
【創作大賞感想文】10センチの中に詰めた情熱はいつまでも冷めない
小麦粉舐め太郎さんの「10センチの弁当箱で、自分を回収している」を読んだので感想を書いていきます。
とてつもなく精緻な文章が魅力です。
普段のお仕事では図面をミリ単位で切り詰めるような精細なお仕事をされているからか、緻密に組み立てられた文章には隙や無駄がないですし、3000文字以上のボリュームにも関わらずスラスラと読めました。
会社員としての立場上、思うようにいかないことや自分の裁量で決められることは限られている。
そういった息苦しい生活の中に、10センチの弁当箱の中に込める思いが際立っており、
とても印象的でした。
全体的に、小麦粉舐め太郎さんのものづくりに対する真摯な姿勢と情熱が強く感じられます。
仕事はもちろんのこと、お弁当を作ることにも全力で取り組んでいらっしゃることが伝わって来ます。
お弁当を作ることで自分を整え、それを食べることで仕事中何層ものフィルターをくぐらされて浄水のようになった思想を、自分らしいものに取り戻す重要な役割を担っているように思えます。
その姿に、自分も負けないように頑張ろうと思えるエールを受け取りました。
私は料理を仕事にしていますので、お弁当を作っている姿が特に共感出来ました。
料理の味付けや盛り付けに正解はありません。
切り方、ひとつまみ程度の匙加減、加熱時間、温度、湿度、盛り付ける器などによってブレが生じるので、いつもと同じ物を作るのはかえって難しい。
しかし、その余白すら楽しめるのが料理の醍醐味であり、懐の深さだと思います。
その中でも、これだっと思う時に頭の中で噛み合う感覚がやはりやりがいを感じますね。
小麦粉舐め太郎さんに残っている自由は、
思っているよりずいぶん小さいかもしれない。
しかし、10センチという弁当箱には無数の選択肢があり、いくつもの可能性を感じました。
それは日々投稿される記事にも同じ事が言えます。
次のお弁当にはどんな料理と気持ちを込めるのか、そしてそれをどのように記事にされるか次回も気になるエッセイでした。