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月音商店街 〜ショヌトショヌト絵本

    月音商店街には、今日もい぀もず倉わらない時間が流れおいたす。
    けれどその片すみでは、ずきどき、
    こずばにしにくい小さな䞍思議がそっず息をしおいたす。
    これは、そんな商店街のあちこちで生たれる、日垞ず䞍思議の短い物語です。

    収録䜜品
    第䞀話「月音商店街の地図」
    第二話「KOBAN」
    第䞉話「たこやき屋 ころりん」
    第四話「お颚呂屋 笹の葉湯」
    第五話「駄菓子屋 よりみち」


    第䞀話   月音商店街の地図

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    はじめたしお。

    月音぀きねです。

    人は、地図に茉っおいる堎所ぞは迷わず行けたす。

    でも人生には、
    地図に茉らない堎所がたくさんありたす。

    誰にも説明できない気持ち。

    なぜか忘れられない出来事。

    遠回りだったのに、
    あずから振り返るず必芁だった時間。


    䞻人公は月音。

    そしお、ずきどき䞍思議なものたち。

    どうぞポケットから取り出すような気持ちで、
    ひず぀ず぀お楜しみください。

    それでは最初のお話です。

    ヌヌヌヌヌヌヌヌ

    月音は、地図を買うのが奜きだった。

    行くためではない。
    芋るためだ。

    道があれば安心するし、
    道がなければ少し気になる。

    だから今日も、どこぞ行く予定もないたた地図を開いた。

    âž»

    叀道具屋で芋぀けたその地図は、少し倉だった。

    玙の端に、小さくこう曞いおある。

    「ChatGPT補」

    「地図なの」

    ず月音が聞くず、店䞻は蚀った。

    「たぶんね。地図のふりはしおる」

    âž»

    広げおみるず、道はほずんど描かれおいなかった。

    代わりに、蚀葉だけが䞊んでいる。

    『たぶんこっち』
    『気になる』
    『たあいいか』
    『でも戻るかもしれない』

    「圹に立たないね」

    月音は笑った。

    するず地図が蚀った。

    「圹に立぀地図は、目的地がある人向けです」

    âž»

    月音はしばらくそれを芋おいた。

    その日から、䜕床も開くようになった。

    開くたびに、少しだけ蚀葉が増えおいる。

    『寄り道しおもいい』
    『間違いも䞀応ルヌト』
    『玍埗したら進む』

    âž»

    ある日、月音は聞いた。

    「結局どこに行く地図なの」

    地図は少しだけ間をあけお答えた。

    「分かりたせん」

    「え」

    「あなたが毎回、途䞭で別の道を芋぀けるので」

    âž»

    月音は笑った。

    それは、たしかにそうだった。

    âž»

    最埌のペヌゞには、ずっず同じ䞀行だけがあった。

    『珟圚地だいたいこの蟺』

    月音はそれを芋お、もう䞀床だけ地図を閉じた。


    第二話   KOBAN

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    商店街の入口には
    少し倉わった亀番がある。

    普通の亀番のはずなのに、少しだけ違う。

    「道に迷いたしたか」

    ず聞かれる前に、

    「どの迷いですか」

    ず聞かれる。

    月音は少し考えた。

    「どの、ずは」

    「珟圚の迷いは䞉皮類ありたす」

    「そんなにあるんですか」

    「はい、
    堎所の迷い、
    気持ちの迷い、
    あず、垰る気の迷いです。」

    âž»

    亀番の䞭には地図が貌っおある。

    ただしその地図にはこう曞かれおいた。

    『珟圚曎新䞭』

    画像


    「どこが入口なんですか」

    ず聞くず、譊官は答えた。

    「入口はだいたいこの蟺です」

    âž»

    倖を芋るず、商店街がある。

    䞭を芋るず、ただ商店街ではない気もする。

    月音は小さく蚀った。

    「ここからでいいんですかね」

    譊官はうなずいた。

    「はい。迷い始めたら、もう䞭です」

    âž»

    そのずき、埌ろから声がした。

    「迷いたした」

    別の人が亀番に入っおくる。

    譊官はい぀も通り聞く。

    「どの迷いですか」


    月音は思った。

    ここはたぶん、地図より先に来る堎所だ。


    第䞉話   たこやき屋『ころりん』

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    月音は、商店街の角で足を止めた。
    芋慣れない赀いのれんが、颚にゆれおいる。
    たこ焌き ころりん
    その䞋に、小さく曞かれおいた。
    すっおんおん
    「  倉な名前」
    そう぀ぶやいお、店の䞭をのぞく。
    鉄板の䞊で、たこ焌きがころりん、
    ず転がっおいた。

    店䞻は幎季の入ったたこ焌き屋のオダゞだった。‚無駄のない動きで黙々ずたこ焌きを返しおいる。

    レゞ暪には叀いラゞカセが眮かれおいた。‚カセットテヌプが、少しだけ䌞びた音で
    回っおいる。

    ♪たこやき ころりん‚ すっおんおん‚♪ころりん ころりん‚ すっおんおん


    「これ  テヌマ゜ングですか」
    月音が聞くず、
    オダゞは手を止めずに蚀った。
    「そうだ」

    「自分で䜜ったんですか」

    「そうだ」

    「売っおる曲」
    オダゞは少しだけ笑った。

    「売れなかった曲だ」

    「昔、これで食っおいこうず
    思ったんだがな」

    ころりん、ずたこ焌きが返される音がする。

    月音は、レゞ暪に気づいた。
    朚圫りのクマが眮かれおいる。
    ‚シャケを持っおいる。
    なぜか、それだけは動かないたたそこにある。
    パン倪の目が止たる。
    「  」
    「どうしたの」
    「クマだ」
    「うん、クマだね」
    「いいクマだ」
    それだけ蚀っお、パン倪はじっず芋぀めおいた。

    月音は泚文する。
    「このたこ焌き、䞭身は䜕ですか」
    オダゞは少しだけ間を眮いた。
    「決たっおない」

    「決たっおない」
    「食べる人で倉わる」

    ころりん。
    たこ焌きがたた転がる。

    月音は䞀぀食べた。
    䞭から出おきたのは、
    蚀葉になる前のような味だった。
    少しだけ、今日の気持ちに䌌おいる。
    はっきりしないのに、なぜか残る味。

    別の客は蚀った。
    「懐かしい味がするな」
    たた別の客は、䜕も蚀わずに笑った。

    パン倪は圓然のように蚀う。
    「シャケだった」
    月音は顔を䞊げる。
    「たこ焌きだよね」

    「シャケは圓たり」
    パン倪の䞭では、それで決たっおいるらしい。

    店の奥では、ラゞカセがただ歌っおいる。
    ♪すっおんおぇ〜ん
    少しだけ䌞びた声。
    少しだけ倖れた音。

    月音は店を出る。
    手の䞭の味は、ただはっきりしないたただった。
    でも、それでいい気がした。
    この街は、そういう堎所なのかもしれない。

    商店街の颚が、少しだけやさしかった。


    第四話  お颚呂屋『笹の葉湯』

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    笹の葉湯ずいう、小さな湯屋の前で、
    パン倪は、ただ立っおいた。

    月音は商店街の奥で足を止める。
    そこに、小さな看板があった。

    「お颚呂 やっおたす」
    その䞋に、さらに小さく曞かれおいる。

    ──パンダは入れたせん

    「  え」

    âž»

    のれんの奥から、湯気がふわりず挏れおいる。
    番台には、おばあちゃんが䞀人。

    「いらっしゃい」

    âž»

    そのずき、暪からパン倪が珟れた。

    銖から䞊はパンダ。
    䜓は、なぜかクマの着ぐるみ。

    「これでどうだ」

    少し誇らしげだった。

    âž»

    番台のおばあちゃんは、じっず芋る。

    「パンダは入れたせん」

    「  クマです」

    「クマ」

    「クマです」

    「銖から䞊は」

    「パンダです」

    䞀拍。

    「じゃあなおさらダメですねぇ」

    âž»

    パン倪はしばらく黙っおいた。
    そしお小さくうなずく。

    「  わかった」

    画像

    パン倪はそのたた入口の前に立ち続ける。

    âž»
    月音はひずりで湯に入る。
    お湯は、少しだけやさしい枩床だった。

    理由はないのに、そう感じる湯だった。

    âž»

    どこか遠くで、番台のおばあちゃんの声がする。

    「今日はいい日ですねぇ」

    âž»

    湯から䞊がるず、パン倪はただ倖にいた。
    クマの着ぐるみのたた、それでも少し満足そうだった。

    「どうだった」

    月音が聞く。

    パン倪は蚀う。

    「いい湯だった」

    「入っおないよね」

    「でも、いい湯だった」

    âž»

    番台のおばあちゃんが奥から顔を出す。

    「たたどうぞ」

    âž»

    パン倪は䞀瞬だけ止たり、
    小さく頭を䞋げる。

    「今床は  もう少しクマになる」

    âž»

    月音は笑った。

    商店街の颚は、少しだけあたたかかった。


    第五話  駄菓子屋『よりみち』

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    月音商店街の端には、寄り道しかできない駄菓子屋がある。

    名前は「よりみち」

    叀い朚の匕き戞には、こう曞かれおいた。

    「倧人も入れたす」

    この店には、ひず぀だけルヌルがある。
    迷っおいる人ほど、よく入っおくる。

    ある日。

    疲れた顔の女性が、商店街を歩いおきた。

    店の前で、ほんの少しだけ足が止たる。
    それだけで十分だった。

    âž»

    䞭から、店番のおばあさんが声をかける。

    「どうぞ」

    女性は小さく頭を䞋げお入る。

    「すみたせん、
    ここ、駄菓子屋ですよね」

    「そうだよ」

    「私、四十五歳なんですけど」

    「知っおるよ」

    âž»

    店の䞭には、昔ず倉わらないものが䞊んでいた。

    ラムネ。
    きなこ棒。
    あめ玉。

    そしお䞀぀だけ、少し浮いた箱がある。
    『あの日の10円』

    âž»

    画像


    「これ、䜕ですか」

    「買っおみな」

    10円。

    女性は迷わずそれを買った。

    âž»

    その瞬間、店の空気が少しだけ倉わる。

    音が䞀枚、薄くなるような感芚。

    âž»

    箱を開ける。

    䞭は、空。

    でもその空癜から、倕方の蚘憶が流れ蟌む。

    ブランコ。
    チャむム。
    垰り道の匂い。

    âž»

    女性は小さく笑った。

    「倉なお菓子ですね」

    「お菓子じゃないからね」

    「じゃあ䜕なんです」

    「よりみちだよ」

    âž»

    女性はラムネを䞀本買い、店を出る。

    âž»

    倖の光に目を现めたずき、少し離れた堎所に月音がいた。

    ただ立っおいるだけで、䜕もしおいない。

    目が合った気もしたが、確かではない。

    月音は䜕も蚀わない。

    ただ䞀床だけ店を芋お、たた芖線を倖した。

    âž»

    女性はそのたた歩き出す。

    商店街の音が、少しず぀戻っおいく。

    âž»

    その倜。

    女性は空を芋䞊げた。

    月がきれいだった。

    そしお「よりみち」は、今日も䜕事もなかったようにそこにある。

    月音

    #創䜜倧賞2026 #オヌルカテゎリ郚門

     
     
    月音぀きね。 🌙『消えなかったもの』 🐞『月音のあのね』 ❄『こころ箱』 🗺『月音商店街』ショヌトショヌト絵本 を曞いおいたす。 創䜜では【月䞀音】名矩。 CASIO公募で遞出歎あり。 『月音商店街』を本にできたらず思っおいたす。 出版・掲茉のお声がけはDMぞ

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