
「レート」の基準|資金繰りが苦しいなら、まず1桁下げなさい
はじめに
この連載では、異なる「12の切り口」から、資金繰りで迷ったときに立ち返る「判断の軸」についてお伝えしています。
第4回目のテーマは、「レート」の基準です。
ただし、ここで言う「レート」とは、為替レートや利率のことではありません。
経営者が日常の現場で何かを瞬時に判断するとき、無意識に使っている「金銭的な基準」のことです。
私は長年、数多くの経営相談を受ける中で、資金繰りが苦しい会社ほど、この「レート」が、実際の「相談者の実情」と大きくかけ離れていることに気づきました。
そして、「この基準を見直しただけ」で、「お金の流れが改善したケース」も少なくないと分かってきたのです。
あなたの「レート」は何円ですか?
突然ですが、質問です。
あなたはコンビニで980円の買い物をしたとき、頭の中ではいくら使ったと思っていますか?
「約1,000円」
そう考える方が多いでしょう。
では、420円はどうでしょう。
「400円くらい」あるいは「500円くらい」
このように、人は無意識のうちに金額を丸めて考えています。
つまり、一人ひとりに「自分なりの金銭感覚」があるのです。
J-SCAでは、この最小単位を「レート」と呼んでいます。
「レート」より小さいお金は、頭の中から消える
例えば、1,000円単位で考える人は、100円や200円の違いをほとんど意識しません。
コンビニ。
自動販売機。
ATM手数料。
駐車料金。
こうした支出は、その場では支払っていても、頭の中では「ほぼゼロ」として処理されてしまいます。
反対に、受け取るお金も同じです。
9,680円なら、「約1万円」。
10,350円でも、「約1万円」。
細かな違いは認識されません。
しかし現実のお金は、決して消えてはいませんし、確実に「そこに存在」しています。
ただ、自分の「認識から消えた」だけなのです。
この「認識と現実のズレ」が積み重なることで、資金繰りは少しずつ狂い始めます。
「約〇百円」の積み重ねが、手元の「お金」を消していく
資金繰りが苦しい会社ほど、
・ 「だいたい」
・ 「そのくらい」
・ 「約〇千円」や「ざっくり〇万円程度」
という言葉が増えます。
もちろん、現場では細かい計算ばかりしていられません。
だから、ある程度ざっくり判断すること自体は悪いことではありません。
問題は、その「ざっくり」の基準が大きすぎることです。
・ 毎日数百円を見落とし
・ 毎週数千円を見落とし
・ 結果として毎月数万円を見落とす
その結果、「なぜか現金が残らない」という状態になります。
これは「資金繰りの問題」というより、人の「認識の問題」なのです。
自分の「最適レート」は、どう決めればよいのか?
ここまで、「レートが大きすぎると、お金が見えなくなる」という話をしてきました。
では逆に、どこまで細かく見れば良いのでしょうか。
1円単位でしょうか。
10円単位でしょうか。
100円単位でしょうか。
実は、資金繰りを根本から改善するために最も重要なのは、単に「細かく見ること」なのではありません。
「今の会社の状態に合わせて、自分のレートを意図的に上げ下げし、自分に最適なレートを見つける技術」を身につけることなのです。
ここから先は、資金繰りの危機を脱出し、確実にお金が残る経営体質に変わるために必要な「レートの決め方」と「状況ごとの使い分け」など、私が実際に相談先で使っている「具体的なレートの操り方」についてお伝えします。
内容は、
本来あるべき「レート」の考え方
なぜ「細かく管理するだけ」では経営が行き詰るのか?
私の実例:日常生活・経営判断・事業計画などで使い分ける「4つの具体的なレート基準」
状況別で見る、J-SCA推奨「レートのコントロール法」
失脚したIT長者たちの共通点と、明暗を分けた「視点」の正体
です。
「なぜか現金が残らない」という不条理から抜け出し、数字を完全にコントロールするための具体的なステップを、事例を交えて解説していきます。