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【227】 村のかじやさん

    【このブログの目次はこちら】

    (写真はきつね蕎麦)

    *

    村むらのかじやさんは、はたらき者もので、いつも夜よるおそくまで、テンカン、テンカンと、かなづちをならしていました。

    ある夜よ、きつねが、あちらの森もりで、コンコンとなきました。

    かじやさんは、

    「お正しょう月がつの休やすみに、きつねをとってやろう。」

    と、思おもいました。

    かじやさんは、自分じぶんの手てで、ばねじかけのおとしを作つくりました。

    はたらき者もののかじやさんも、お正しょう月がつには仕し事ごとを休やすみました。

    雪ゆきがちらちら降ふっています。かじやさんは、うらのはたけへおとしをかけました。

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    おとし(鳥獣の罠)

    晩ばんになると、きつねが、あぶらげのにおいをかぎつけてやってきました。

    「お母かあさん、こんなところに、どうしておいしいものが、おちているのでしょう。」

    と、子こぎつねがふしぎがりました。

    「まあ、あぶないことだ。これは、おとしというものです。さあ、早はやく、こちらへおいで。」

    と、母ははぎつねは、子こぎつねをつれてゆきました。

    「お母かあさん、だれが、あんなことをしたの?」

    と、子こぎつねがききました。

    「だれがするものか、あのかじやさんだよ。」

    「はたらき者ものだけれど、わるい人ひとね。」

    「なに、私わたしたちをそんなばかだと思おもっているのでしょう。」

    と、母ははぎつねが笑わらいました。

    かじやさんは町まちへご年ねん始しにいきました。お酒さけをたくさんいただきまして、いい気き持もちで村むらへかえってきました。途と中ちゅうで日ひがくれてしまいました。

    けれど、かじやさんは「あ、こりゃ、こりゃ。」と、うたをうたいながら、上じょうきげんでありました。このとき、赤あかいちょうちんをつけて、二人ふたりの子供こどもがきかかりました。

    「おじさん、お酒さけによって、よく歩あるけないのでしょう。お家うちへつれていってあげましょう。」

    と、二人ふたりは手てをひいてくれました。

    「おお、勇坊ゆうぼうと、みっちゃんか、あしたあそびにきな。みかんをやるから。」

    かじやさんは、いいきげんでした。

    「おじさん、もう、ここはお家うちよ。おすわりなさい。」

    かじやさんは、いい気持きもちで、ぐうぐう、ねてしまいました。

    鳥とりがないて目めをさますと、かじやさんは、お寺てらのかねつきどうにすわっておりました。

    『村むらのかじやさん』(小川未明)

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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