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日本人の物語00896【建武期】瓜生保の変心

     新田義貞が金ヶ崎城に入った頃、足利方の越前守護・斯波高経の配下に瓜生保がいました。
     瓜生保は、義鑑房をはじめとする弟たち3人が新田軍の味方をしていることを知り、
    「弟たちが敵方についたことが露見すると、私も処刑されてしまう」
    と思い、やはり弟と行動を共にして後醍醐方につこうと思い立ちました。再びの裏切りです。
     瓜生保はさらに、斯波軍の中で志を同じくする者がいないか、探りを入れ始めます。
     たまたま仲間の宇都宮泰藤(うつのみややすふじ)・天野政貞(あまのまささだ)と世間話をしていて、家紋の話になった際に、下座にいた名もなき武士が、
    「二つ引き両(足利家の家紋)と大中黒(新田家の家紋)と、どちらがすぐれた家紋でしょうか」
    と尋ねました。これに対して宇都宮泰藤が、
    「吉凶で言えば、大中黒ほどめでたいものはないだろう。なぜなら、三鱗形の家紋を使っておられた北条家が滅び、二つ引き両の足利家の時代となった。そうなると、次に出てくるのは一つ引きの大中黒ではないか」
    と述べ、さらに天野政貞が、
    「そのとおりだ。古代の『易経』という本では、一の文字は『敵なし』と呼ばれ天下を治めるといわれてきた。いつかこの紋が全国を治めることだろう」
    などと言い始めました。
     これを聞いた瓜生保は、
    「さては宇都宮・天野両者も新田方につくつもりがあるのだな」
    と悟り、何度も酒をついだり茶を勧めたりして、親しくなった後で新田方に寝返ることを持ちかけ、見事これを仲間に引き込むことに成功しました。
     瓜生らは斯波軍を抜け出して、脇屋義治が立て籠もる杣山城に駆け付けようとしましたが、高師泰らが出入口を厳しく検問していて抜け出すのは困難でした。瓜生は師泰に、
    「仲間の軍に大豆を差し入れしたい」
    と嘘の理由を申告することで検問を通過し、杣山城の脇屋義治軍に合流しました。
     瓜生らの裏切りを知った高師泰は悔しがりながら、
    「後になればなるほど新田軍は数を増やしてしまうだろう。まずは杣山城を落とし、それから金ヶ崎城を攻めよう」
    といって6千騎を杣山城へ差し向けることとしました。

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    ただの歴史好き。完結できるかどうか分からない連載を書き続けてる人。連載を始めて5年目。やっと16世紀に入ったところです。先は長いですが優しく見守って下さい。 これから歴史を動かすような大仕事をして、この連載の令和時代の記述にさりげなく自分を実名で登場させるという夢を持っています。

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