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【104】 六曜と十二直

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    (*写真は友引)

    いろいろ調べているのだが、どういう経緯で成立、普及したのかほとんど掴めていない「六曜ろくよう」と「十二じゅうに直ちょく」。

    そもそも曜とは輝く天体であると「【102】 五曜 七曜 九曜 十曜」で説明済みだが、六曜に天体の要素はない。七曜との混同を避けるため、明治政府は「六輝ろっき」や「宿曜すくよう」への言い換えを進めていたようだ。

    六曜
    :先勝せんしょう・友引ともびき・先負せんぷ・仏滅ぶつめつ・大安たいあん・赤口しゃっこう

    この六日間を繰り返す。仏教無関係っぽいのに仏滅、友引だけ訓読み、というのも不自然だ。しかし仏の漢音はフツ、呉音はブツ。赤の漢音はセキ、呉音はシャク。呉音はチャイナ南東部からの仏教絡みの音なので、やはり仏教が関係しているのか? しかも六は「【096】 六根清浄とドッコイショ」で説明したようにインド系のキーナンバーである。

    六曜の元ネタはチャイナの李淳風の『六壬承訣りくじんしょうけつ』にある大安、留連、速喜、赤口、将吉、空亡、なるネット記事が散見されるが、何ら確証はない。李淳風は太陰太陽暦の「儀鳳暦ぎほうれき」の作者と伝わる天文学者だ。しかし現代チャイナにはその片鱗すら残っていない。「六曜」の Wikipedia は日本語ページしかない。

    ネット情報はコピペが増殖していく。誰か一人がデマを発信しても、それを否定する勢力や論拠がない限り、勝手に拡散して真実のような状況を作ってしまう。とくにチャイナ起源ネタは、原典を入手出来ないことが多いために裏付けを取ることが難しく、より一層の注意が必要である。

    六曜の類似品、十二直。この元ネタもチャイナ民間信仰の「建除十二神」らしい。北斗七星の動きに関連付けた農業暦の一つと考えられ、12神が一日ずつ当番をし、農民はその日の神の特性にあった行いをしたのだそうだ。またこれが、十二支の原型という説もある。しかし建除十二神もチャイナではとっくに廃れている、というか本当に流行った時期や地域があったのかすらも疑わしい。

    十二直
    :建たつ・除のぞく・満みつ・平たいらぐ・定さだむ・執とる・破やぶる・危あやぶ・成なる・納おさむ・開ひらく・閉とず

    建除十二神
    :堅・楚・満・平・丁・知・伯・衛・成・寿・開・毗

    十二直は江戸時代の建築業界で重視されていたようだ。場所を定める、区画を平らにする、柱を建てる、などのように日を選んで決めていた。地鎮じちん祭さいは、建たつ・満みつ・平たいらぐ・定さだむ・成なる・開ひらくのどれかでないと行わなかった。現在はどうなのか知らないが。

    *

    私が子供の頃、祖父が亡くなって自宅で葬式を行った。その準備中、近所のジジイが乱入して来て、「今日はトモビキだから駄目だ!」云々、大人たちと揉めていたのを覚えている。当時は何のことで争っているのか、まったく意味が分からなかった。その場に福澤諭吉がいたのなら、そのジジイを一喝してくれただろうに。

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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