
【エッセイ】電車で見かけた推し活の話
突然だが私は目が悪い。
それなのに大体裸眼で過ごしている。
あまり困ったことはないからだ。
この間、電車内で推し活グッズを身につけている男性を見かけた。
年齢は50代ぐらい。
とてもファンシーな額に入った推しの写真を、ぶら下げていた。
そのメルヘンなデコレーションに、一瞬びっくりしたものの、堂々と推しを身につけている姿は、とてもかっこよかった。
あまり見るのも失礼だと思いつつも、視線はどうしても推しの写真に向かってしまう。
彼の推しは、女性アイドルではなく、男性アイドルだった。
かわいい写真入れは娘や奥さんが選んだものかもしれないし、推し活仲間からのプレゼントかもしれない。いや、彼自身が好きで、チョイスした渾身の写真入れなのかも。
カバンもツアーグッズのようで、そのことからも相当のファンだということがわかる。私は、こんなにも愛される男性アイドルに、俄然興味がわいてきた。
しかし、冒頭でも述べたが私は目が悪い。推しの姿は、もう本当にぼんやりとしか見えない。
白い衣装に身をつつみ、ステージで歌う姿。
……韓国アイドルかな?
トートバッグにでかでかと書かれたグループ名を見てみる。
グループ名は、E. Y……。
E.YAZAWAーー。
永ちゃんだーーーーーーーー!
彼の推しは、かのレジェンド、矢沢永吉さんだったのだ!!!
いやそりゃ推すか。
推すよね!!!
ファンの姿を通し、矢沢永吉さんの偉大さを感じるとともに、ファンの鏡のような彼自身の人生にも思いを馳せた。
きっと何度となく、矢沢永吉さんに救われたんだろうな。
電車を降りる。
私は願った。
彼に幸あれ!