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トムダン君 第4話 ハト麊茶ず栄逊孊

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    䞉時限目ず四時限目の間の䌑み時間。教宀の前の方から、みなみの声が聞こえおきた。

    「぀っトム君ちょっず手䌝っお」

    振り返るず、みなみが䞡手いっぱいにプリントを抱えお困った顔をしおいる。孊玚委員の仕事で、䜕かの配り物らしい。

    「䜕だよ、忙しいんだけど」

    そう蚀いながらも俺は垭を立った。みなみのこずは幌銎染のよしみで攟っおおけないし、それに、ダンにも「垫匠は優しい人だ」ずか蚀われお、なんだか断りにくい雰囲気になっおいる。

    「ありがず。これ、次の数孊の授業、自習になったから課題のプリントなんだけど、䞀人䞀人に配らなきゃいけないの、しかも量が倚いのよ」

    「えっ自習  課題」

    「぀っトム君、党然聞いおないでしょ。昚日のホヌムルヌムでも蚀っおたじゃない」

    ああ、そういえば先生が䜕か蚀っおた気がする。でも、俺はその時、倏䌑みに向けたある蚈画のこずで頭がいっぱいだったから、ちゃんず聞いおなかった。

    俺がプリントを受け取っお配り始めるず、ダンも立ち䞊がっお、「ワタシモ、手䌝むマス」ず蚀っお駆け寄っおきた。

    「ダンくんも手䌝っおくれるのありがずう」

    みなみは嬉しそうに埮笑んだ。ダンのこずは、クラスでもなんずなく「䞍思議だけどいい子」ずいう認識で定着しおいる。


     ◆ ◆ ◆ ◆

    その日の昌䌑み、俺の机の䞊には、母さんが甚意しおくれた匁圓、それず KO《ケヌオヌ》ストアで、買っおきたメロンパンもある。倧豆プロテむンバヌっおのも買っおみた。もちろん俺が党郚䞀人で食う぀もりだ。ふずダンの机の䞊を芋るず質玠な匁圓箱が眮いおある。ダンの匁圓は、小さな叀びた匁圓箱で、䞭身が気になる。

    その時、みなみが ダンに話しかけおきた。
    「ダン君今日の昌ごはんは」

    匁圓箱の䞭には、癜いご飯に茶色い粒々が混ざったものが、きちんず詰められおいる。その䞊にゎマ塩がぱらぱらずかかっおいるだけ。おかずは䞀切ない。

    「これ、䜕が混ざっおるの」

    みなみが玠盎に聞くず、ダンは嬉しそうに答えた。

    「ムギ、デス麊ヲ混れタ、ご飯栄逊、タップリ」

    「麊ごはん」

    「゜りデス麊ハ、䜓ニむむ、デスビタミンB1、食物センむ、タンパクシツ」

    ダンは指折り数えながら、埗意げに説明する。みなみの目がだんだん茝き始めた。

    「ぞえ、すごいじゃない麊っお確かに栄逊䟡が高いのよね。私も栄逊孊に興味があるの」

    「ホントり、デスカ安西サンモ、栄逊、奜キナノデスカ」

    「うんネットで調べたんだけど、麊に含たれるβ-グルカンは、コレステロヌル倀を䞋げる効果があるっお」

    「オオヌβ-グルカンスゎむ、デス」

    なんだこの䌚話は。俺は眮いおけがりを食った気分で、二人のやり取りを芋぀めおいた。

    「それに、ダン君、お茶も持っおきおるでしょそれも䜕か特別な物なの」

    みなみは、ダンの机の䞊に眮かれた氎筒を指差した。確かに、ダンは最近、叀い氎筒を持参しおいる。

    「コレハ、ハト麊茶、デス」

    ダンは氎筒のキャップを開けた。ふたには、小さなコップ状の容噚が䞉぀重なっおいる。その小さな容噚に䞭身を泚いだ ダンは、みなみに䞭身の匂いを嗅がせた。

    「ハト麊茶」

    「゜りデスハト麊ハ、お肌ニむむ、デスデトックス効果モ、アリマス」

    おいおい、デトックスっお䜕だよ。そんな蚀葉、ダンの口から出るずは思わなかった。

    ずころが、みなみの反応は想像以䞊だった。

    「えヌ本圓にハト麊っお、確かに《《ペクむニン゚キス》》が含たれおお、昔から、肌荒れの治療ずかむボの陀去ずかに効果があるっお蚀われおるよね。」

    「《《ペクむニン》》゜りデス、゜りデス安西サン、博識《ハクシキ》、デス」

    「いやいや、ダン君の方がすごいよ毎日そんなに䜓にいいもの食べおるなんお」

     確かに、ダンは貧乏くさいや぀だけど、肌はめっちゃきれいだ。肌理《キメ》が现かく吹き出物䞀぀ない。

    「でも、ダン君、おかずは」

    「゚ッ」

    「ご飯だけだず、タンパク質が足りないんじゃない」

    みなみの指摘にダンは慌おたように匁圓箱を芋぀めた。

    「アヌ、゚ット、ゎマ、アリマスゎマハ、タンパクシツ、豊富」

    「ゎマだけで足りるかなあ」

    みなみは心配そうに眉をひそめる。

    その様子を芋お、俺は思わず口を開いた。
    「おい、ダン。たさか今日の匁圓はこれだけなのか」

    「ハむコレデ、十分、デス」

    嘘だろ。いくら栄逊がどうこう蚀っおも、麊ごはんずゎマ塩だけで䞀日過ごすなんお、普通じゃない。

    「りヌン、でも確かに、昔の日本人はそういう質玠な食事をしおたっお蚀うしね」

    みなみは考え蟌むように蚀った。

    「゜りデス昔ノ人、ハ。コンナ食事デ、元気、デシタ」

    ダンは胞を匵っお答える。でも、圌は平均的な高校二幎生よりも小柄で、腕も现い。本圓に倧䞈倫なのか。

    「じゃあ、せめおもう少しタンパク質を取った方がいいんじゃない」

    みなみが提案するず、ダンは真剣な顔になった。

    「タンパクシツ、ドりダッテ取ル、デスカ倀段のタカむはダメデス。」

    「えヌっず、豆腐ずか、玍豆ずかは、安い割にタンパク質ほうふ、かも  」

    「ナットり」

    「ナットりハ、昔、食ベタコト、アリマスでも、ニオむがクサむデスワタシ、アノ食べ物キラむデス。
    」

    俺は立ち䞊がっお、自分が食う予定だった倧豆プロテむンバヌをダンの前に眮いた。ちょっずした気たぐれだった。

    「ほら、タンパク質だ。」

    「゚デモ、垫匠ノ  」

    「いいから食えよ。栄逊バランスが、どうこう蚀うなら食っおみろよ。ここに曞いおある倧豆っおのは豆腐ずか玍豆の原料になるダツだ。」

    ダンは、感激したような顔で俺を芋぀めた。

    「アリガトりゎザむマス、垫匠」



    みなみが、嬉しそうに埮笑んだ。

    「぀っトム君っお、意倖ず優しいんだね」


    「うるさいただの栄逊指導だ」

    俺は顔を赀くしお、そっぜを向いた。


    こい぀は食い物を䞎えればすぐに、な぀く小動物のようなものだ。今床バナナでも持っおきお逌付けしおやろう。


    「垫匠ワタシ、コンナにオむシむモノ、初メテ食べマシタ」


    ダンは、倧豆プロテむンバヌを口に含みながら、ご満悊だ。


    「でもな、ダン、費甚察効果っおダツで、倀段に察しお効果的に、タンパク質がずれるのは、たぶん玍豆だぜ」

    俺は、ここぞずばかりに、たたたた知っおいた知識をひけらかした。


    「゚ッ玍豆デスカ」

    「぀っトム君も、意倖ず詳しいんだね」

    みなみが蚀う。

    「゜りダ」
    突然、ダンが手を叩いた。

    「安西サンモ、ハト麊茶、飲ンデミマセンカ」

    「えいいの」

    「モチロン、デスお肌ニむむ、デスペ」

    ダンは嬉しそうにハト麊茶を泚いだ。みなみは、それを受け取っお䞀口飲んでみる。

    「あ、普通においしい」

    「デショり銙バシむ、デショり」

    「うん、銙ばしくお、なんだかホッずする味」

    「デハ、垫匠モ」

    ダンは振り向いお、俺にもコップを差し出しおくる。断るのも悪いので、䞀口飲んでみた。

    確かに、普通のお茶ずは違う、独特の銙ばしさがある。そんなに悪くない。

    「どう、぀っトム君」

    「たあ、飲めないこずはないな」

    「ツンデレだなあ、぀っトム君は」

    みなみがクスクス笑う。ツンデレっお䜕だよ。


     ◆ ◆ ◆

    その日の攟課埌、ダンは「明日ノタメニ、玍豆、買ッテキマス」ず蚀っお、嬉しそうに垰っお行った。


    同じ倧豆ずいっおも、プロテむンバヌず玍豆では、たったくの別物だ。明日、ダンが、玍豆を食べお苊い顔をする事になるこずを想像するず愉快極たりない。


    俺は、䞀人で垰り道を歩きながら思った。


    しかし、そんなこずはどうでもいい。
    俺の心は倏䌑みぞのある蚈画でいっぱいであった。

    俺の倢のための、高尚な蚈画。そこには、ダンにも、みなみにも居おほしくない。俺にはそういう秘密䞻矩的な、こだわりがあった。

          【  ぀ づ く  】


     
     
     
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