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【142】 ドリトル先生とネコ肉屋

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    (*写真は1900年ロンドンの猫肉屋)

    私がネコ肉屋を初めて知ったのは、「【084】 贔屓と狼狽」で触れた『ドリトル先生』(1920年)に登場する、ジプシーの血を引くネコ肉屋(Cat's-meat-man)のマシュー・マグだ。

    日本では『シートン動物記』で知られるアーネスト・シートンの『動物英雄伝』(1905年)の一編『裏町の野良猫』(The Slum Cat)にも、19世紀末のニューヨークの行商人「ネコ肉屋(meat-man)」が登場する。なお『シートン動物記』という原作は存在しない。和訳者がシートンの著作をまとめた日本独自のタイトルだ。

    ネコ肉屋とは、ネコ肉を売るのではなく、ネコの餌屋だ。死んだ馬の肉、臓物を煮たものをペットフードとして路上で行商する。悪臭を撒き散らし、忌み嫌われた最低ランクの職業だ。彼がドリトル先生の親友というのも、ヒュー・ロフティングの愛情の表れなのだろう。

    馬肉食は内陸アジアの遊牧民にとっては至って普通である、というかヒツジと並ぶ主食だ。西欧では、ナポレオンが食糧難対策として「死んだ軍馬は食うべし」と奨励したため、スペイン、フランス、イタリア、オランダ、オーストリアでは馬肉食に抵抗はない。イタリアには生の馬肉のカルパッチョもある。しかし馬肉の生食は、日本とイタリアだけだと思われる。

    一方、アングロサクソン民族+アイルランドには、「馬は人間の親友」という思想が根強く、まず食べない。だからイヌネコの餌として流通した。

    2013年、アイルランドで発覚した牛肉への馬肉混入事件(2013 horse meat scandal)は、EU全域に派生。EU圏内で「牛肉」として売られる肉に、馬肉が混ぜられている事例が多く発覚して大騒動となった。

    *

    私は、ふるさと納税の返礼品で、熊本の自治体の馬刺を頼んだことがあるのだが、届いたら思い切り「カナダ産」と書いてあった。国産じゃないと知って、もう頼むのはやめた。

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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