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【001】 NHKドラマ 『しあわせは食べて寝て待て』 とトリたち

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    友人から勧められたドラマである。私はその存在すら知らなかったのだが、母の死因である膠原病こうげんびょうがテーマだと聞き、試聴することにした。

    私は映画やドラマを視聴する際には、事前情報を見ない主義である。他人の評価の影響を受けたくないのと、ネタバレを見たくないので。

    結論としては、ネット配信サービスにて一気見したほど面白かったのであるが、ここでは筋書きではなくキャラ名について考証しようと思う。

    まずは主人公の麦巻むぎまきサトコ。麦巻なんて苗字は実在するのだろうか、なぜ原作者はこの名を用いたのか、それが最初に気になった。試聴を一旦停止してネット検索したところ、原作者は水凪ミズナギトリ、旧筆名は木本ひわこ、とある。

    ヒワにミズナギドリ。これはひょっとして。。。
    スズメ目ヒタキ科キビタキ属のムギマキか?(写真はムギマキの雌)

    私の鳥好きを知ってか、友人は熱心に勧めたのかも知れない。ドラマ冒頭の直感通り、作中の役名、組織名はトリで統一されているのである。このドラマが好きで私のブログに辿り付いた人がほとんどであろうから、確認できた全てのトリ関連語を紹介したい。

    まずは唐カラデザイン事務所。カラとはスズメ目の古名で、ヒガラ、コガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラの語源。事務所のデザイナー、マシコヒロキはスズメ目アトリ科のマシコ(猿子ましこ)で、巴沢ともえざわ千春はトモエガモか。

    そして社員旅行先は「ほおじろ荘」。編集者の青葉乙女は、アオバト、アオバズク、オトメインコあたりか。

    続いて団地住民。美山みやま鈴すずはミヤマシトド+スズメ、羽白はじろ司つかさはカモ科のハジロ属。八つ頭仁志はイスラエル国鳥のヤツガシラ。高麗こうらいなつきはコウライウグイス、目白めじろ弓はメジロ、反橋そりはしりくはソリハシセイタカシギ、直球はウズラさん。

    組織名では、セキレイ建設(鶺鴒せきれい)、カケス不動産(懸巣かけす)、みさご銀行(鶚みさご)、あいさ薬局(秋沙あいさ)、ツグミ書店(鶫つぐみ)、スーパーイスカ(鶍いすか)。

    カレーレストラン「Kingfisher」はカワセミ、ファミレス「LARUS」はカモメ、ラーメン屋の壁にはライチョウビールのポスターが。サトコが家で飲むのはハトムギ茶。

    舞台となる初音川団地とその最寄の川里駅、弓が通う川里北高校は、野鳥観察で有名な初音川ビオトープと川里中央公園であろう。

    そして初音はつねは三春さんしゅんの季語。広義ではその年最初の鳥や虫の鳴き声だが、鶯うぐいすの初鳴きを指すことが多い。ボーカロイドの開祖は初音ミク。

    団地周辺を走る「星バス」はホシガラスか。徘徊老人を迎えに来たのは「ケアハウスとまりぎの里」。弓の進学先は天雀ひばり学院大学。

    羽白司は、朝廷の鳥飼部とりかいべ「鳥とりの司つかさ」も掛かっているのかも知れない。ではサトコは何か? 

    確信はないのだが、ロシアの歌劇で映画化もされている『虹の世界のサトコ』ではなかろうか。私はこの映画をVHSのレンタルビデオで見たことがあるが、数十年前の話なので内容はあまり覚えていない。

    サトコは人々を救う幸せの鳥を探す旅に出るが、実際には人々を永遠の眠りにつかせる鳥だと知って、捕まえずに故郷に帰る、そんな話だったと思う。

    まだまだ小ネタが隠れているかも知れないので、気づいた人はどこかで発信して頂ければ有り難い。

    *

    『しあわせは食べて寝て待て』に登場するトリ絡みの役名、組織名、これらがなくても物語は成立する。しかし食べ物における多様なフレーバーのように、試聴者を楽しくさせるのは事実だ。

    そしてかなり昔から用いられている手法なのに、これを表す単語がないのである。

    世の中にはまだまだ、名称が存在しない現象や技法がたくさんある。政府機関や学者が名付けるのを待たず、ないなら言葉自体を自分で作ってしまえ、それが本ブログを始めた目的の一つである。

    まずは、名付けに一定の法則を持たせる手法を「名律」(めいりつ)と名付けよう。次回からこの定義を詳しく解説する。

    今回はここまで。

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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