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【196】 狐七化け 狸八化け 貂の九化け

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    (*写真は食肉目イタチ科テン属テン種ホンドテン亜種)

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    私はそれを讃岐さぬきの国学者、猪熊方主翁の書翰によって知ったのであるが、この人は当時の大阪の市中に、もっぱらその風説を伝えたと謂いっているから、或いは『浮うき世よの有あり様さま』のような書物にも、その聞きき書がきを録しているかもしれない。

    場ば処しょはこの高島からそう離れておらぬ海面での事らしいが、或る夜漁夫たちが舟を乗り出すと、おびただしく沖が光っているので、ハマチすなわち鰤の大群と心得て、網を入れて引き寄せて見たところが、何とそれがみな鼠であった。たちまち四散して野山に入ってしまった。その数は七万ばかりとあるが、正確な計算ではないことは言うまでもない。

    大きさ鼬いたちほどもあり、足の指には水みず掻かきがあったともいうのは、一部は浜の者が打ち殺しもしたからかと思うが、後には貂てんのごとき獣けものが現われて、追々にこれを退治し尽したというのは、もとより実際の見聞とは思われず、はたしてそれからまた二十年足らずのうちに有名なる石見の大鼠害というものが発生したのである。

    『海上の道 鼠の浄土 四』(柳田國男)

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    「狐七化け、狸八化け、貂てんの九化け、やれ恐ろしや」なる言い回しが伊賀地方にある、というネット記事が散見されるが、ネット以外では一度も読んだことも聞いたこともないので真偽は不明である。

    しかしながら、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にも鼬てんとして描かれているので、化ける回数はさておき、妖怪扱いされていたのは間違いなさそうだ。

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    画図百鬼夜行(鳥山石燕) 鼬(てん)

    日本では、狸、狢むじな、狐、管くだ狐ぎつね、鼬いたちと同じく、貂てんも妖怪扱いであった。

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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