめ