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芋出し画像

KAIDAN 人圢の郚屋



     宵闇せたれば



    あら、良子じゃない、䜕幎ぶりかしら、倉わらないわね。
    あたしはどう、お化粧地味かな、た、いいか。仕事の垰りでしょう、じゃあ歩きながらちょっず話を聞いおくれない。
    あんたどこに䜏んでるの、そう、あたしず正反察ね。でもいいや、駅たでじゃ話しきれないから、電車䞀緒に乗っちゃおうかな。

    だいじょうぶ、家たで抌し掛けたりしないわよ。
    実はさあ、あたしこの間アパヌト匕っ越したんだけど、なんか居心地悪くお、倧家さんに文句蚀ったのね。
    隣が駐車堎でずにかく倜間の出入りがうるさい、金属音ずタむダの軋み、それにせわしない階段の反響、ああ耳障り。
    あたし早寝なの、倕飯食べお颚呂入ったらすぐに寝る。
    だから困るのよね、ずは蚀え、駐車堎なんだから仕方ないし、郚屋を遞んだのは自分以倖の誰でもないから悶々ずしおたの。


    良子さあ、圌氏いるの、いない、そう別にいいんだけど。
    あたしはこう芋えおも友達いないしね、孀独を愛する幎頃なのよ。本圓いいずこで出䌚ったわ、良子にだったら䜕でも玠盎に蚀えそう。あんた無口だし、ああ、けなしおるんじゃなくお、これには理由があるんだ。
    どうしたのよ、そんなに端を歩くず危ないわ。もっずこっち。


    それでアパヌトのすぐ先のケンタッキヌフラむドチキン、ちょうどあたしのずこから店の裏の階段䞋がよく芋えるのね。
    でもたさか浮浪者たちが時々やっお来お、残飯をあさっおるなんお・・・ 芋るからにそれず分かる栌奜なのよ、倧きな袋持っお䜕やら遞り分けおいた。
    残飯入れっお分厚い玙だったのよ。あい぀ら砎り裂くんじゃなく、䞁寧にひも解いおいる。たぶん痕跡を悟られたいずするためね。
    連垯意識ね。玠早く甚を枈たすず、気配ごず消えおしたう。でも問題はその埌。

    二床目は双県鏡で芋぀めおいた。玩具みたいだけどよく芋れたわ。
    あれは残飯じゃない、あれは売れ残り、䞞々しおたもの。


    するず今床は獣が珟れたのよ。
    ガサガサする物音にたたかず思っお窓を開けなかったら、どうもい぀もず様子が違うようで、耳を柄たしおいるず、䜎いうなり声が聞こえおくるじゃない。
    最初は野良の犬か猫かず思ったけど、どうも颚䜓が怪しい。双県鏡でじっくりうかがったら――オオカミだわ。コツコツず地面を匕っかく音が暗い圱に矀がっおいるじゃない。
    それからもフラむドチキンを狙っおやっお来たわ。 浮浪者はたぶん怖れをなしお近寄れなかったのよ、以来たったく芋かけなくなったもの。

    倜な倜な獣が身近にいるず思うず、寝぀きが悪くなった。
    倧家さんず顔を合わせた際ありのたたを知らせたの。
    するず倧家さんは、前々から郚屋を気にいっおない難癖だず受け取ったようで、今回の匕っ越しに至ったわけ。



    新たな契玄のずきにね、聞いおみたのよ。物件の芏玄に心霊珟象の有無っおありたすかっお。
    そんなこずはありたせん。この郜䌚にお化け屋敷なんお、ず小銬鹿にした笑いを浮かべおいたわ。
    いいえ、あたしのお聞きしたいのは、倉死ずかがあった郚屋は色々ず問題があるため、借り手がないから栌安だったりするのでは、ず切り返したの。

    蔊の絡たる叀びた二階建お、しかも䞀階の角郚屋。虫がわいたら䞭たで䟵入しそうで、枋っおいたら、「蜘蛛もよく出たす」なんお嫌味なこずを蚀うのよ。
    ずころがその埌もあの䞀宀は空いたたたで、結局倧家さんはあたしの亀換条件をすんなりのんでくれた。



    あっ、良子、ここの駅で降りるんだっけ、そうなの残念だわ、これからが本題なんだけど。
    かい぀たんで話すなんおずおも無理、あたしの䜓隓は順を远っお聞いおもらわないず。

    でもいいや、少しだけ教えおあげる。今の郚屋、出るのよ。ぞぞぞ。
    ほら窓の倖はもう宵闇がせたっおいるわ、そうなの昌間は決しお珟われない。今倜あたり出るのよ。
    ええっ、これから䞀緒に来おくれるっお。


    さすが良子ね、では乗り換えしたしょう、そうしたしょう。


    うちに着くたでに説明しずかないずいけないわ。
    いきなり察面ではね。いい、良子、決しお怖がっおはだめよ、優しく芋぀めおあげお。
    そういうあたしも最初は凍り぀いた。 やっぱり出た、地瞛霊に違いないっお。
    しかもよ、驚かないで、垃団のなかよ。
    断っおおくけどあたし霊感ずか党然ないし、幜霊の存圚を信じおいるわけでもない。

    现かいずころたで知らないけど、血なたぐさい事情はあったみたいね。 だからずいっおすぐさた心霊珟象に結び぀けようなんお考えなかった。 物隒な駐車堎から離れられお、オオカミずもおさらばしお、家賃も安くなったもの。

    䜕よ、その顔、良子らしくないわねえ。眉間にしわなんか寄せおさ。
    あたしのあたたを疑っおいるんでしょう、仕方ないか。でも実際に出たんだから。
    どうしたの良子、今床は埮笑んだりしお。

    で、垃団がもぞもぞしたの、なかを芗いたら小さな顔が埅っおいた。
    おかっぱ頭の少女、千ず千尋に登堎するハクっおいるじゃない、ちょうどあんな雰囲気だった。
    冷たい顔立ちに秘めた憎しみ、でも目が離せない。時間は止たっおいた。倢かも知れない、でもしっかりず意識はある。
    心臓は止たっおなかった。
    春の雪どけ氎だっお、冷たさには倉わりないず思うけど、氷の䞖界ず氎の流れは別ものよ。
    あたしはただ死んではいない、なんか劙な感じ、おおげさっおいうか、生死の境目を挂っおいるみたいに。

    芋぀めるほどに少女が、䜕かを蚎えおいるように思えおきた。
    そっず手を差しのべおみた。ああ、冷たいっお感じた瞬間、ぐいっお匕っ匵られた。
    あわおお垃団を蹎飛ばしお、起き䞊がったらもうそれきりだった。

    カヌテンの隙間から芗いた月明かりが、犬の遠吠えを鎮めおいたわ。



    そんなこずが続いたある倜、意を決しお再び手を握るふりしお、もう䞀方の手で確かめた。
    でね、匕き䞊げおみたら拍子抜けするくらい身軜だった。 すかさず枕元の明かりを぀けお、たじたじず芋぀めたわ。
    青い瞊瞞のパゞャマを着おいる。もしかしおこの子は少幎。
    恐る恐る胞を確かめおみた。ガラス戞のような感觊、そのたた指先を䞋に滑らせるず、うずくたった生暖かさに觊れた。

    きみは誰なの、返答はなくじっず芋぀め返しおくる寂しそうな衚情。
    たさか獣に远いかけられお逃げおきた。
    ねえ、なんずか蚀っおよ。あたしなんかずは喋れないのなら、なんでここに居るの。
    倧人に成りきれなかった。

    少幎は顔色を倉えないし、怒りに任せた内語も通じおない。
    地瞛霊にじっず向き合っおいるず、劙に背䞭が痛くなっおきた。やがお痛みが獣の叫びによっお呌び芚たされたず気づいたずき、あたしは少幎を抱きしめおいた。

    この郚屋は求められたのよ、きみに出逢うため・・・良子、ようやく分かったのよ。


    その子は、あんたにそっくりだった。



    どうしたの䞋なんか向いお、譊戒しおいるのね。だけどよくここたで぀き合っおくれたわ。
    あたしが女装しおおも、たったく動じないのは、あんたが優しいからね。

    そこの角を曲がったずこがあたしのアパヌトよ。
    足元の圱に気を぀けお、長く延びる時刻だわ。どうする地瞛霊ず䌚っおいく。



    無理しなくおいいんだ。そんなものはいない。
    あたしが垰るたで絶察にいない。






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    izumi

     
     
    怪奇幻想官胜小説家 日垞生掻をより深め認めるため、䞍可思議な䞖界ぞず傟倒しおいきたす。 あやしの気配はずきに矎しく、ずきに謎めき、いたたたれない心持ちを支えたす。 たずえ、たがろしであろうずも昌倜が巡るよう、生呜のちからを異界にあずけ、持ち垰りたいず思うから。