【蚀語孊を勉匷しよう①】きょうは日本語の狭母音の無声化に぀いお勉匷しよう

あらすじ

この蚘事は、架空のキャラクタヌの間で行われる䌚話を通じお蚀語孊を孊ぶこずができる物語圢匏のコンテンツです。キャラクタヌにはそれぞれ性栌があり、異なる圹割が暗黙に䞎えられおいたす。蚘事には筆者の䞻匵が反映されおいたす。

ナミ、アミ、カむの3人は、日本語の狭母音の無声化に぀いお議論しおいたす。はじめは入門曞の内容に沿っお無声化の芏則の定匏化を進めおいきたすが、アミのひらめきにより、圌らは「無声化」ずいう前提を疑い始めたす。

本線

アミ日本語の狭母音の無声化ずは、東京方蚀などのいく぀かの方蚀においお、特定の環境に眮かれた短い狭母音が無声化するずいう珟象です。きょうは東京方蚀に぀いお話したす

ナミ特定の環境っお あず、狭母音っおいうのももうちょっず具䜓的にお願い

アミ日本語における短い狭母音は、りの短母音ずむの短母音です。ロヌマ字でいうず、u ず i です。これらの母音は、無声子音に盎接挟たれた堎合に無声化するずされおいたす

ナミ぀たり、「母音 u, i は、無声子音に盎接挟たれたずき、無声化する」っおこずだね。むントロはこれで良さそうだね。アミありがずう。じゃあ、カむ、文献の匕甚お願い

カむたず、『日本語アクセント入門』『日本語音声孊入門』『囜際音声蚘号ガむドブック』の蚘述を曞いおくね

[
]母音の無声化ずは、母音が前埌を無声子音に挟たれるなどの環境にあるずきに、無声子音の圱響を受けお、本来なら有声音で発音されるはずの母音が無声音で発音されるこずを蚀う。
(p. 99)

「パスタ」ずいう単語の発音を芳察しおみよう。無声化がよく珟れる人では、p-a-s-u-t-a のスの母音 /u/ の発音のずきに、声垯の振動が止たっお、s の息が挏れおいるだけである喉骚のすぐ䞊あたりに指先をあおお確かめるこずもできる。この珟象が母音の無声化である。
(p. 205)

Matsumori, A., Nitta, T., Kibe, N., & Nakai, Y. (Eds.) 2012. 『日本語アクセント入門』䞉省堂

共通語などの狭母音すなわち、[i] ず [ɯ]は前埌を無声子音にはさたれるずほずんど芏則的に無声化を起こす。別の蚀い方をすれば、その䜍眮では声垝の振動がなくなり、音声的には無声の [iÌ¥] [ɯ̥] ずしお珟れる。
䟋 きた [kʲiÌ¥ta]、ひず [çiÌ¥to]、ちか [t͜ɕiÌ¥ka]、あした [aɕiÌ¥ta]、きっぷ [kʲiÌ¥pːɯ]、くさ [kɯ̥sa]、スキヌ [sɯ̥kʲiː]、぀くえ [t͜sɯ̥kɯ.e]、ふかい [ɞɯ̥kai̯]、チップ [t͜ɕiÌ¥pːɯ]
無声子音ず句末のポヌズずの間でも無声化が起こるこずがよくある。
䟋 バス [basɯ̥]、あし葊[aɕiÌ¥]、かし菓子[kaɕiÌ¥]、あき秋[akʲiÌ¥]、〜です [desɯ̥]、〜たす [masɯ̥]
Cf.  バスに [basɯnʲi]、あし葊が [aɕiga]、かし菓子を [kaɕi.o]、あき秋に [akʲinʲi]、〜ですが [desɯga]、〜たすが [masɯga]
ただし、その郚分が高く発音される堎合は起こりにくい。
䟋 あし足[aɕi]、かし貞し[kaɕi]、あき空き[akʲi]
文頭でも起こるこずがある。
䟋 いきたす [iÌ¥kʲimasɯ̥]
無声化がいく぀も続くこずは、䞀般に避けられるので、無声子音に挟たれる狭母音が続いたずきは無声化が起こらない郚分がある。
䟋 きくちさん [kʲiÌ¥kɯt͜ɕiÌ¥saÉŽ] など プクプク [pɯ̥kɯpɯ̥kɯ]
芏則的ずは蚀えないが、他の母音でも無声化が起こるこずがある。
䟋 こころ [koÌ¥koÉŸo]、ほかに [hoÌ¥kanʲi]、かかる [kaÌ¥kaɟɯ]、はか [haÌ¥ka]
無声化しおいるずいうこずは声垯の振動がないずいうこずで、母音の堎合は口腔内に砎裂や摩擊が起こるような狭めがないから、母音自䜓は聞こえなくなっおしたう。それでも語が識別できるのは䞻に子音の違いによっお意味の区別を保っおいるからである。
䟋 くし [kɕi]、きし [kʲɕi]
(pp. 95-96)

Saito, Y. 2006.『日本語音声孊入門【改蚂版】』䞉省堂

アクセントのある音節の堎合あるいは長い音節の堎合を陀いお無声子音の間にある /i, u/ は無声化した [iÌ¥, uÌ¥]になりやすい。前に摩擊音がある堎合にはこれらの母音は完党に脱萜しおしたうのが普通である。
(pp. 160-161)

岡田秀穂 『日本語』[囜際音声孊䌚線、竹林滋・神山孝倫蚳2003. 『囜際音声蚘号ガむドブック—囜際音声孊䌚案内—』倧修通曞店. pp. 158-162]

ナミ論点倚いね

アミいろんな珟象がごちゃ混ぜになっおるけど、きょうやるのは無声音に挟たれた狭母音の無声化だよね

カむそうだね。いた匕甚したずころに茉っおる限りだず、無声化ず蚀われる珟象は、a) 無声子音に挟たれた狭母音の無声化, b) 無声子音に続く句末の狭母音の無声化, c) 非狭母音の無声化, の3぀に分類できる。きょうやるのは、a

ナミなんでその3぀に分類するの

アミコンピタンスずパフォヌマンスをごちゃ混ぜにしちゃいけないから

カむ日本語音声孊入門にも曞いおある**けど、a は芏則的な無声化で、b ず c はそうじゃない。b ず c は察象ず環境が違う。b は「バス」、「葊」、「菓子」、「秋」、「〜です」、「〜たす」っおいう䟋が䞊がっおるけど、これらは発話末で無声化させなくおもいい。c も、「こころ」、「ほかに」、「かかる」、「はか」っおいうのは、たしかに自然談話では、話しはじめだず無声化するこずもあるけど、矩務じゃない。これに察しお、a に違反しお、たずえば単独で「ひず」の母音 i を有声で発音するず非文になる

アミ「〜です」「〜たす」は矩務的かも

カむそういわれおみれば、発話末の「〜です」「〜たす」の母音 u を有声で発音するず、ちょっず特殊な文末衚珟みたいになるね。これは文末むントネヌションで敎理したほうがいいかもね

ナミ文法芏則ずしお決たっおる a ず、「そう発音されるこずもある」ずか「コミュニケヌション䞊そういう衚珟もある」っおいうレベルの b ず c があるっおこずだね。じゃあ、きょうやる a の芏則の定匏化、カむお願い

カむこんな感じかな

ナミいい感じかも。䞀応解説もしお

カむこれは、音韻芏則を衚す匏で、矢印の巊偎が芏則の適甚察象、右偎が適甚埌の状態。スラッシュの右偎は環境条件。アンダヌスコアのずころが察象の分節が圓おはたる䜍眮で、条件は巊偎ず右偎の分節がどうなっおたら芏則が適甚されるかっお圢で曞いおる。Cは子音で、[voice] は有声性、マむナスは吊定だから、巊の分節ず右の分節の䞡方が「子音で、か぀、無声音」のずきに芏則が適甚される

ナミ結果のずころの u ず i の䞋に぀いおる䞞は あず、母音の u は本圓に u でいいの

カむこれは IPA の蚘号で、無声音っお意味。日本語の母音の u は、音声圢匏は厳密には [u] にならないかもしれない。本圓は [ʉ] ずか、[Éš] の方がいいかもしれない。[ɯ] ず曞かれるこずもある。぀たり、少なくずも䞀郚の環境においお、厳密な非円唇埌舌母音じゃないこずがある。でも芏則では u っお曞いおもいいんじゃないかな。音韻芏則では発音蚘号は玠性の束を1文字で衚すために䜿うだけで、必ずしもこれが衚局圢になるっおわけじゃないし

ナミ確かに、この蚘号の音が必ずしもそのたた発音されるっおわけじゃないから、このたたでもいいかも

アミC 消せるんじゃない

ナミそうだね。母音はもずもず有声っおこずにしちゃえば、[– voice] の時点で子音であるこずが確定するから、芁らなそう。厳密には、掟生の最初の方にこういう芏則があるこずになるね

カむなるほど。最初に母音は有声っお指定しおおけば、無声化の芏則で子音を盎接指定する必芁がなくなるし、衚局での母音の有声性が正しく確定するね。じゃあ、こうかな

アミあず母音の方、もっず䞀般化できる

カむそっか。u ず i っお名指しするより、「狭母音」っおこずを曞いた方が䞀般的な匏になるのか。母音は V, 狭いっおいうのは、舌背が高いっおこずだから、[+ high]。それから、長い母音は無声化しないから、[– long]

ナミうん、それに、無声化のずころも、倉化の内容だけ曞けばいいから「無声化する」っおこずを曞けばいい

カむそういえばそうだ。SPEでも、倉曎がない玠性は省略しおた。じゃあ、こうなるかな

アミだいたい良さそうだけど、このたただず、無声化するモヌラが連続するずころが出おきちゃうよ。埌続母音の条件も入れないず

ナミアミ鋭い。たしかに、このたただず「菊池さん」が [kʲiÌ¥kɯt͜ɕiÌ¥saÉŽ] じゃなくお [kʲiÌ¥kɯ̥t͜ɕiÌ¥saÉŽ] になっちゃう

カむ実際には [kʲiÌ¥kɯ̥t͜ɕiÌ¥saÉŽ] ず発音するこずもあるかもしれないけど、真ん䞭のクの母音が無声化するこずは文法䞊芁求されないから、a の芏則ではここの無声化を防がないずいけないね。そのためには、環境条件の方に、子音を挟んで有声音が続くっおいう条件を曞けばいいかな

ナミうん、これなら、[kʲiÌ¥kɯ̥t͜ɕiÌ¥saÉŽ] は出おこなくなる

アミでも䜜業の順序がちょっずデリケヌトだね

ナミたしかに、芏則の適甚察象の母音を刀定しお、䞀斉に倉曎を適甚するやり方だず、やっぱり [kʲiÌ¥kɯ̥t͜ɕiÌ¥saÉŽ] になっちゃう。それを防ぐためには、たずえば /kikučisaÉŽ/ っおいうこの分節列の右偎から順に、それぞれの分節に芏則を適甚しおいくようにすればいいかな

カむこの【右から順に䞀぀ず぀芏則を適甚】っおいうやり方でやれば「菊池さん」は倧䞈倫そうだけど、すべおの䟋が正しく説明できるかはちょっず䞍安が残るね††

ナミうヌん、音韻芏則がどう運甚されるかは、文法党䜓を考えないず調べられないから†††、ずりあえずはこれで進めよう。アミ、具䜓䟋曞いおみおくれる

アミこれでいい

ナミいい感じだね

アミ曞いおお思ったんだけど、これ、無声化じゃなくない

ナミそう 「䌁画」っおいうずきは、キのずころには有声の母音はないみたいだけど  あ、たっお。アミのいうずおりかも。カむ、ちょっずこの4぀、発音しおみおくれる

カむ䌁画。䞍幞。濁点。牧草

ナミカむの発音、こんな感じかな ɜ はアの母音。À で曞かれるこずが倚いけどそれよりちょっず高め。小さい j は硬口蓋化、぀たり、舌背が i を発音するずきみたいに前よりに盛り䞊がるこず。k はもずもず舌背で発音する音だから、硬口蓋化は実際には前進。有声閉鎖音の蚘号に無声音の蚘号が぀いおるのは、他の無声閉鎖音よりもVoice Onset Time、぀たり、止めおいた域を解攟しおから声が出始めるたでの時間が短いから、たるで有声閉鎖音の閉鎖区間だけが無声化したみたいだっおこずでそうした††††

アミほら、母音ないじゃん

カむ母音が無声化しおるんじゃなくお、消えおるっおこずか。考えおみれば、日本語音声孊入門にも、無声化した母音は聞こえなくなっおしたうけど、子音の違いがあるから語は区別できるっお曞いおあったね

アミ聞こえないし、語の区別にも圹立っおないっおこずは、ないっおこずじゃん

ナミじゃあ、さっきの芏則は間違っおたっおこず

アミ脱萜しおおも「無声化」っお呌ぶ慣習なのかな

カむ甚語の意味が曖昧になっおるこずもありそうだよね。でも、明確に削陀を吊定しお「無声化」っお蚀っおるものもあるよ。『An Introduction to Japanese Linguistics』だず、脱萜じゃなくお無声化だっお結論になっおる。脱萜は明瀺的に吊定されおるから、少なくずもこの本では脱萜を「無声化」っお呌んでるわけじゃない。無声母音が存圚するずする理由は、たず、①クテンずクデンなどのペアにおいお長さが等しいこず、次に、②同様に舌の䜍眮が等しいこず、さらに、③無声化した u においお唇の䞞めがあるこず、最埌に、④母語話者は無声化した母音を有声の母音ず同様に聞き取るこず。原文も䞀応曞くね。和蚳も぀けずく

It is interesting to ask whether the high vowels in words like kuten "period" and kitoo "prayer" are voiceless, or are simply non-existent and should be transcribed as [kten] and [ktoː]. There are several reasons to argue that the high vowels are present but voiceless, rather than deleted and absent. First, when we focus on the length of the contrasting words, kuten vs. kuden in figure 2.7, for example, there is no difference between the two words. If the high vowel [u] in kuten were absent and did not have any physical realization, kuten would be expected to be shorter than kuden. Second, when a native speaker pronounces kuten and kitoo, the tongue body is raised for the first part of these words, ku and ki, in a way that is parallel to the tongue position involved in the pronunciation of the first part of the voiced counterparts, kuden and kidoo "starting". Additionally, the lip rounding gesture that accompanies [ɯ] in kuten, although it is not as distinct as its counterpart in English, suggests that the vowel is present without voicing. For example, in a new pair of words, kuten and kiten "starting point", each of the high vowels is between two voiceless consonants, so they are expected to be voiceless. If [ɯ] and [i] were not part of the words at all, the lips should look exactly the same in pronouncing the two words. However, when a native speaker pronounces kuten and kiten, the lips are slightly rounded in kuten but that gesture is not observed with kiten. That is, the articulatory cues, i.e. the tongue position and the lip gesture, remain the same regardless of whether the high vowels are voiced or voiceless. Finally, native speakers perceive voiceless vowels on a par with their voiced counterparts. So, even though all the acoustic cues may not be available to a native listener upon hearing kuten and kiten (e.g. listening to a radio), the distinction between the two high vowels is clearly made and the two words are identified as separate (i.e. [kɯ̥ten] and [ki̥ten]). If the voiceless vowels were simply deleted, however, the listener would hear two identical words (i.e. [kten] and [kten]), contrary to fact. (pp. 26-27)

クテン句点やキトオ祈祷などの語における狭母音が無声なのか、それずも単に存圚せず、[kten] および [ktoː] ず転写されるべきなのかは興味深い問題である。圓該狭母音が、削陀され䞍圚であるのではなく、存圚しながらも無声であるず䞻匵すべき理由が耇数ある。第䞀に、たずえば図 2.7 のクテンずクデンのような、察立する語の長さに泚目するず、䞡語の間には違いがない。もしクテンにおける狭母音 [u] が䞍圚で、䞀切の物理的実珟を生じないなら、クテンはクデンよりも短いこずが期埅される。第二に、母語話者がクテンずキトオを発音するずき、舌背がこれらの語のはじめの郚分、クずキにおいお、有声の盞圓物、クデンずキドオ起動の最初の郚分の発音に䌎う舌の䜍眮ず䞊行的な様態で、䞊昇する。加えお、[ɯ] に䌎い唇を䞞める運動は、英語における盞圓物ほど顕著ではないにせよ、圓該母音が声なく存圚しおいるこずを瀺唆する。たずえば、別のペア、クテンずキテン起点では、それぞれの狭母音は二぀の無声子音に挟たれおいるため、無声音であるこずが期埅される。もし [ɯ] ず [i] がそれらの語に䞀切含たれないなら、䞡語の発音に際しお唇は完党に同じように芋えるはずである。しかし、母語話者がクテンずキテンを発音するずき、クテンでは唇はわずかに䞞たるが、その運動はキテンでは芳察されない。぀たり、調音的手がかり、すなわち舌の䜍眮ず唇の運動は、圓該狭母音が有声であるず無声であるずにかかわらず䟝然ずしお同䞀である。最埌に、母語話者は無声母音をその有声の盞圓物ず同様に知芚する。したがっお、䟋えば、ラゞオを聎いおいる堎合などにクテンずキテンを聞き取るずきに必ずしもすべおの音響的手がかりが䞎えられおいないずしおも、䞡狭母音は明瞭に区別され䞡語は別個に同定されるすなわち、[kɯ̥ten] ず [kiÌ¥ten]。しかし、無声母音が単に削陀されおいるなら、聞き手は同䞀の2語すなわち、[kten] ず [kten]を聞き取るはずであり、これは事実に反する。

Tsujimura, N. 2014. An Introduction to Japanese Linguistics. 3rd edition. Blackwell (Obtained via https://www.konan-u.ac.jp/hp/nakatani/js/4_TsujimuraCh2-1.2.pdf). å’Œèš³ã¯ note 筆者による。原文における斜䜓および䞋線は無芖した。

ナミやっぱり、無声母音が盎接聎こえるずは曞いおない

アミそうだね。それに、これ、モヌラ無芖しおない

カむそこ、俺も気になった。普通、日本語の音韻論では、分節構成が違っおもモヌラ数が等しければ党䜓の長さは倧きくは倉わらないず考える。だから、「もし u が存圚しなければ、クテンはクデンより短くなるはずだ」っおいうのは、ちょっず倉だよね。ただたあ、「u がなければモヌラ数が少なくなるはず」っおいうんだったら、自然な考え方ではあるけど

ナミ著者は「クテンに u がなければ [kten] だから、2モヌラのはずだ」っお蚀いたいのかな

アミさすがに考えすぎだず思う

カむうん。英語ではオンセットが子音クラスタでもモヌラ数は増えないずするのが䞀般的****だから、それをもし日本語にも圓おはめられるなら***そう考えおもおかしくないけど、結局、匕甚箇所にはモヌラぞの蚀及はない。曞いおないこずは読み取れない。あず、これ芋お欲しいんだけど——

Tsujimura, N. 2014. An Introduction to Japanese Linguistics. 3rd edition. p. 27. (Obtained via https://www.konan-u.ac.jp/hp/nakatani/js/4_TsujimuraCh2-1.2.pdf)

ナミ文䞭で蚀及されおた Figure 2.7 だね。著者のいう通り、クテンずクデンの長さはだいたい同じみたいだけど

アミこのセグメンテヌション、u があるから長いっお話が厩壊しおる

カむそう。本文では、u がなければ短くなるはずだけど、そうなっおないから、u があるはずっおいうロゞックになっおる。でもこのセグメンテヌションでは、クテンの方では k がすごく短く取られおお、k ず u 合わせおクデンの k くらいの長さになっおる。クテンで長いのは t の方で、これ䞀぀でクデンの u ず d を合わせたくらいの長さがある。クテンの u は k に食い蟌んだだけで、党䜓の長さにはほずんど寄䞎しおない

ナミクテンの方だけ k がすごく短く取られお、途䞭から u の領域っおこずにされおるね。長さだけ芋るず、クテンのクはクデンのクよりもずっず短いから、むしろ u がないず考えたほうが蟻耄が合いそう

アミ二次的調音も無芖しおるよね

ナミカむが曞いおくれた理由②ず③のこずだね。④もかな。たず、②を考えよう。本文では、クテンずクデン、それからキトオずキドオを比べお、舌が同じように䞊昇するず蚀っおる。だけど、このクに぀いお舌が盛り䞊がるこずを指摘するのはちょっず倉だね。[k] は軟口蓋音だから、その盎埌に母音があろうずなかろうず、舌が盛り䞊がるのは圓然。u は埌舌母音だから、もずもず調音点が k にちかい。で、アミが蚀っおくれたのは、キトオずキドオの方かな

アミうん。どっちも k は硬口蓋化しおるから、母音がなくおも、舌の圢は i に近くなる

カむたしかに。本文では母音削陀なら [ktoː] ず [kidoː] だからキの郚分の䞋の構えが違うはずっお考えおるみたいだけど、正しくは [kʲtoː] ず [kʲidoː] を比べるべきだね

ナミここでちょっずややこしいのは、キドオのキの硬口蓋化は母音によっお䞎えられおるず普通は考えるっおこず。母音がないなら、硬口蓋化もないかもっお考えおもおかしくない

アミそうだけど、著者が吊定しおるのは削陀ず、衚局での䞍圚。硬口蓋化ずか基底における䞍圚ずかじゃない

カむアミのいう通り、母音があるのか、ないのかっお問題に぀いおは、本文は䞀貫しお衚局での話をしおる。衚局に母音があるかないかっお話をするなら子音が硬口蓋化した圢を考えるべきだけど、そうなっおない

ナミ日本語音韻論では、子音は母音 i の盎前では硬口蓋化するずいうのが垞識だよね。これはカむが匕甚しおくれた日本語音声孊入門にも曞いおあった。実際、キトオもキドオも、キの子音は硬口蓋化した [kʲ] になっおる。子音が口蓋化しおるこずは基底の i の蚌拠にはなるけど、必ずしも衚局に [i] があるずいう蚌拠にはならない。たずえば基底の /kitoː/ に、たず硬口蓋化を適甚しお (kʲitoː)、次に母音削陀を行う (kʲtoː) なら、SPE†みたいな暙準的な音韻論の理論に照らしおもぜんぜん問題ない

カむちなみに、ナミが曞いおくれたみたいな芏則を順に適甚しおいく方匏は、この本自䜓でも採甚されおる*。母音削陀ず硬口蓋化が䞡立できないような理論を採甚しおいるずいうわけじゃないはず

ナミアミが「二次的調音を無芖しおる」っお蚀ったのは、この硬口蓋化もだし、③の唇の䞞めもだよね

アミうん。円唇化ず u の関係は、口蓋化ず i の関係ず同じで、どっちも子音が母音に逆行同化しおるだけじゃないかな

ナミ同化っおいうのは、二぀の分節のうちの䞀぀がもう䞀぀の分節の特城の䞀郚を獲埗する珟象だよね。特城を䞎える偎が巊にあるずきは順行同化、右にあるずきは逆行同化だったね。音韻芏則ではどう曞くんだっけ

カむSPEだず、同化も他の音韻芏則ず同じように、単に玠性の倀の倉曎ずしお蚘述されるけど、環境にある分節の玠性の倀が、倉曎埌の倀に䞀臎するこずを衚すために、倉数の蚘号ずしおギリシャ文字を䜿う。いた話しおる狭母音による子音の同化は、だいたいこんな感じで衚すこずができる

アミ[high, low] も倉数にしちゃダメなの

ナミそれは、k ずかが非狭母音に同化しお [– high] になったら困るからでしょ。[high, low, back] は舌背の䜍眮の玠性で、k みたいに舌背を高く持ち䞊げお䜜る子音が [– high] だったら成り立たないから

アミあ、それはそうだった。でも e, o でも前埌ず円唇性の同化はあるよね

カむたしかに。ケっおいうずきは k は少し前よりになるし、コっおいうずきは k も円唇化するね。分けたほうがいいのかもね

アミ思ったより耇雑になった

ナミでも、これで硬口蓋化ず唇の䞞めっおいう2皮類の二次的調音を蚘述できた。②ず③では、この [high, low, back, round] っおいう4぀の玠性で衚される舌背ず唇の構えが子音偎で蚘述できる可胜性を考慮しおないっおこずになるね

カむうん。本文ではキテンずクテンを比べお、クテンの方が唇の䞞めがあるから、無声の u があるはずだっお蚀っおるんだけど、基底に u があれば、唇の䞞めは [round] の同化があればいいだけだから、削陀を吊定する理由にはならないね

ナミそうだね。i で硬口蓋化するのは、i が硬口蓋音だからだし、u で円唇化するのは、u が円唇母音だから。䞀床同化が枈んでしたえば、母音自䜓は削陀されおも、硬口蓋性ず円唇性は子音偎に残る

ナミ最埌は④だね。これ、ちょっずわかりにくい

カむたしかにここはわかりにくい曞き方になっおる。①から③たでは、先に蚌拠を瀺しお、そこから瀺唆される結論を述べおたけど、④だけは、先に結論母語話者は有声の i ず u を区別するのず同様に無声の iÌ¥ ず uÌ¥ も区別しおいるを仮定しお、そこから説明される珟象キテンずクテンが聎芚においお明瞭に区別されるを瀺しおる。そしお、仮定が間違い「無声母音が単に削陀されおいる」なら、その珟象は説明されない「聞き手は同䞀の2語すなわち、[kten] ず [kten]を聞き取るはず」ずも蚀っおる

ナミなるほど。背理法だね。でもここでも同化を無芖しおる

アミ母音がなくおも [kʲten] ず [kÊ·ten] は違うから、区別できるのは圓たり前。これは日本語音声孊入門のカむの匕甚箇所に曞いおあったこずず同じ

ナミ結局、狭母音の無声化っお、脱萜でも説明できる珟象を無声化っお蚀っおるだけなのかな それずも、ちゃんず無声母音の音声的な蚌拠があっお、今回芋た文献ではそれが蚀及されおないだけ


開瀺筆者自身は、音声孊ではなく、音韻論の芳点から、削陀説を支持しおいたす。

続くかも。応揎よろしくお願いしたす

脚泚

脚泚は曞きながら远加しおいるため、本文の該圓箇所はこの順にはなっおいたせん。

*Wiley 版 (2013) の Google Books のプレビュヌで確認したした。

**『日本語音声孊入門』には「ほずんど」ずありたすが、文法䞊はなんらかのかっちり決たった芏則があるずここでは考えたす。人間は蚀い間違いをするこず、文法の詳现は䞀人䞀人異なるこず、たた、ある䞀぀の文法に぀いおも完党には蚘述されおいないこずなどから、玔粋な音声の芳察を瀺す堎合「ほずんど」などの量的な留保の衚珟が぀くのは自然です。

***筆者は日本語の CCVN は3モヌラあるず思っおいたす。理由は教育ロヌマ字の資料で説明しおいたす。

****英語だけではなく、むしろほずんどの蚀語においお、オンセットはモヌラ数に圱響しないず考えられおいたす。したがっお、クテンなどにおけるCCVが2モヌラだずいう䞻匵は、実はやや挑戊的です。

†Chomsky, N. & Halle, M. 1968. The Sound Pattern of English. Harper & Row.

††これで説明できない䟋がありたす。詳しくは過去の蚘事をご参照ください。

†††どちらかずいうず筆者偎の郜合。

††††筆者の発話で実際に蚈枬するず、発話頭の音節のC1C2VにおけるC2ず、C1VC2VにおけるC2のVOTはどちらもおよそ30msで、差はあるかもしれないが偶然かもしれないず思う皋床です。前者の方が「無気音」らしく぀たり、閉鎖が解攟されたら即座に声が出おいるように筆者が感じるのは、単玔なVOT以倖の芁玠が圱響しおいるかもしれたせん。

#創䜜倧賞2026
#オヌルカテゎリ郚門

いいなず思ったら応揎しよう

Junichi Iida コヌヒヌ代をください🥺