
湯河原の旅
ある雨の朝、神奈川・湯河原町の宿で目を覚ました―――

前の日、横浜で仕事を片付けた後、湯河原に足を向けた。
翌日(つまり当日)も出勤日だったが、家のある方には行きたくなかった。
帰れば結局、同じ日々の繰り返しだ。
そのルーティンから脱却するために、反対方向へ赴いた。
湯河原には16時ごろに到着した。
横浜からは電車(JR東海道線熱海行き)で湯河原まで向かったが、道中車窓から、一面に広がる青々とした海景色が頻繁に目に映り、湯河原に着いたら、まずは海を見に行こうという考えが強くなった。
(湯河原)駅に着くと、うぐいすの鳴き声が筆者を迎え入れてくれた。


駅から向かって左へ歩を進める。
直感でそっちに海があると思ったのだ。
別の投稿で書く方がよかったかもしれないが、
海を見に行く前に、再整備を検討していると聞いて気になっていた、町役場にも立ち寄った。

同町は再整備に向け、某社に委託して、2025年度から「新庁舎整備基本構想」の策定を進めている。
基本構想の段階なので、まずは本当に新庁舎を整備する必要があるのかどうかを検討し、建て替えやリノベーションといった整備へ、一歩ずつ具体化していくといった流れだ。
現庁舎を見てみたが、まるで「船」みたいな形の施設で、興味深かった。
もしもこの庁舎を建て替えるなら、今の施設の形を継承しつつ、整備してほしいなと、部外の立場から意見を挟むことを許していただきたい。
町役場を離れて、いざ海岸へ。
時間も時間のため、地元の学校から帰る中学生らしき子どもたちの姿を横目に、
本当にこの道で合っているのかと疑いつつ、感覚に従って歩いて行くと、
果たして海岸にたどり着いた。

先ほど目にした生徒らが通っているであろう中学校がその近くに立っていた。
海岸沿いの学校とは、非常に環境に恵まれた学校だ。
夏は気持ちよく勉強ができそうだ。

海景色を目に焼き付けた後、海岸通りを端まで行って、町中へ戻ることにした。
すると、海へとつながる川が見えてきた。
この川は「千歳川」と呼び、

その場で調べて分かったことだが、湯河原町と静岡県熱海市との境界線である。
いま筆者は、二大温泉街のど真ん中にいるのだという事実に感情が昂ぶらずにはいかなかった。
時刻は17時半。
実は筆者は、この時まで泊まろうとは思っていなかった。
単純に家に帰るのが嫌だったので、湯河原まで足を伸ばして、特別感にちょっとでも浸ってから、どこかで一杯ひっかけて帰るつもりだった。
しかし、この湯河原という街の雰囲気に浸かり込んでいくと、1日だけでは抜け出せない。
近々、筆者は誕生日を迎えることもあり、自分への盛大なプレゼントとして、湯河原で湯泊してやろうという気分になった。
旅行の予約サイトで、素泊まりプランを探し、ちょっといい温泉付きのホテルに泊まった。
平日だったこともあり、温泉は貸し切り状態だった。
こんないいホテルの温泉が貸し切り状態なことに、まさか本当に貸し切り専用のところに入ったんじゃないかとビビりつつも、温泉を満喫。
食事のプランは付けなかったので、近くのコンビニで買い備えておいた飯をつまみにビールを堪能した。
そして、当日に至る。
当然、仕事はやらないといけないので、
ホテルを出たあと、近くの喫茶で一仕事。
あいにくの雨で、思うように動けなかったものの、湯河原をもう少し探索した。
現実逃避的な行動に出てしまった筆者だが、「人生は旅」だ。
行ける場所には行っておいて、自分の記憶に刻み込みたい。
と、ここで終わってたのなら平和だった。
話は飯をつまみにビールを飲んでいた頃まで戻るが、酒に酔った状態で、その場を立とうとしたら、足の裏で何かを踏んだような気がした。
しかもバキッと何かが割れたような音。
足下を見れば、レンズの外れたメガネが転がっていた。
幸せな気分が一気に沈んだ。
今後、この2日間を思い出すとき、いつも壊したメガネのことを一緒に思い出さなければいけない。
無念である。