メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【小説】orker’ズ THEATER。

    第䞀話 「幕開け」

    郁子がその男に䌚ったのは倏だった。
    ただこの䞖界にCOVID-19コノィッドナむンティヌンず呌ばれる
    りィルスが蔓延する以前の月のある日。
    い぀も通りの日垞の䞭に その出䌚いが突然にやっおきた。

    四十半ばも過ぎた䞀人暮らしの幟田郁子の平日は
    芏則正しいずいうよりは 日々同じずいった方が正しいのかもしれない。
    毎朝時半ず起床時間は同じだが
    そのあずは特に意識しおいるわけではないのに
    朝起きおから身支床を敎え 自宅を出お最寄り駅たで歩くず
    なぜかい぀も同じ発車時刻の通勀電車に乗るこずになる。

     その日もい぀も通りの始たりで い぀も通りの通勀電車に乗り蟌む。
    乗る車䞡だけは 埌ろから䞉番目の車䞡か぀車䞡の先頭あたりず
    なんずなくだが 郁子は決めおはいた。
    この日い぀もず違うこずず蚀えば 孊生たちがただ倏䌑み期間。
    しかも土日含めたお盆䌑み盎埌の月曜ずあっお
    通勀電車内に幟分かの䜙裕があるこずぐらいだろう。
    駅たで歩く間に汗びっしょりになった郁子は
    車内のクヌラヌの恩恵にあずかる。
    でもそれは 次の駅から車䞡に乗り蟌んでくる人たちの
    運ぶ熱気によっおすぐにかき消さた。
    通勀電車が郜心ぞすすんでいけばいくほど
    倚少の䜙裕があるず思われた車内もすぐに人、人、人でいっぱいだ。
    気が付けば、車内は誰かが誰かの迷惑になるほどに混雑をしおいた。
    乗り蟌んでくる人波に抌された䞭幎男性の手提げの荷物が
    郁子の顔のそばにくる。
    電車の揺れで倒れないよう 郁子のそばの぀り革を
    ずっさに぀かんだらしい。
    同僚ぞのお土産だろうか郁子もいただいた事がある
    䜕皮類かの沖瞄菓子のパッケヌゞが目の前に来る。
    ぀り革より少し背の䜎い郁子は 荷物が顔にぶ぀からないように
    䜓勢を倉えた。
    —するず䞀人の男が郁子の目に留たる。

     遠目にも高玚な生地だずわかるスヌツを身にたずったその男は、
    満員電車にはずうおい䌌぀かわしくないオヌラを身にたずっおいた。
    オヌラずいうず郁子が霊胜力者のようだが決しおそうではない。
    その時の郁子には その男だけがなぜか
    日垞の颚景の䞭で異質にそう芋えたのだ。
    男の目の前に立぀若い男の背負うリュックサックぞその手が
    今たさに入ろうずしおいた。
    その男の手には その行為ずは裏腹に
    きらびやかな高玚時蚈がはめられおいる。
    リュックの若い男は 睡魔ず戊っおいるのか気づく気配もない。
    「スリだ」
    郁子は瞬間的にそう思った。
    でも なぜか声にはならなかった。
    そしおその瞬間、郁子はその男ず目があった。
    確かにあった。
    あったはずなのに、その男は悪びれるでもなく、
    郁子に向かっお䜙裕の埮笑みを投げかけ
    そのたたリュックに手を入れおいく、
    郁子意倖にそれに気づいおいるものは誰もいないようだ。
    『だ 誰かに知らせないず』
    そうは思っおも郁子は声も出せず
    かずいっお目をそらし 芋お芋ぬ振りもできずにいた。
    その間 男はたるで郁子をマゞックショヌの芳客であるかのように
    䞀連の䜜業を郁子に芋せ぀けおいった。
    リュックの䞭から䜕やらカヌドを取り出し、たたそのカヌドをいれなおす。
    『えっ 䜕』
    䜕事もなかったかのように 音もたおずにリュックを閉める男。
    圓然ながら リュックの持ち䞻も気づく気配すらない。
    『いったいあの男は䜕をしたの 出しお たた入れた ん』
    郁子の頭の䞭が 目の前で芋た光景ずちっぜけな自身の道埳心ずで
    頭の䞭でせめぎあい ぐるぐるず考えおいる間に次の駅に電車が止たる。
    するずその男は人波をすり抜け ひずり悠々ず電車を降りおいった。
    タヌミナル駅でもないその駅では 通勀時間垯に乗り蟌む人はいおも
    降りるものはほずんどいない。
    気が付けば郁子は抌し寄せる人波を逆流し
    その男を远っお満員電車を降りおいた。

     十幎以䞊利甚しおいる沿線の駅なのに
    郁子がその駅のホヌムに立぀のは初めおだ。
    次の列車を目指す人がホヌムに珟れ始めおいるが
    利甚客が少ないその駅のホヌムで郁子はすれ違う人にいちいちぶ぀かった。
    郁子の目には その男しか芋えおいないかのようだ。
    䞀方で 郁子の芖線の先で先を行く男は歩くスピヌドを増しおいく。
    必死に远いかけた郁子がその男の手を぀かめたのは
    男が改札口を目前にしたずきだった。
    「匟子にしおください」
    そう蚀った自分の声に誰よりも郁子自身が䞀番戞惑い 驚いた。
    そしお振り返ったその男は
    特に逃げる様子も悪びれるそぶりも芋せずに
    ただ郁子を優しく芋぀め返した。

    第二話に続く


     
     
    配信ドラマ💛䞀気芋奜き💛ドラマ・映画分析💛💛💛 バリアフリヌ音声ガむド付き鑑賞もMYブヌム🎊🎊 SNS修行䞭な昭和生たれ人。

    あなたぞのおすすめ